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2003_横浜のお嬢様_part2.../26. MM69タワー
登場人物(2006年時点)
幸田麗華 ワイン専門店コウテク社長 1976年(30歳)
幸田耕一 幸田商事 施設部長 1970年(36歳)
江戸直樹 幸田商事 社長 1950年 (56歳)
木名瀬 愛 日仏食品DM 1980年(26歳)
飯島 孝三 大手Dハウス 常務取締役 1945年(61歳)
耕一にDハウスから横浜・みなとみらい地区の超高層ビルへの参加の打診があった、翌週緊急役員会議が招集された。
幸田グループビルの25階の役員会議室に、役員がそろった。欠席したのはイタリアへ出張している麗華だけだったが、彼女はネットで会議へ参加した。
会長の大介も参加している。普通の会議なら社長の江戸が仕切るが、今回はその重要性からか大介が上座に座っている。
耕一がDハウスの飯島取締役から打診された概要の説明を先ほどまでしていた。
江戸「部長そうすると、その69街区では、四菱重工業の2棟計画があったが、度重なる延期があったと...そういうことかな..」
耕一「そうです。2003年から着工する計画でしたが、延期され現在も実行される状況にないので、この話がウチに回ってきたとも言えます。延期の理由ですが、採算ベースだろうと言うことです...」
役員A「それは、当社にとっても同じ事ですね。テナントが埋まらない、ホテルが赤字になるでは、話に成らない...」
江戸「ビルの構成案をもう少し詳しく説明してください」
耕一「はい。資料の20ページをご覧下さい...」
と説明を始める。このプロジェクトは、複合構想ビルで地上28階、建築面積約6,100㎡、延床面積約121,000㎡、低層部(1~2階)に商業テナント、中層部(4~18階)にオフィス、高層部(20~27階)にホテルが入居する。
そして、合同会社KRF69を組成するDハウスはショールームと横浜支店オフィスが、同じくKJ建設も横浜支店オフィスをここに移転する予定なこと。ホテルはMGホテルが入ることが、内定していると説明する。
麗華「仮に当社が参加すると、テナントとして入居するのか、その専有階を所有するのか、決定する必要があるかと…」
耕一「それは試算しました。別紙2ページに試算表があります。結論から言うと、幸田グループ全社+アルファで6階全フロアなら自社分として、専有した方が、メリットが大きいかと…」
麗華「そのアルファって、例えば福祉厚生スペースとか言う意味..」
耕一「そうですね。あと1階にワイン専門店のスペースも確保すべきですね」
江戸「それは、日本大通り店とは、別にという意味ですか...」
耕一「それは、日仏の部長の判断かと...」と暗に、麗華に振ってきたが、麗華はそれに触れず。
麗華「先ほどの+アルファですが、現在準備室で進めている幼稚園が考えられますが、実はこれは来月会議に提案しようと思っていた案件がありまして...」
大介「なんだね、言いなさい...」
麗華「はい。実はグループで文化事業として、美術館の設立準備室を提案しようかと。それで、そのMM69のスペースもあり得るなと...」
大介「そうか、それは来月聞きましょ。今日は合同会社KRF69への参加・出資について、結論を出しましょ。」
その後、賛成2名、反対1名の発言があり、採決となった。
採決は、出席役員15名中12名賛成、3名反対となり、事業参加することになった。
条件は、専有部分は6階分全フロアと1階ショップスペース300㎡以上となった。合同会社KRF69へは、江戸が担当し、耕一が出向することになった。
その結果は、即日耕一からDハウスの飯島取締役に連絡が行った。
役員会議で条件についても、伝えられ。先方の会議で翌週議題として、採決されることになった。
それが、2006年2月の出来事だった。