Masato Suzuki presents Quintero Sala 6 at Blue Note Tokyo 15 Feb 2023

鈴木優人さん率いる「第6教室五重奏団」のブルーノート東京での演奏会を聞きに行きました。Fantastico!
東京芸術大学の第6教室で、バイオリニストの吉田篤さんとタンゴを趣味で演奏していたことから、この名前がついたそうです。
「私がクラシック音楽をやっているということは、どうぞ忘れてたのしんでください」と観客を笑わせていましたが、いともたやすく観客を熱狂させていました。バンドネオンは芸大2年生の鈴木崇明さんです。
本邦初公開、世界デビューだった訳ですが、ピアソラ好きにはたまらなかったらしく、一緒に行った家族は学生時代にスペインギタークラブにいたので、相当喜んでいました。私も心が癒されました。
「ありがとう!今まで行ったコンサートの中で一番良かったよ。また絶対に行きたいから教えてね。」と言われています。
しかしギターはこの編成にはなく、コントラバスが大活躍でした。
「コントラバヒシモ」コントラバスマックスという意味でしょうか、
ピアノ、バイオリン、バンドネオン(産まれて初めてそばで聴きましたが、本当にいい音です。録音の音とは全く違います。)コントラバス、ドラムという編成でした。

しかしこんなに一音一音丁寧に聴かせるタンゴってあるんでしょうか、
弱音がはっきり聞こえて余韻もありますし、このセンチメントを刺激する
メロディーラインよ、ということで、全く恐れ入って感動した次第です。
Por el sur.(南へ)はアルゼンチンだと北極へ向かうので、津軽海峡冬景色
みたいなものです、と鈴木さんから説明がありましたが、心の琴線をつかむというか、なんというのでしょうか、ピアソラはベタに泣かせるというか、感動させるメロディーラインがあると思いました。
鈴木さんはハーグ王立大学院を主席卒業されていますが、
そういえばオランダのマキシマ王妃が結婚式で、ピアソラの"Adios,Nonino" (さよなら、お父さん)が演奏された時にぽろぽろと涙をこぼしていました。
マキシマ王妃の父親は軍事独裁政権下の大臣で結婚式には出られなかったのです。ピアソラは、お金がなくて父親が亡くなってもアルゼンチンに戻れず、その時にニューヨークでこの曲を書きました。
(これは演奏されませんでした。ぜひ次回に。ちなみに鈴木さんのお父様の鈴木雅明さんはロビーでお見掛けしました。なんという孝行息子でしょう)
鈴木さんはバッハの「ゴルドベルク変奏曲」を合間にひかれましたが、
まるで神様が上から降りてきそうで、そこだけ酒場が教会になったようで、
俗から聖に切り替わる瞬間を感じました。
ゼッフィレリの演出で神様登場、みたいな感じです。
サメ、Por una cabeza, オブリビオン、とうもろこし、ブエノスアイレスの春、夏、冬、La muerte del Angel、etc.どれも本当に素晴らしくあっという間のひとときでした。最後のリベルタンゴは大盛り上がりでした。
鈴木さんが教育実習でピアノを弾いたとき、大勢の学生が見に来た、と話されてましたが(それはそうでしょう)音楽教室的な趣もあり楽しかったです。次はいつなのかしら、本当に楽しみにしています。Hasta la vista.

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