ミスチルことMr.childrenが魅せる、人の一生のような変化について
今日、やるせない思いに駆られた。
こんな日は、音楽でまぎらわすに限る。
そう思って、i-podの中の曲をあれこれ見ていると、なぜかこの曲に目が留まった。
『ありふれたLove Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜』
そう、ミスチルことMr.childrenの『深海』に収録されている曲。まぎらわす曲とは、今なお思えない一曲なのだけど、なぜかその時はしっくりきた。
帰社途中の地下鉄から聞き始め、乗り換え後もしばらくエンドレス。珍しく繰り返し設定までしてしまった。
なぜなのだろう?結構投げやり?で後ろ向き?な歌詞なんだけどねえ。
『名もなき詩』、『花 -Mémento-Mori-』『Mirror』
ミリオンセラー連発のシングルが収録された、ミスチル全盛期に発売されたアルバム『深海』
当時『名もなき詩』からミスチルの熱狂的ファンになった僕は、うきうきしながら『深海』を買った。
母も興味津々で、帰宅後さっそく聴いてみた。
聴き終わった後、母と顔を見合わせた。
微妙な雰囲気が流れた。
言葉にするならば「コレジャナイ」感。
このあとのアルバム『BORERO』が同じような曲構成だったら、ミスチルファン脱落していただろう。それくらい違和感と深いガッカリが、胸を埋め尽くしたことを、今でも憶えている。
実際、『深海』はミスチルにおける黒歴史、ミスチルを語る上での踏み絵、と言われるほど特異なアルバムであり、ここを乗り越えて、はじめてミスチルを知るもの、と認可される、というのがミスチルコアファンの中での有名な?話しだそうだ。とってもよくわかる感覚。
その前後の話を聞けばその理由がよく分かる。
・元々曲ごとにトラックで分けず、全体で1トラックにすることも考えていた。(歌詞なしのジャンクション的曲が多いのはそのため)
・このアルバムのコンサートツアーでは本作をアレンジをほとんど加えずに曲順通り演奏するという演出が取られたらしい。そのツアーは生で見られなかったが、映像で見ると確かに異様。観客置いてけぼりにしてひたすら演奏して唱っている。
・とにかく後ろ向きで投げやりな曲調。歌詞もぶん投げ、刹那的感情の連投で聴いていて段々いやになってくる。『名もなき詩』がこのアルバムの中で清涼感を発している時点ですでにおかしい(笑)
とにかく、ここ数年のミスチルのアルバム聴いてきた人からすると、違和感ありまくりの一枚のはず。
なのに、2019年の今、ぼくは、このアルバムの曲を選んだ。
(自分でいうのもおかしいが)どこか荒んでいた自分が聴くべき一曲だったのだろう。
だから、『深海』はこの瞬間、僕にとって必要な一枚になっていた。
ミスチルはこの後も、反抗期、混迷期、独り立ち、原点回帰、といった、人の一生を表現してくれるような時期を乗り越え、円熟を迎え、さらなる純粋さを感じさせる声を、僕たちに届けてくれる。
今のぼくの揺らぎも、愛すべき黒歴史となるだろうか?
その時聴きたいミスチルの曲が、道しるべになってくれそうだ。
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