「動く」時々「振り返る」後に「考える」〜新型オトナウィルス 「#21 走りたくない」より〜
風は、空気を読んだ。
あれほど吹いていたのに、外に出ると後押しも足かせにもなってくれない。
普段はよくほどける靴紐も、本日はきっちり結べてしまった。
蒸しているけど、日中に比べればはるかに快適。
つまり。
走る条件が整っていた。
■とあるコメントとの«対話»
2020年8月10日。
運動不足を解消するために、今日から走ることにした。
「食事の量を減らす」「筋トレの回数を増やす」
こんなほぼ"明日から本気出す"な決め事、役には立たない。
雑念を振り払い、外へ繰り出すことにしたものの、何か一つでも不都合があれば、やーめた、と言う準備もできていた。
が、走りやすい環境は整っていた。
こうなると、もう後には引けない。
我が家の側には緩やかな坂道があるので、そこを淡々と往復しながら走る。
走ってみると、案外楽しい。そう思える経験があるので、その場所までくれば、まあ、体は動き出すだろうと、半ばオートマ思考で動き出す。
「ジゴクのように、走りたくないんよーーーーー」
走ってみるとそうでもないのにな。スモールスタートでいいと思いますよ。
「走るのが気持ちいいわけがない!」
まあ、確かに。
「音楽聴きながら走るより、涼しい部屋で聴くほうがはるかに・・・」
そりゃそうです。
とりあえず動いてみる。そのフィードバックを体に覚えさせる。
動かないと、痩せないし、変わらない。
「体力つけないといけない状態で成果はほしい。その過程が辛すぎる」
・・・そうかも。
自分は今、楽しめているだろうか?
そう思ったら、オートマ思考が突然マニュアルに切り替わった。
なんとなーく、いまやってることが面倒くさくなってきた。
しまった。
走るのやめる理由、脳に教えてしまった。
■深堀りが教えてくれること
最近聴いているラジオ 『新型オトナウィルス』
インパクト抜群のタイトルとは裏腹に、内容は打ち合わせなし(ご本人曰く)、収録のその場でテーマを選びひたすら出口へ向かってパーソナリティのお二人がしゃべり続けるプログラム。
普通、この作りだと出口を探す雰囲気がトークに漂うものだけど、この番組は気に留めることなくテーマについてひたすら掘り下げる。
今回紹介する「走りたくない」も、落とし処を設定することなく、どんどん深堀りしていく新感覚の20数分間。
パーソナリティのお一人・樋口さんが、酔った勢いで言ってしまった «フルマラソン参加» をやりきるために始めた、週一のランニングについて、心からやりたくない、という思いを激白する。
じゃあ、やらなきゃいいじゃん。
と誰もが思う。コバさん(もうひとりのパーソナリティ)すらそう言った。
「でも、やるて決めたから(フルマラソン)」
この一言で全てが閉ざされる(笑)
さらに走るべき理由もご本人はわかっている。でもやりたくないと思っているらしい。
なぜか。
一言で割り切れることを、少しの思い切りで振り切れることを掘っていく。
徒労のように見えて、そこに気づきがある。
なんだか、不思議な番組。
聴き終わると、落ち着かなくなる。
徒労、非効率、割り切りという行為では得られない場所へのチケットを手渡されたような感覚。
で、この結論なきラジオを聴いて「走ろう」と思ってみたわけです・・・
まさに"ジワる"番組。
次は何を掘り下げるのかなあ。
いつか掘り方を学ぶことができたら、スコップ持参であてどない深堀りをしてみよう。