君の欠点

娘が5か月になった。

出産直後、義父を生んだかと思うほど義父似だった娘の上がり眉は、吸引分娩によってひっぱられてできたこぶが少しずつ頭に吸収されていくとともに重力に従順になり、今では眉頭側3分の1が上向き、その後は眉尻に向かって下がっていくという、一風変わった下がり眉だ。

眉間と鼻の間は完全に平ら。そこから申し訳程度にちょこんと出た鼻はぷくっと横に広がって、茹でたてのとうもろこしみたいにつやつやしている。

毛深い私と夫の遺伝子を受け継いでるから絶対髪の毛ボーボーだろうなという予想を大きく裏切って、薄毛ちゃん。ここ最近やっと頭頂部に立体感が出てきたけど、首がよく動くようになってからは布団との摩擦で側頭部の細い髪がちぎれていくため、頭頂部はそこそこ立体的、側頭部はうすうす、襟足だけめっちゃ濃い、というアバンギャルドな仕上がりだ。

よく見ると睫毛がしっかり長かったり、耳の形がきれいだったり、頭の形が良かったり、褒められる点はたくさんあるんだけど、つい愛でたくなるのはちょっといびつな部分だ。一般的な可愛さ美しさとは違うかもしれないけど、鶴瓶さんみたいな下がり眉も、低い鼻も、まばらな髪の毛も、今の娘を娘たらしめんパーツに思えて、私にとっては世界一かわいい。おもしろいけど。おもしろかわいい。

この先どう顔が変わっていくかは未知数だけど、このまま成長して思春期になれば、眉毛の形を整えたり、すっとした鼻に憧れたり、髪色を変えてみたくなったりするだろう。世の中には綺麗な人がたくさんいるから、あんな風になりたいな、と思う気持ちが行き過ぎて、自分で自分のあれこれを欠点と思ってしまう日もあるかもしれない。

でも、そんな自分もまぁ悪くはない、と思えるように、君は、生まれたままのかたちで、とてもとてもかわいいよ、と、毎日ちゃんと伝えようとおもう。もうすでに、このままじゃ自分が世界で一番かわいいと思ってしまうんじゃないかと危ぶまれるほどかわいいかわいい言っているけど。

いつかそうじゃないと気づいてしまった日にも、ママにとっては君が世界でいちばんだと、ちゃんと伝えてあげよう。私の母がずっと言い続けてくれていたように。この世に一人は、私を世界一かわいいと思ってくれる人がいる、と思えるだけで、少しは救いになるだろう。

平らな眉間と鼻の間をくしゃっと寄せて笑う、世界一かわいいその笑顔が、いつの日も続きますように。




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