夢を叶える、の話
(2020/12/29加筆修正)
普段は、整形外科の外来看護師をしています。そうすると、次から次にやってくる患者さんに対してすることは、医師の介助や、患者さんの診察がスムーズに手際よくできるようにすることがメインになります。そのため、1人1人の患者さんとなかなかじっくり話す機会がありません。
先日は、患者さんとゆっくり話す機会があり、色々な話ができたのですが、そこで『夢』の話になりました。
寝る時に見るやつじゃなくて、目標、目指すもの、の方の『夢』の話。
その方は、私に向かって「看護師になる夢がかなってよかったじゃないですか」って言ってくださいました。
なんでそんなことをおっしゃるのかな、と思ったら、その方はなりたい職業があって、でもそれがつかみ取れないでいらっしゃるようでした。
私より年上で、はっきりとは伺ってないものの、『勉強すれば絶対取れる資格』というわけではないようでした。
何度もチャレンジして、でもまだ取得できない、だから私が羨ましい、とおっしゃいました。
「その仕事云々じゃなくて、そういう環境が合わないのかも。」
と、寂しそうにぽつりとおっしゃって。
ちょっと切なくなってしまいました。
私の持っている資格は、正直いって『勉強ができればとれる』という資格ではありません。
一般的には『適性』などと言いますが、紙のテストが例え100点だとしても、それだけでは資格がとれません。
実地研修があり、実際病院で看護学生として、患者さんに対しての気持ちや態度を学び、それがきちんと備わってから看護業務としての処置や注射に関すること(学生のうちは絶対にさせてもらえませんが)を学びます。
もう一つ、重要なことは『いかに同業者、関連業種の人達とうまくやっていくか』という点です。
連携が大事、といえば聞こえはいいですが、正直、医者も他の医療関係者もクセのある人ばっかり(笑)。『上の言うことは絶対』『厳しいと酷いをはき違えている』『とりあえずストレス発散したい』人が多いこと(私が居た環境の話ですよ)。
その中で、いかに昇級・卒業まで持っていくだけの点を稼ぐか。
あるいは、いかに敵対視されないか、どうやって落とされないようにするか。
それにかかっていたりします。
こんなことは、正直医療とは全く別な部分なんですが、本当に重要な課題でした。
私の同期の中でも、点数は大丈夫、患者さんにもとても寄り添うことができる、でも、研修で必要な点数を稼ぐことができなかったり、先生や研修先の方と折り合いが悪く、落とされる人は少なくありませんでした。
私はそのへんうまくやるような器用さはありませんが、敵対視されないように静かにしておく、というのが得意なので(笑)、マイナスが少なかった分で、乗り切っただけのことなんですが・・・。
ただ、この資格に関しては本当にとりたかったので、もし先生が『靴を舐めろ』と言ったら、やったと思います。ほんとに。
それくらいの執念は、もっていました。
『死ぬか、資格をとるか』
文字通り、その二択で挑んでいました。
一方で、『夢を叶える』の一部には、そういう要素が少なからずあるのではないかな、とも思うのです。
その仕事が好き、だけではなく、『夢を遂行するために、どうやって成し遂げるか』『仕事以外の部分で、いかに乗り越えるか』も、結構重要な部分かな、と。
1人で勉強して済むなら自分だけと戦えばいいですが、そうでないものは、習得するためなら、どんな手を使ってでも習得する。
とか。
仕事をするためには、その仕事内容だけやればいい、というわけではなくて、様々な人との関係や、自分の力の及ばない周囲の環境があります。それでも、その仕事をするために、いかに周囲の人や環境とうまく折り合いをつけてやっていくか。
というのが必要なこともあるかもしれない、と思うのです。
だから、その患者さんが『夢を叶えていて羨ましい』といった言葉が、とても重く響きました。
私は、すごい執念でゲットした資格ですが、『看護師として生きる夢』を持っていたわけではなく、『収入になるような資格を持って、実際収入を得ることが夢』でした。
こんなことを書いてしまうと、批判もあるかもしれませんが、仕事に対する想いは人それぞれでいいと思っています。
ただ、その患者さんは、
「それでもやりたいんだけどね。環境が合わないんだろうね」
とおっしゃって。
『職業』と『仕事』の違いの難しさを感じさせました。
夢を叶えたらハッピー。
って、ちょっと違うことも多いよね、と思う夜。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました✨
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?