「おかあさんといっしょ」の人形劇に励まされた話
※今回はTXT関連の記事ではありません。
これからちょくちょく普通の(?)記事も書いていくと思いますので、もし興味を持ってくださったらお付き合いくださいませ🙇♀️
娘と一緒に見ているEテレの「おかあさんといっしょ」。この番組内の人形劇『ガラピコぷ~』が最終回を迎えた。
簡単に紹介すると『ガラピコぷ~』は、しずく星という惑星に不時着した記憶喪失のロボット・ガラピコが、そこで暮らすうさぎの女の子・チョロミー、オオカミの男の子・ムームーと出会うことから始まる。
ガラピコは博士に作ってもらったという記憶しかなく、感情がさっぱりわからないロボットだ。
チョロミーは好奇心“超”旺盛、“超”活発ハイテンションな女の子。一方ムームーは温和だが“超”内気な大人しい男の子という設定。
この凸凹の3人が友達になり、いろんな出来事を経験して成長していくストーリーだ。
オタクとしては不時着してプログラムが初期化されたロボットという設定だけでもう切なくて大好きなのだが、それはさておき、『ガラピコぷ〜』はこのキャラクター達の凸凹こそがミソである。
前述の通り、チョロミーは超がつく活発な女の子で、その活発さ故に突っ走ってしまい、周囲を困らせることが多いトラブルメーカーとして描かれることが多い。
そんなチョロミーと真逆の性格であるムームーは、優しいけど自分の気持ちを話すことが苦手で、周囲が驚く程の心配性。そして神経質。
ガラピコは感情というものがわからず、ズレた発言や行動ばかり。
『ガラピコぷ~』のキャラクター達は、優等生ではない、ちょっと困った子達なのだ。
✱✱✱
私は現在2歳の女の子を育てている真っ最中。
娘は極度の人見知りで、とても怖がりな性格だ。
公園や支援センターに行くと、娘と同い年の子ども達がたくさんいる。でも娘は絶対に他の子達に近付こうとしない。
たまに娘と遊ぼうと声を掛けてくれる子もいるのだが、話しかけられただけで(何なら近付かれただけで)娘は固まり、酷い時は泣いてしまう。
公園の隅で泣いている娘をなだめながら、遠くで楽しそうに遊んでいる親子と自分達を比べ、私が泣きそうになってしまうこともあった。
ずっとこんな感じなので、お友達は一人もいない。
これまで保育園などに通ったことがないため人に慣れておらず、おまけにコロナ禍で生後8ヶ月くらいから今まで人と接することが極端に少なかった、という理由もあるが、私はそれだけではなく娘の元々の性格がとても大人しく、人一倍怖がりなのだろうと思っている。
私自身、他人と接することが得意な方ではないし、今でこそ人前に出る時はそれなりの“フリ”ができるようになったが、幼稚園の頃は出席確認で名前を呼ばれて「はい」と返事をすることすら恥ずかしく、苦痛に思ってしまう子どもだった。
残念ながら娘は私にとても似てしまったのだろう。笑
そんな風に、私は娘の元々持っている性格、性質を理解はしている。
だけど、いつも心のどこかで娘のことを不安に思い、娘を一番信頼してあげなければいけない立場なのに、心の底から「大丈夫だよ」と言ってあげられずにいる。
実際自分もこの性格には随分困って生きてきたからこそ、簡単に「大丈夫」とは思えないのだ。
娘も私も、『ガラピコぷ~』のキャラクター達のように、人から見るとちょっと困った子なのだろう。
✱✱✱
『ガラピコぷ~』が物語の終盤に差し掛かり、これまで謎だったガラピコの故郷と、ガラピコの親となる博士は誰かという問題の答えが、ガラピコに内蔵されていたあるメッセージによって明かされた。
そのメッセージを録音(録画?)した主は、なんと未来の大人になったチョロミーだった。
ガラピコはしずく星で博士となった未来のチョロミーが、子どもの頃の自分に最高の友達を作ってあげたくてロボットを発明し、タイムマシンで送ったのだ。
これまでのお話でヒントがあったらしいのだが、私は全く気が付かずに見ていたので、この展開にとても驚いた。
あの超おてんばで不器用な、あのチョロミーが?!大人になって?!博士になっ…?!えええ??!?
チョロミーは落ち着きがなく、細かい丁寧な作業が苦手な描写が度々あった。
未来のチョロミーからのメッセージが流れる直前にも、春祭りの招待状を作るというくだりがあり、そこでも上手く出来ずに落ち込んでいた。
でも、未来のチョロミーは博士(科学者)という、その性格、性質からは想像できないような仕事に就き、とても楽しそうにガラピコを作っていたのだ。
(ちなみに、ガラピコを作った=ガラピコのおかあさんはチョロミーなので、ガラピコは最初からずっと「おかあさんといっしょ」だった、という見事なタイトル回収にもなっている。すごい👏)
そして、そのメッセージの中でチョロミーは子ども時代の自分に向けてこう言った。
「いろいろ上手くいかないことがあると思うんだ。
私知ってるからさ。
でも、あなたは大丈夫だから!」
これを聞いて、私は涙が出てきた。
このセリフは、娘と私、そして私達と同じように、うちの子大丈夫なのかなと、毎日不安を抱えながら子育てをする全ての人達に言ってくれているような気がしたのだ。
近年、多様性という言葉をよく目にするが、今私達がいる時代はまだ、多様性を認め合える社会の入口あたりにやっと辿り着いたぐらいなのだと思う。
そんな時代を生きる、線から少し外れたような性質を持つ子、そして育てる大人に、『ガラピコぷ~』の物語は「大丈夫」と声をかけてくれたのだ。
✱✱✱
『ガラピコぷ~』の放送が始まる前の記者発表で、脚本の山中隆次郎さんはこう語っていたらしい。
そのメッセージ、めちゃくちゃ伝わりました😭
子育てをする親が孤独になりやすい今の時代、特に幼児向けのテレビ番組の存在は本当にありがたく、子どもと過ごす日々に必要不可欠だと私は思っている。
一人になりたくてもなれない、そんな時に子どもにテレビを見ていてもらうだけで、少し一息つく時間ができる。(実際はテレビに夢中になっている間に、死ぬ気で家事を終わらせていることがほとんどだが)
夫よりも相棒、戦友と呼べる(笑)Eテレの幼児向け番組は、スタッフの方々、演者の方々が本当に愛を持って制作に携わってくれていることが伝わってくる。
娘は少し生きづらいタイプかもしれないけど、世の中にはこの番組を作ってくれた人達のように、新しい時代の価値観を発信してくれる人や、理解しようとしてくれる人達が確実にいる。
大丈夫だ。
『ガラピコぷ~』を見て、そう思えた。
ガラピコのお腹にある液晶画面に表示されたハートは、ずっと真ん中でギザギザに割れているのだが、これはチョロミーが作るのを少し失敗したせいらしい。
でも未来のチョロミー博士は、
「これくらい平気だね!👍」
と笑い飛ばし、そのままガラピコを過去に送ったのだ。
私はこのシーンが大好き。
そのままで大丈夫だよと、私も娘に伝えられる母でありたいと思う。