数II 新しい知見 共役の複素数

「ここは、5−6i love youだよ」

数IIの自習時間、彼は言う。

その発言に周囲は戸惑いを見せるも、沈黙が続く。

日本拳法数学者 Mr.manato
圧倒的センスと物理演算による戦闘スタイルを
兼ね備え、高校生でありながらエキシビションマッチにて靭帯を損傷しながらも元自衛隊を圧倒。

松葉杖生活を余儀なく送る事になるが練習は
怠らず、激しい鍛錬の末

新技 松葉杖パンチを🩼🤛開発
実戦投入レベルまで我が物にし、近所の公園での
5歳の子供と70歳のおばあちゃんとの試合にて

圧倒的体重差がありながらも一撃で勝利した男である。

彼の左手には松葉杖があり、誰も口を出せない。

「分かった?」

Mr.manato自身が沈黙を切り裂く。
分かる訳がない。そもそも天才の発言は一般人が理解できなきゃただの頭のおかしい人。

バカと天才が紙一重とはこうゆう事を言うのかと思った。彼は数学者であり、興味深いと思ったため
もう少し理解を深めようと話を聞く事にした。

そもそも共役の複素数とはa, bを実数とするとき,それぞれの複素数a+biに対して a−bi   

要するに共役複素数とは,それぞれの複素数(a+bi)の実部(a)を変えずに虚部(b)の符号だけを変えたものだと教えられている。

ここで僕が解いていた5+6iは5−6iが解答の筈だった。

だが彼は否定する。

「ここは5−6i love youだよ」と

love youは何処から来るのか、何を文字とした値
なのかMr.manatoは語る。

「君達は数学への愛が足りない、そもそも数学を本当に愛しているのなら、文字の後にlove youを付けるでしょ?iは2乗して−1になる値iの後にlove youを付けてもそれはみんなのiと同義だよ。」

その言葉で彼の数学への愛と貫禄に圧倒された。

来たる期末テスト、僕はMr.manatoの教えに則り
全ての解答にlove  youを加えた。

結果は0点だった。

よく考えたら可笑しな話だ、解答には存在しない
love youの文字、正解になるはずがない。

Mr.manatoの元に駆け寄り教えて貰った
松葉杖パンチで殴る。

Mr.manatoは手に持っていた物を落としたが僕は彼に詰める。

「君の数学への愛は歪んでいる、解答として不正解だし美しくない。」

彼は立ち上がり答える。

「失礼だな、純愛だよ。」

真剣な眼差しを前に下に目を逸らすと彼が
さっき落とした物が見えた。

障害者手帳。

彼の階級は特級だった。

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