おけけパワー中島と綾城さんの融合体が自カプに来た話

タイトルの通りだ。

自ジャンルにおけけパワー中島と綾城さんの融合体がやって来た。
(詳しくは真田さんの漫画「同人女の感情シリーズ」を参照)

簡単に説明すると、綾城さんは界隈で神と称される孤高の字書き。
おけけパワー中島は、その綾城さんとほぼ唯一?仲の良い、恐ろしくフットワーク(と口調)の軽い字書きのことだ。

綾城さんが神すぎるが故の悲しき事故だが、おけけパワー中島が綾城さんの作品に対し「めっちゃ笑ったw」など軽口リプしているのを見た綾城さん信者は、おけけパワー中島を敵視する。
が、おけけパワー中島、そのフットワークの軽さから、超無名字書きのブクマ0作品を見つけて感想を呟いたりしてくれる、めちゃくちゃいい人でもあるのだ。

話を戻す。

彼女は突然襲来した。
現在かなり盛り上がっているジャンルの、暫定最王道カップリング。
神と呼ばれる絵描き、字書き共にこの一年で出揃った感があり、界隈もその神々を中心に回っていた。
神が右と言えば左も右…とまではいかないが、やはり影響は大きい。
神絵師と神字書きが積極的に交流し合い、私のような無名字書きは、全く別次元の世界の話だ…と、ただ眺めていた。
とはいえ周りの大抵の字書きが同じように神々の戯れを眺めているのを知っていたし、無名同士仲良くやっていきましょう、みたいな連帯感もあった。
(勝手に)神と自分たちを棲み分け、楽しく過ごしていた。
までが、半年前の話。

ある時、自カプに新しい字書きが参入した。
彼女はハマりたて特有のパッションがあり、作品をかなりの更新頻度でpixivにあげていた。
それ自体はよくあることだ。珍しいことでもない。ただ一点、普通とは明らかに違う点があった。

その話が、やたら面白いのだ。

毎日のように更新されては、毎回新鮮に面白い。
3000字程度の短編もあれば、1万字以上の中編もあげる。たまに3万字以上の長編もあげる。
更新頻度が高すぎて、周りの字書きは圧倒されいていた。当然、私もだ。
自カプの高クオリティ小説がバンバンあがるのは、誰にとっても嬉しいに決まってる。
今現在『同人女の感情シリーズ』が流行ってるだけあって、無名字書き同士の間では新規字書きのことを「綾城さんが登場した」と話題にしたりもしていた。

そう、最初は私達も、なんだか凄い人が登場したぞ。
ぐらいにしか思っていなかった。
というのも、ハマりたてのパッションというのは長く続かないことも、自らの経験で分かっていたからだ。
最初の一ヶ月ぐらいでこの盛り上がりは終わり、更新ペースも下がるのだろうと勝手に思っていた。なんなら、この勢いならすぐ居なくなってしまうのでは?とも。

しかしだ。
新規字書きの更新ペースは全く落ちることなく、界隈の神たちがどんどんフォローやリツイートをしていく。ほぼフォローをしない神絵描きや神字書きも、どんどんフォローしていく。
新規字書きはあっという間に界隈で有名になり、瞬く間に1000人以上のフォロワーを獲得した。

字書きなら特に分かると思うが、わずか半年で小説書きが1000フォロワー超えは、夢物語である。アメリカンドリームである。
しかし私は、それが夢でないことを知ってしまった。

正直、かなりショックだった。
自分は界隈に既に一年以上いて、まだフォロワーは200弱だ。しかし、それが界隈では普通どころかむしろいい方で、私は「無名字書きの中でも、まあまあの位置にいる」ぐらいの自認があったことを思い知らされた。
無名同士仲良くやっていきましょう、というノリで居ながら、実はフォロワー数でちょっとマウントを取っていたのだ。恥ずかしい。

そして何より、この新規字書きは、【綾城さん】という神字書きでありながら、なんと【おけけパワー中島】のフットワークを持っていた。
それが私には、かなりの衝撃だった。

同人女の感情シリーズに於ける綾城さんは、神字書きかつ、あまり交流をしない人として描かれている。神すぎるが故に、恐れ多くて近づけない…という信者ばかりだから、ということもある。
けれど綾城さんのような人は、実際居る。
ストイックに作品をあげ続け、殆どツイートをせず・交流も最小限で・リプライも時々返す。
でもそれでいい。神は神らしく、孤高でいてほしい。
これは完全に、信者のエゴであり、醜い感情である。
神は神同士でしか交流しない。だから私は交流してもらえないんだ、という安心感があるのだ。

しかし、この新規字書きは違った。
小説を更新しながら、萌え語りやアニメの実況もバンバンする。リプライにも即レスする。マシュマロも返す。フリースペースで開放されたmocriにも現れて楽しそうに喋る。

しかも、その全てがフラットなのだ。
フォロワーがどれだけ増えようが、小説がどれほど評価されようが、神と崇められようが、全く気にしていない。どうでもよさそうですらある。
ただ自カプが好きで、萌えを語りたい、発散したいというだけの人間なのだ。

更には、自カプの名前で検索をかけまくっているらしく、小説も絵もいいねしまくっている。フォロー外から失礼します、と感想も送っていて、マシュマロやお題箱に届いた新規字書きからのメッセージに返信している人もたくさん見た。
なんなら、私ももらったことがある。
めちゃくちゃ嬉しい感想が書いてあって、凄くちゃんと読み込んでくれていることが分かる文章だった。

新人類だと思った。
二次創作という、他人の土俵で遊ばせてもらってる場で勝ち負けなんて存在しないのだが、正直、負けたと思った。
というか、勝ち目がない。
この新規字書きは、二次創作の土俵には上がっているが、ふんどしを取り合わないのだ。のこったのこった!も言わない。ただ土俵に上がって「よろしくお願いします!」と頭を下げて、戦わずに帰っていく。

そんな新人類が、同ジャンルの、同カプの、同じ字書きとして存在している。
私と私の周りの字書きたちは、圧倒されながらも、嫉妬心を覚えずにはいられなかった。

もしこれが同人女の感情シリーズだったら、私達同カプの腐女子達は、嫉妬心を糧に創作を頑張るだろう。この漫画のいいところは、嫉妬や怒りのパワーが全て創作に向くことだ。だから安心して読めるし、清々しい。

しかし、この世界は漫画ではない。
承認欲求が爆発している人間が少なからずいる同人界という現実だ。
感想をもらって喜んだくせに、その相手に嫉妬してしまうのだ。
例えば「自分もこれだけのクオリティで小説が書けたら、神とも交流出来て、その心の余裕から他人にも優しく出来ていたのでは?」なんて考える。
次に「こんな新人類がいるなら自分の小説なんて、神はどうでもいいよな」と考える。
次に「正直自分の方がいい文章を書くのに、見てもらえないことが腹立たしい」までいって、
最終的に「この新人類がうちに来なければこんなこと考えなくて済んだのに」とすら思ってしまった。
他の字書きとも同じような話を繰り返しして、しかし新人類は何も悪くないので、さんざん愚痴を言ったあとに一人で自己嫌悪に陥る。

そうなると、今度は小説が書けなくなった。
「神に知ってほしい、人に評価されたい」という感情に支配されて書いていたことが明らかになった今、純粋な萌えの感情だけで書いている新人類に、何もかも劣っているように思えて仕方ないのだ。
完全に負のループに入り、暗澹たる気持ちを抱え続け、筆が止まる。
それは周りも同じだった。
その間にも、新作をバンバン発表し続ける新人類はどんどん有名になり、愛されていく。
今ではもう、他の追随を許さないほどの人気になりつつあった。

私たちは、それを虚ろな目で見ることしか出来ない。
そして私は、こんなどうしようもない感情をただ書き連ねて、わざわざノートに投稿しようとしている。
この時間で、きっと新人類は小説を書いている。
未だ、差は歴然だ。

以上が【おけけパワー中島と綾城さんの融合体が自カプに来た話】の一部始終である。
こんなに分かりやすい【現実の同人女の感情】もあるのだという紹介のようになったが、単純に愚痴と懺悔だ。

ここまで読んでくださって有難うございました。
今後自カプに新人類が来たとしても、私のようにはならないでください。