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東北旅②
2025年1月29日 一泊二日 山形・新潟旅
1日目:秘境を越えて、大正浪漫の温泉街へ
前夜、久しぶりに会う友人と食事をし、積もる話をしながら歩いていたら、気づけば新宿から目黒まで10キロも歩いていた。思いがけず長距離を歩いたせいで、翌朝になっても足が痺れていた。
そんな状態で迎えた山形への旅。夜行バスは予定通り山形駅に到着した。安達太良SAでは、2週間前に訪れた秋田の時とは違い、雪がすっかり消えていた。しかし、山形は別だった。街は銀世界に包まれ、時折吹き荒れる強風が、旅の困難さを予感させた。
いつものように新幹線に乗り、新庄駅へと向かう。そこから代行バスに乗り換え、高屋駅で下車。バスの運転手に「ここで降りるのは珍しいですね」と言われるほど、人の気配がない場所だった。実際、降りたのは私ひとりだった。
ここから目的地まで、30分ほど雪道を歩く。雪が降り続く中、強風に煽られながら傘を差し、前へ進んだ。道を通る車が巻き上げる汚れた雪、除雪剤で変に溶けた泥雪。つま先の感覚はすぐに失われ、ひたすら歩き続けるしかなかった。
「もう二度とこの道は歩きたくない」――心の底からそう思った。
それでも、苦労した分だけ、たどり着いた時の感動は大きかった。そこにあったのは、日本百選の滝のひとつ、白糸の滝。松尾芭蕉がこの地の最上川で詠んだという歴史も相まって、厳しい自然の中に佇むその姿は神秘的だった。
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しばらく滝の景色を眺めた後、バス停へ向かい、臨時の待合所で暖をとる。そして新庄へ戻り、新幹線に乗って次の目的地へ。
新幹線を降りたのは大石田駅。ここからさらにバスに乗り、約1時間。次に向かったのは、大正浪漫漂う温泉街、銀山温泉だった。
木造の旅館が立ち並び、どこか懐かしい雰囲気が漂うその街並みは、まるで別世界のようだった。昼と夜とで異なる表情を見せるその景色に、思わず足を止めて見入ってしまう。
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途中、気になる喫茶店を見つけ、1時間ほど並んだ。レトロな雰囲気が印象的な店内は、時間の流れさえもゆっくりと感じられるようだった。
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今日の旅は、過酷な道のりの先に、心を揺さぶる風景が待っていた。雪に閉ざされた秘境を越え、大正時代に迷い込んだかのような温泉街へ。明日はクラゲの街に行くんだ。