月刊RTAランキング1位から分かる、伸びるbiimチルドレンの実力

かつて筆者はbiimチルドレンだった。
流行りのRTA動画に乗っかり誰もやっていないレギュと言い切りそして投稿したが再生数は2000程度だった。次を作るも再生数は減っていきあっという間に1000を割ったため完結させずに逃げるように去った。
どうしても投稿者というものは再生数を気にしてしまう。去った後は伸びている投稿者に憎しみを感じた。

人気投稿者は名前で売っている。
この人が出したならばどんな動画でも伸びる。

最初はそう思っていたが本質はそうではない。
ニコニコ動画内の月刊RTAランキングの1位を取っている兄貴は、しっかりとやっている。

集計が始まった2020年8月号から1位の兄貴たちをかつてチルドレンだった目線から分析しようと思う。
親は除外する。

1度だけ載った兄貴たち

asutoro兄貴

発売されたばかりの桃鉄で1位を獲得。流行りのゲームというだけでなく
レイアウトが綺麗である。
左下の主張が強すぎず字幕もボイスのテンポに合わせて見やすい。
右枠にはネタを仕込んでいる。
特徴としてはチャートの変化に触れているところであった。
RTA走者でもない自分にとってどのようにプレイスタイルや考え方が変わっているのかを見るのは楽しい。
投稿者との距離が近い。WRというインパクトもあって見ていて良い時間を味わえた。

とうひよ兄貴

バイオで1位、現在バイオはずんだもんが人気を博しているbiimチルドレンも多い激戦区である。
筆者はバイオに詳しく大抵のRTA動画を視聴しているがとうひよ兄貴は左下の変化も多く臨場感溢れる構成になっている。
画面レイアウトについてメイン画面が右上なのは中々見ない構成だがアバターである左下とまとめて右枠を左に表示しているので
視野に本編が入り切りバイオの臨場感を深く味わえる構成だった。
言葉選びもセンスがあり開発時の様子もトークで取り上げているため移動が多いバイオでも飽きなかった。
バイオを知らない人にこそ見て欲しい動画である。

おすら兄貴

テイルズで1位、6時間越えという長編を見事14回にまとめて完走しきっただけで褒めたい人である。
腕前はそこまでな印象だったがPS版とSFC版の違いにも触れ語録も多いし右枠はミッチミチに詰まっている。イベント中のストーリー解説は正直読めないレベルだった。
特徴的なのは声を2種類使い分けていること。RTAのプレイヤーらしい熱のこもったトークと淡々とした解説を使い分けていた。
字幕の色も少し変えているだけでなく右枠の重要ポイントも赤色で表示するといった配慮がある。とても重要な場所は字幕を大きくするところもあった。
そして画面の配置がイベントでは変わり右枠が2つに増えていた。
筆者が見る限り右枠を途中で増設するといったチルドレンで思い当たるのはおすら兄貴くらいである。このように言ったら名も知られていない底辺投稿者の名前を出されそうだがそういうものは求めていない。右枠が増えると目が疲れると思いきやきびきびした動きが少ないイベントシーンなため、十分読み切ることができた。巧い手だ。

ワディ兄貴

ポケモンで1位、筆者もやりこんだゲームだった。ポケモンもバイオと同じくチルドレンが多い激戦区であり編集とチャートの凝らし方が注目だ。SEは無いものの語録が多くあかりちゃんの表情も可愛い。
気になるところは特徴がいまひとつ感じなかったところである。
途中の回だけが伸びていることも多いがガバの聖地となる見所があるわけでもなかった。面白いというより無味な感じがした。Youtubeで垂れ流すような人たちにヒットしているのだろうか。兄貴が伸びている理由こそが新しい視聴者開拓の余地を示しているような気がする。

エンペラ兄貴

大奥記で1位、このゲームを傑作RTA動画に育てたのは紛れもなくトークだ。
右枠やレイアウトではなくトーク一本。
二人の掛け合い漫才でどんどんと雰囲気が悪くなっていく様子が面白い。親の動画に近く睡眠導入剤にうってつけだった。
またエンペラ兄貴の特徴として掛け合いだけでなく丁寧に練られたチャートと試行回数がある。誰もやっていないからといって行き当たりな走りではないことはトークを通じても分かる。この兄貴も当時の様子や開発の話に触れておりゲームの知識が分かる動画だ。

ゆゆキチ兄貴

デスクリムゾンで1位、ゲーム選びのセンスとどこから仕入れたのか全く分からない妙に深い知識が何よりの特徴。
イベントへの露出も多く知名度ならトップクラスな人だがレイアウトも凝っている。色がきつく正直言ってメイン画面以外を見ていると目が痛くなる。自然とメイン画面に目が行く構成であり狙っているならば凄い発想だ。
字幕と右枠の内容はシンプルで濃いゲームを邪魔しないゲーム愛にあふれた内容だった。

兄貴たちの共通点

どれも動画が面白い。
ゆゆキチ兄貴に代表されるが他のチルドレンでは見られない動画だった。ゲーム選びトークスキル右枠のネタどれか一つでも飛び出していないと1位は取れないのが分かる。一人例外な兄貴が居たが似た理由だと思う。
個性というものが必要だ。

複数回載った兄貴たち

にくまぞく兄貴

にくまぞく兄貴はbiimシステムそのものをゲームに合うように取り組んでおり、マハラジャや仮面ライダーなどどれもメイン画面を邪魔しない。右枠の表示も凝っており一目で状況が理解できる。スッと頭に入ってくる構成をしている。
語録も多くボイスが途切れることがないし右枠でネタも拾ってくる。読み上げを少し変更して字幕と違う所を出したりコメントがしやすい。
ゲームスピードが分かるようなアニメーションも導入している配慮もあり抵抗なく動画が流れるようになっていた。
このような動画編集に重要な配慮が詰まった動画だった。この当たり前の編集をやり切ることができる兄貴は素晴らしい。

つるポン兄貴

つるポン兄貴はプレイの濃度が高い。投稿しているのはアクションゲームのメトロイドシリーズが多くメイン画面で魅せてくる。
この人も基本が出来ている。語録は一切使わないが右枠で現在地を表示したりアイテムの状況を示すという分かりやすい構成をしている。トークも途切れず終始見せ場が来るアクションゲームにおいて巧く言葉を選んでいる。
つるポン兄貴といえばオ〇ム真理教ネタが人気な所はあるがそれだけでは1位をこれほど多くは取れない。筆者はメトロイドをスーファミの作品と最近のFPSしか触れていないがそれだけでも分かるほど演出が凝っていた。敵の情報の表示の仕方をゲームと同じように再現したり(恐らく自作の)絵を動かして解説を盛り上げている。これほどメトロイドに凝っている動画は無いと思う。

ピロ彦兄貴

ピロ彦兄貴はサムネが特徴的ですぐ分かる。ボイロが常に大きく表示され深夜アニメを見ているような目の保養になった。
TASのようなメモリの改変を行ったりするというなんでもありRTAは貴重。解説は難しいが何だかよくわからないけど凄いことをしているということが伝わってくる。RTAinJapanで同じ企画があればネット記事になるほどなんでもありRTAは面白い。
右枠はミッチミチで正直読めないのだがむしろそれを面白ポイントとして出しているようなところがあった。メモリを羅列して文字化けをそのまま読み上げたりするとインパクトもある。これを実践するほどの調査に裏付けられた確かな知識がピロ彦兄貴の最大の特徴だろう。

茶豆兄貴

茶豆兄貴は1位の常連である。ゲームはメジャーゲームが多く声色も聞き取りやすい。立ち絵も美しくサムネの時点で投稿者が分かる。当時のCMやPVを流し共感や思い出話をする視聴者も多くリピーターが多いのがよく分かる。
編集は特に凝っている様子もなくシンプルに尽きる。情報は最小限にしてゲームとトークを邪魔しない。下の字幕の配置も見やすく文字サイズにも細かい変化があった。しかしシンプルだからこそ丁寧に画像などが配置されており配慮を感じた。

イベントシーンでは静かにしていることが多くレトロゲームの思い出話をしやすくなっている。コメントを巻き込むのが巧い。
盛り上がるコメントを見て筆者も何度も書き込んでしまった。この結果が茶豆兄貴のコメントが多い理由なのだろう。

まとめ

複数回載った兄貴たちはどれも基本がしっかりと出来ている。
基本とは視聴者が見やすくするための配慮だと筆者は思っている。
誤読が少なく字幕が途切れず右枠は埋めている。これらは時間と見る側への配慮があれば必ず出来ることだ。筆者がチルドレンだった頃は分かっていたものの面倒さが勝ってしまっていた。
それだけでなく調査やプレイの腕前が一流である。RTAを見に来ているのだから上手くなければならない。WRクラスとはいかないものの見ていられないようなプレイでは視聴が止まってしまう。
語録に甘えるのではなく語録の上に言葉選びがあり頭が良いということも見える。頭の良さと動画の面白さは必ず関係があるだろう。
動画投稿は簡単だが基本を守るのは難しい。
基本の上に自分の個性を表現するのは更に難しい。
これはbiimシステムに限らないことだろう。


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