私は嘘つきだ 〜嘘つきのパラグラフ〜
嘘って言葉遊びなんですよ。
まあ聞いてください、必ず納得させてみせますから。
余談ですが、私は友達から「でまかせにそれらしい理屈を通すのが妙に上手い」と褒められたことがあります。
「嘘」を辞書で引くと、このように説明されています。
嘘というとなんとなく、人を騙す悪意ある言葉のことだと思ってしまいますが、実は考えや感情は定義に含まれていないんですね。
でもこれって、言葉の運用としてはとっても不思議で不自然じゃないですか?
言葉とは、できごとや考え、気持ちなどを伝える手段なんです。なのに嘘は、それらを定義に含まず、別にそれらが無くても成立してしまう。
「人を騙したい」「面白がってほしい」という気持ちを伴うことはありますけど、それを「決まった発音と意味とが結びついたもの」とは言えませんよね。
言葉であるはずなのに、言葉の定義から外れた運用をされている。こんな変な言葉の使い方って他にありますか?
あります。言葉遊びです。
言葉の運用を手段ではなく目的とし、言葉の内容よりも文字や音に着目する。それが言葉遊びです。
「竹やぶ焼けた」は竹林で火事が起きたことを伝えたいわけではありません。逆から読んでも同じ読みになるのが面白いよねー、というだけです。
そう考えると、嘘と言葉遊びってよく似てますよね。
もちろん、悪意を持って発せられた嘘は悪でしょうけれど、エンタメ性があったり、逆に何の意味もないような無害な嘘は、言葉で遊んでいるだけと言えます。
つまり、嘘って言葉遊びなんですよ。
丸め込んだところで、遅まきながら自己紹介をさせてください。
ひらがな2文字にカタカナ7文字、自称世界一読めないVTuber(準備中)(動画作りをすごくサボっている)の、「あ あ(イノウエ カヨコ)」といいます。
趣味は言葉遊び、謎解き、もっともらしい嘘をつくことです。
言葉遊びコミュニティ「ピーコロン」には、嘘の雑学を書き込む「嘘豆知識」というスレッドがあり、私は時々発作的に大量の嘘豆知識を書き込んでいます。
以下はその実例です。
こんなことばかりやっていたら、ピーコロンの嘘つき代表扱いされたり、「実在するカスの嘘お姉さん」と称されたりするようになりました。
嘘豆知識はいいですよ。
まず、世の中の「こうだったら面白いのにな」という空想を、言葉の上でだけとはいえ現実世界に持ってこれます。
私が調べた限りでは、焼き芋って自然発生的に生まれて庶民の生活に浸透していったらしいんです。
あまりに普通すぎて面白くありません。まあ現実って得てしてそんなものです。
でも、もしもこれが芋畑の焼畑から始まってたら、ちょっとドラマチックで面白いじゃないですか。
そんな空想を語るのに、嘘豆知識のフォーマットはピッタリなんです。
あと、嘘を作り上げる過程で、本当の雑学が増えることもあります。
私は嘘をつく前に、ある程度調べてそれが事実でないことを確認するようにしています。裏取りの逆、「裏取れず」です。
「傘は元々日差しを遮る目的で作られたので、日傘はレトロニム」という嘘を思いついた時も裏取れずをしたんですが、なんと傘の起源は、4000年前のエジプト等で作られた高貴な人の日除けでした。裏が取れちゃった。
でもこれはこれで、おもしろ雑学を仕入れることができたので良しとしました。
嘘から出た実じゃないですけど、こういうこともあるから面白い。
罪のない嘘は楽しい言葉遊びであり、お題のない大喜利であり、創造的で知的な営みです。
何かの由来や理由が気になった時、すぐに調べるのもいいですけど、まずは嘘をこじつけて遊んでみませんか?
暗がりを照らすために作られたはずの電球がイルミネーションとして街を賑わわせるように、意味のない嘘が人生を彩ることもあるかもしれませんよ。たぶん。