樋口円香「キン・コン」を読んだ感想
カードを読みながら思った考えなどをまとめておいた内容です。 まだ未読の方はご注意ください。
※円香の他のカードやシナリオイベントのネタバレがたくさんあります。
ご注意ください
上澄
最初は、プロデューサーが円香に町おこし祭りの仕事内容を伝えることから始まります。
瀝青観測
町おこし祭りのリハーサル終了後から始まります。
プロデューサーが褒める言葉をすぐに受け入れず、周囲に向ける円香。 この部分については、後でもう一度言及させていただきます。
その後実行委員と話をすることになりますが、個人的には記憶に残った部分です。
ここで実行委員は円香を起用したことについて、円香だから起用したのではなく、若いアイドルだったから起用したという風に言います。 これに高いトーンの働くモードで定石的な応答をする円香とは逆に、円香の魅力についてアピールするプロデューサーが対照的だ。
左の選択肢を選ぶと若い世代だけでなく実行委員を含むすべての方に響くと自信します。
個人的にこの選択肢ではやはりLP以後だからこんな言葉が可能だったのかな… という風になります。 歌は技術が一番大事だと言っていた円香が、歌は耳ではなく心で聴くものだと思うと言うようになった円香のLPシーンを思い出しますね。 これ以上話すと、LPについて一生話すことになりますので、ここで止めます。
真ん中の選択肢を選ぶと、自分が言葉で伝えるより早く円香の歌を聞いてほしいと考えるプロデューサーとこれに円香がこう言います。
え!!!!!!!!!!!!!
これ見た瞬間こうなりました。ここで来るのか…(油断していたから本当にびっくりしました)
右の選択肢を選ぶと樋口円香の色、そしてどんな感じで煌めいているのか感じてほしいとプロデューサーは答えます。 個人的には、この部分についてプロデューサーが円香の「色」を言葉にしたことが記憶に残っています。
円香と「色」について言葉が出たので、ここで【オイサラバエル】や【ピトス・エルピス】について少しお話ししましょう。
簡単に要約すると、オイサラバエルでは美しいものの話、美的価値観の話が主に流れていきますが、TrueEndで円香は美しいものは透明かもしれないという結論に達します。
【ピトス・エルピス】の最後のgemでも「透明な音じゃないと」と思いながら透明について追求し続ける姿を見せてくれますが、プロデューサーは透明でない内面の激情を外に出した円香の声を高く評価します。
このように、以前までの円香は透明さを美しいと思いながら透明さを追求してきましたが、逆にプロデューサーは透明でない姿を望んでいるように見えました。 そして実行委員に円香の色を、そしてどんな感じで煌めいているのか感じてほしいという言葉は、LPを通じてcolorになった今の成長した円香だからこそ可能だった言葉だったと思います。
そしてそんなプロデューサーの言葉に対する円香の反応は
この流れを聞くと、あ… LP以降の円香とプロデューサーの関係だな…となります。 プロデューサーが円香の魅力をアピールしたことについてこんなふうに反応するこの時の円香の声と演技は本当にすごいなと思いました…
宙へ還る
宙へ還るは、フェスティバルの初日が終わった後、プロデューサーの部屋で2人で話すことから始まります。
円香のこういうセリフを聞くと、まだ自分を過小評価しているような癖が感じますね。
花火というのは果たして花火だけを意味するのかという気もします。 「花火」を目的にくる「旅行客」たちが近くで見られる部屋を利用するべき、という言葉は'「アイドル」を目的に本気で挑む「他のアイドルたち」の席に自分がいる'と解釈されます。
この解釈でが他のアイドルたちに比べて軽いだけの自分への思いを表したwingやgradのシナリオを思い出しました。
円香のwingシナリオ「二酸化炭素濃度の話」やgradのシナリオを読んでみると、アイドルに本気で重く挑む他の子たちと、ただ軽いとしか思えない自分を比較する内容が出てきます。
アイドルを始めるきっかけも、その過程も軽いだけだと自分を評価する円香のこういうところは自分を過小評価する部分もありますが、個人的には周りを高く評価する部分も存在しているからこういう評価を出すのだと思います。 円香は自分に対して適当に努力していると評価していますが、実はレッスン室でトレーニングを頑張っているという言葉がずっと出ているんです。 美琴ほど話が出るわけではありませんが、レッスン室をよく借りて練習しているという言葉はよく出ています。
それほど努力する円香が自分のことをこんなに過小評価するようになるのは、おそらく円香の目には自分の周りの人たちがあまりにも輝いて見えるからではないでしょうか。 周りがあまりにも輝いて見えるから自分も努力するけど、自分のきらめきには目を向ける円香の現在の問題点。 LPで円香は、ファンたちがよりレベルの高い歌を聞きたがるのではなく、自分が歌う歌を聞きたがっていることに気付きますが… まだ解決すべき部分が残っているように見えます… この話は後から続けたいと思います。
この後はプロデューサーの花火を一緒に見ようという誘いに円香はこう断りますが…
え………………..?
プロデューサーなら朝起こしてくれることが許されるほど進行したということ…? やはりLP以降のこの距離感は読むたびにドキドキしますね。
その後続く流れ。 円香がプロデューサーの隙を見るために挑発してみたけど、プロデューサーが模範的な回答で打ち返す場面ですが… ある意味、円香が挑発するために一度線を越えてみたとも解釈できますが、私は果たして円香が自分が許さないことまで取り出して挑発をしたのだろうか…?と思いますね。 つまり、朝プロデューサーが起こしてくれることを内心望んでいたのではないか?というオタクの妄想。
左の選択肢を選ぶと、花火の一瞬の迫力を楽しみ、消えた後の余韻を味わうという刹那の煌めきについてプロデューサーが話します。
この部分は、最近あったユニットシナリオのワールプールフールガールズを思い出しますね。
真ん中の選択肢を選ぶと、プロデューサーが花火の意味について話し、これに対して円香は花火をただ散り様を消費され消えていく存在だと言います。
個人的な解釈ですが、ここで円香は花火を見ながらアイドルあるいはアイドルとしての自分を見たのではないでしょうか。
上で話したように、円香は花火にアイドルを投影しているのだと思われます。 そして【オイサラバエル】やワールプールフールガールズなどを見ると、円香はいつか終わりが来ることを認知しています。 そしてシャニマスの最近の動きも「いつか終わりは来る。 「だから二度と来ない今しかない瞬間を楽しもう」でもありますし。 こうした流れの中で円香は散り様を消費され消えていく花火を見てアイドル、あるいはアイドルとしての自分を見たのだと思います。
そして、そんな円香にプロデューサーはこう答えます。
花火にアイドルとしての自分を重ねて見る円香にこんな答えをするプロデューサー…これは落ちるしかないですね。
プロデューサーのこの答えを聞くと、先ほどお話しした花火でアイドルを見ている円香に対する解釈がある程度納得いただけると思います。
そして続く円香のストレートパンチ。 ここで私は語彙力を失いました。
火毬
火毬は2日目のライブ終了後の時点で始まります。
円香のライブについて実行委員が賞賛する場面ですが、今の円香の歌は聴くひとりひとりの歌になっているから、心に響いたのでしょうか。
その後、プロデューサーが業務連絡で席を外すと、一人で露店を見回す円香ですが、プロデューサーが早く合流すると、このような言葉をかけてきます。
はい、ミスター・フェスティバルの追加です。
このセリフとともにssrの演出が現れますが… その面は似合わないと言いながら円香がプロデューサーの仮面を外す演出… これはどう考えてみてもやはり今までの円香コミュでよく登場した円香のプロデューサーではなく、あなたの内面が見たいという気持ちが表現されたものだと考えます。
プロデューサーがどんな行動をしてくれても、円香は’これは私がアイドルで、あなたが私のプロデューサーだからする行動…’と考え、プロデューサーのプロデューサーではない時の姿を自分に表してほしいと思います。
【merry】ではプロデューサーと花子の関係で一度登場したし、LPではプロデューサーが直接線を越えて 自分をある程度見せてくれましたが…まだ円香は足りないようですね。
このような円香のプロデューサーの内面を見たがる姿は【merry】でよく表れています。 NREMで円香が私がアイドルじゃなくなった時のプロデューサーについて聞く夢をプロデューサーが見る場面やWEEKDAYでプロデューサーからクリスマスプレゼントに欲しいことを聞かれると、プロデューサーではない時のあなたと答える円香や、HOLIDAYでの花子と家庭教師の設定とか…
信頼度の台詞を聞いてみても、このような円香の本音がよく見えます。
そしてそんな円香に答えるように、プロデューサーも円香には特に自分の油断した隙を見せないようにしている姿が見えます。
もう一度言いますが、【merry】は本当にすごいカードなので是非読んでください。(強調)
まとめると、今回のカードの演出の中でプロデューサーの仮面を剥がす円香の姿は、普段プロデューサーという面をかぶっているプロデューサーの内面を見たいという円香の本音を表したものだと解釈されます。 そして仮面を外したあと円香の一言。「…まったく似合いませんね」。
カードの演出もよく見ると円香は仮面の表ではなく内面をもっと詳しく見てこう言います。普通,人は仮面を見る時、内面ではなく表面をもっと見ますけどね。 円香がこのように仮面の内面をもっと詳しく確認する姿は、普段プロデューサーとしての仮面をかぶっているシャニPの内面を見たいという本音にも解釈されます。 そして直前に円香が独白した「今を越えて」そしてもう一度強調する「今」。 円香は今の関係からもう少し前進したいのでしょうか。
定義する、今
そして待望のTrueEnd。
プロデューサーは自分が目指すプロデュースの道筋について考え、今の状況について堅結びを緩めたと思ったら引っ張ってしまったと表現します。 プロデューサーが語る自分の目指すプロデュースの道筋にはいろいろ考えがあると思いますが、私はラLPの円香がプロデューサーにあなたはアイドルをプロデュースしてない、私をプロデュースしていると言ったシーンを思い出します。 結びに対する部分はLPを通じてある程度解決されたと思われた部分が、実はまだ解決されていない部分があるという暗示なのでしょうか。
その後円香はアイスカフェラテをメガサイズでもらい、大きすぎると感じながらこんな独白をしますが、あまりにも大きな飲み物をもらった自分を見て大きすぎる夢を持たないように自分自身を制限しているように見えます。
自分の身の程を知りたいのかという自分の問いに円香は最後まで答えられず返事を延ばします。 暑い、が急に終わって「今」を過ぎていくと言いながら、その後寒いと言いますが、これをアイスカフェラテを飲みながら考えたことで、あまりにも大きな夢(メガサイズのアイスカフェラテ)のせいで「暑い今」が終わり「寒くなる」と比喩したのではないかという解釈ができるかもしれませんね。 このように円香の自分を過小評価しながら自分を制限する部分については【ダ・カラ】カードの内容も思いだしました。
このカードでは透を見ながら自分に過度な夢を見るなと自分に制約をかける姿が描かれるのですが… この部分については円香の内部に存在する透に対する劣等感や憧れのような複雑な感情が混ざっていると考えていますが、言葉ではうまく表現できませんね… この部分を解決し、円香の自分への過小評価をある程度解決して自信を与えることが、おそらく次のシナリオの目的ではないかと思います。
余談
ついでに今回のカードのフェス演出や衣装を見て本当に色んなことを考えました。
みんな静かで(calm)純粋な(clear)水面(marine)を連想させる青色で「同じ色」の衣装だった1次衣装。まだアイドル個人としてのアcイデンティティはなくノクチルというユニットで、ただ幼なじみの傍にいるために始めた初期。
アイドル個人としてのアイデンティティを探し始めた、静かな水面にさざ波が起き始める(Rippling)。それぞれ自分の「色」を探し始め、少しずつ自分の色を外に出す2次衣装。
アイドルとしての個人のアイデンティティを探してさざ波が起きた海には今、微風(Breeze)が吹く始める。 そして、その小さな風に身を任せて芸能界という海を航海(Sail)する物語(Tail)を書き始める。 それぞれ見つけた自分の色を外へ現した3次衣装。
自分の色がより強くなり強調される4次衣装。
自分の色を出しながらも、メンバーとの共通した色と混ざるようにグラデーションで持つようになった5次衣装。
そしてメンバーたちの色に染まり始める今回の6次衣装…
演出の中、こういう場面を見るとそれぞれ自分の色を見つけ出し、これを持ちながらも他のメンバーと調和しているんだなと思います。
ちなみに…
今回のフェス演出と1次フェス演出がよく似ています。でも1次は水面から走っていて水に落ちる順番で、今回のカードは逆に水中から水面へ出てくる演出ですね。
スタートを意味する1次カードの演出と似ていながらも順番が逆だということを考えてみると、ユニットから始まって個人のアイデンティティを探し出していたノクチルは今,定着した個人のアイデンティティを持ちながらユニットとして成長するストーリーを暗示しているのではないでしょうか。 最初は個人のアイデンティティなしにユニットとして始めたノクチルが、それぞれのアイデンティティを持った状態で再びユニットとして成長し始めるストーリーが出てくるとすれば、かなり楽しみですね。
最後に
これからの円香に残された課題は、自分への自信を高め、過小評価を減らすことになるのではないか… という気がしますね。 STEPを通じて追加的な内容を聞き出し、次の育成シナリオであるいはユニットシナリオイベントで解決させるのではないかと思います。 今の予想では円香の自分の過小評価には透がある程度影響があったとか…? この二人の関係は以前からよく暗示されてきただけ、いつかはこれを中心に扱う話が出てくるかもしれないですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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