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樋口円香 STEP を読んだ感想



※円香の他のカードやシナリオイベントのネタバレがたくさんあります。
 ご注意ください







水盤に落針

時点はノクチルの中で透一人が283に加入した時点。
透がアイドルになることを知った状況で”今まではずっと断っていたのに、どうしてアイドルになろうと思ったんだろう”という小糸とひななの会話を考えながら出てくる円香の独白。

この部分は円香のwing敗退のシーンや「UNTITLED」を思い出しますね。

WING - 敗退コミュ

以前まではこの部分を、円香が初めてまともな目的を持って行動したということを、たとえ失敗しても一歩踏み出すことに成功したという風に考えたと解釈していましたが、STEPと共に見れば、すでに飛んでいった透の後を追っていこうと思ったというふうにも解釈できるかもしれませんね。

UNTITLED - 部屋

そしてUNTITLEDの円香が自分だけが透のことを理解しているというような考えはここでも感じられました。

最後に”どうして”と言うのは、自分を気にせずに一人で飛んで行こうとする浅倉にする言葉ではなかったでしょうか。


鏡の花、水の中の月


アイドルなんてなる必要があったのかという円香の質問に透は、パーンってきたから、飛ばしてくれるだってと答えます。この部分は透のstepの内容ですね。

窓を開けて空を見ながら”飛ばしてくれるだって”という透の答えには空が見えてますが、逆に答えを聞いた円香の独白にはくらい水面が見えています。 今まで飛びたかったが、その方法を知らなかった透にアイドルという方法を答えることで渇望が解決し前を見ている透と、それに比べて自分はじっとしているのに一人で飛んで行きそうな透を見ている円香の対比ではないでしょうか。

透のそばにいようとする円香の心は円香の「ハシルウマ」カードにも見られます。

「ハシルウマ」- 籠

CM企画に透が当たったことを見て透は私の隣にいるからこれは夢だという円香の考え。 これは、透が自分の前に進むことに不安を持っていると考えられます。 円香が思うに、自分と透は前後の位置ではなく左右の位置にあるべきということです。

そして出てくる透の”プロデューサーが”

個人的には、ここでの誰もがにはおそらく円香自身も含まれていたのではないかと思います。 浅倉透という人物に一番近いと思っている自分でさえ、手に入れられなかったものを手に入れたプロデューサーという人物について疑問を抱くと同時に劣等感も感じたのではないでしょうか。


そして個人的にタイトルの水の中の月は透の【pooool】カードの内容を思い出します。

【pooool】では透が水のないプールのサッカーボールを見て、水のないプールが空の月をサッカーボールの姿で反射しているのか、空がサッカーボールを月の姿で反射しているのかについて考えながら特有の想像力を見せるシーンがあります。 そしてこう言います。 "空には水が張られている"。つまり、水の中の月ということです。

【pooool】- 泳げばとうとし




糖蜜と塩

ここで円香の部屋の風景が初めて公開されますが、これに対する考えは後で書き下ろします。

ここで円香がきっつと言ったのは、事務的な形で模範的な言葉だけを伝え、自分をスカウトする時にちょっと見せた内面とは違って、外面だけを見せるプロデューサーへの反応だと思います。 ”浅倉さんと一緒に”という言葉まで出しながら、急いでスカウトする姿から内面がちらっと見せたと思います。

円香の内面へのこだわりは、以前の感想で一度話したことがあるので参考にしてください。


円香がプロデューサーに対して怪しいと思ったのとは違って、意外とスカウトされた件については肯定的な姿が見えます。 個人的にはおそらくこの時点では、浅倉と一緒という言葉が大きな部分を占めていると思います。

この部分も内面ではなく、目に見える表面だけを見ては判断できないと思っていますね。

自分を見てダイヤの原石だと言ったプロデューサーの言葉に対して批判する姿は、普段から自己批判的な円香の姿があらわれたものだと思います。

このような自己批判的な部分は、最近出した「キン・コン」カードや「ダ・カラ」でも登場します。

「キン・コン」- 定義する、今
「ダ・カラ」- る




胸に抱く鬼燈


アイドルになろうとする理由について、自分は夢や目標もないと答えるㅡ円香。

このようなwing時点の円香は懐かしい。
実は後ろでたくさん努力しているのにそんな自分に対しては適当に、ほどほどにしていると評価し、勝手に期待されて自分に失望することを恐れている姿ですね。

騙されるんですね

この部分はおそらくプロデューサーの優れた言葉によってある程度納得した自分を見て、浅倉がスカウトされたことに納得した姿だと思います。




描く空は澄んでいた


この独白では飛びたがっている透は空を見ていますが、円香は空ではなくそれを見ている透を見ている構図ですね。 空を美しいと思って飛びたがる透とは逆に空を美しいとは思わないし、だから飛びたいと思っていないが、透を通して見える空が美しいから透についていくと私にもそんな風景が見えてくるのだろうかと円香は思うのではないでしょうか。

アイドルをする理由としてプロデューサーが語った絵空事を言います。

絵空事は課長、美化などを通して描かれた絵と実際の対象が違うものですが、ここでの絵空事はプロデューサーが語ったダイヤの原石だと思います。 自分はダイヤの原石ほどの価値がないと思うから絵空事なんです。




歌声もきれぎれに


これは現在の時点に見えますね。

ここで話す空は透の目を通して見た空ですね。 空をアイドルあるいは何かの理想点だと思うなら、円香が見た空はアイドルを始めたばかりの透から見た空なので、個人的には透明さを意味するものだと思います。 円香がこれまで続けて追求し、美しいと判断する透明性を得られなかったという言葉でも解釈できます。

円香が透明性を追求する姿については、以前のカードでもよく見られます。

【オイサラバエル】美しいもの
【ピトス・エルピス】gem

けどLPまでの成長によって円香はむしろ自分の「色」を見つけ出します。 だが円香はこれを自分の長所、あるいは良いものとして受け入れることができず、透明性について追求する姿が見えました。 この部分は今後の課題になるんじゃないかと思います。

ちなみに円香の透明性を追求する姿は、内面を追求する姿とも一緒に考えることができます。 透明だということはつまり中身が見えるということ。 そして見えないものを美しいと追求する円香にとって、普段見せる表面に比べて見えないように隠す内面は美しいとも見えるのです。

プロデューサーは自分が声をかけて円香をプロデュースすることになって良かったと思うが、円香は逆に自分が声をかけてこのようになったと思っている部分も印象的でした。

そしてダ・カラのシーンも思い浮かびますね。

「ダ・カラ」- る
「ダ・カラ」- る

ダ・カラでは円香が透から目に見えない美しいものを見つけ、自分がなりたかった姿をすでに持っている透への劣等感と同時に、すぐそばでアイドルとして活動しているところから抜け出したい心でアイドルなんかなるんじゃなかったと言います。

目的地に着く前にガソリンがなくなった状況で円香が傘を持っていませんが、ここで降ろしてくれても大丈夫だと言った後、自分の家の近くにはガソリンスタンドはないと言いますが…

この部分に対する私の解釈は本当に個人的な部分です。 解釈違いは当然存在する可能性があります。
ここで円香は当然プロデューサーが断ることを予想した状態で降ろしてもいいと言ったのではないでしょうか? 自分の担当アイドルを傘がない状況で電車で帰るように雨の外に降ろしてくれないような人ではないのですでに予想して言い出したのだと思います。
そして、自分の家の近くにはガソリンスタンドがないという言葉で寄り道を誘導したんです。 外は雨なのに円香は傘がないから降ろすのは当然ダメな状況で、ガソリンスタンドが近くにないから少し寄り道をするしかない状況に導くんです。プロデューサーと一緒に車の中で会話する時間を望んでいるということでしょうか。

「カラカラカラ」のtrue endでの会話でも円香が車でプロデューサーと一緒に会話する時間についてある程度価値があると判断するように話す部分があります。

「カラカラカラ」- エンジン

私心たっぷりの個人的な解釈でした。



この部分は上で話した円香の透明性の追求と自分の色を見つけてしまった状況についての話に聞こえます。 そしてLPでも出た文章とも似ています。

LP - yoru ni
LP - color



この部分はLPを思い出しますが、同時に空に向かって飛んでいく透とは反対に、海の下に落ちるようなイメージも感じられます。

LP - yoru ni




余談

ちなみに…円香の部屋を見た時、思ったことがあるんですが…

このやりすぎたたくさんのドライフラワー…これはどう考えても「オイサラバエル」の内容ですね。

「オイサラバエル」- 廃墟、エントロピー

円香は何かの現在の姿を見ると未来にやってくる終わりを思ってしまうので、終わった状態を見て美しいとは思えません。 だから廃墟に対する監督の考えに共感できず、プロデューサーに枯れた花を見て、自分とは違って枯れたまま美しいと思う人ではなかったかと思うのです。 だから円香は終わりが来る前に現在を大切にしたいんです。

「オイサラバエル」- ノンフィニート

ドライフラワーは花の最も美しい姿を持っている状態ですが、同時に生花としては終わった状態なので円香はこれを見て美しいとは感じないと思っていました。
それなら円香の部屋にドライフラワーがあんなにたくさんあるのは大きく三つに推測できます。

1.円香はドライフラワーをよく見ていた。

2.プロデューサーの話を聞いてドライフラワーに対する認識が良くなった。

3.単純に家族が置いた。

でも、3の可能性は低く、オイサラバエルで自分の家の枯らしてしまった花についても話したから、おそらく1番の可能性があるのではないかと思いますが、この部分は確信できません。

「オイサラバエル」- ドライフラワー


そしてこれ.…宝石箱なのでは…?


以前の「キン・コン」の感想でも言いましたが、stepを読んだ後も感じた感想は似ています。 おそらくこれからの円香の課題は透との関係、あるいは透明性への追求を減らし、自分の色について受け入れ、自信を得ることではないでしょうか。これからの物語も楽しみになりますね

最後までお読みいただきありがとうございます。





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