インド旅行記
ほぼ初めての海外旅行で、ひとりでインドに行った。3泊4日。海外旅行にしては短いように思われるかもしれないが、案外ちょうどよかった。異国の地では体調を崩しやすいし、楽しいけれど周囲を警戒して母国にいる時より疲れやすかったからだ。加えて、長時間のフライトでは熟睡できず、観光中の眠気も強かった。海外旅行は準備も当日も予想以上に体力が必要で、これは若いうちに行っておくべきだと強く思った。今なら親のスネかじれるし、時間あるし。現地ツアーを使ったので、行先や滞在時間なんかは私ではなく旅行会社がだいたい決めた。最初はヨーロッパのどこかに行くつもりだったけど、戦争やってるからいろいろ微妙らしくて、やめた。日本の近くで、なるべく大きいカルチャーショックを受けられそうな国というとインドかなぁー、と思った。辛い食べ物も暑いのも苦手やけど、ナンおいしいし時間あるし行くことにした。わざわざ不快な思いをするであろう海外へ行ったのは、自分の普段生きている世界の普通がどれだけ限られたものであるかを体ごと確かめたかったから。「水は貴重やから日本ってすごい国」みたいなことを海外旅行経験者から聞いても、あーそうらしいですね、はいはい、くらいしか思わなかった。お金も時間もあるなら、実体験でしっかり衝撃を受けて、そういう言葉の中身をもっとちゃんと理解したかった、ということ。ひとりで行ったのも、これと関係がある。もし友達と行ってその子と喋って、現地の人とあまり関わらず、「楽しかったね〜」だけで終わってしまうと、今回の目的がいまいち果たせないなー、と思ったからだ。旅行の手配がちょっと大変だったけど、意外と気軽に行けるもんなんだな、と思った。軍資金があればの話だけど。
手続き関連のことは後日別にまとめて、このnoteでは旅行の感想とか流れとかをさらっていく。かなり長いので時間ある時に読むのがおすすめ。
全体の旅程は、インドのゴールデントライアングルと呼ばれる、デリー、ジャイプール、アグラという三都市を回る感じだった。日本人向けの現地ツアーとはいえ、カルチャーショックをかなり受けることができたように思う。
1日目
デリー着
インドに着くとまずはビザの発行をした。本当は日本にいる間にすべき事だけど、eビザの発行の偽サイトにひっかかり、お金をちょっとぼったくられたし時間がなくなったのでしかたない。eビザをとるなら、色んなブログを参照するなどして公式をちゃんと見分けるべき。ややこしいから大使館行くのが1番だとは思う。というか、初海外旅行でわざわざビザが要る国を選ばなくてもいいと思う。難しくは無いけどぼったくられることがあるし、とれない不安に苛まれるかもしれんから。
空港のビザオンアライバルの申請をするところにいたスタッフのお兄さんに、「ひとりでインド来たって??マジ?友達とか誘わんかったん?」「アホやんwwww」などと言われてウケた。メンタリティがギャルで好き。指紋の登録と支払いとパスポートの確認、入国カードの提出、顔写真の撮影をした。指紋ってインクか何かでとるものだという偏見があったけど、普通に専用の機械があった。プラスチックの板に指を押し付けてとられる。指紋取られるの初めてだったから認識が時代遅れになってた。あと、書類の記入が不完全だったみたいだけど、スタッフの方々がいい感じにしてくれた。ありがたい。学生だと怪しまれづらいから、そういう点でも今は海外旅行に行くベストな時期なんだと感じた。
空港を出てホテルへ車で向かったのだが、道路の様子が既に日本とは全然違う。まず、白線がほぼ引かれていない。引かれているところでも、車も歩行者もみんな好きに行きたいところへ行こうとするから、車が白線からはみ出しまくってたり、ぶつかりかけまくったりと、とにかく秩序が存在しない空間になっている。みんなギリギリねらってる。ギリギリ狙いすぎたのか、たまにぶつかってて、草積んだトラックがひっくり返ってるのも見た。え、ホンマにみんな教習所卒業してるん???教習車見かけたから教習所はどうやらあるっぽいけど。日本で運転に慣れてる人でも、インドで運転するのマジやめといた方がいいと思う。怖すぎるし普通に死にそう。電車あるから大人しくそっち使っとくのが安牌。帰国してみんなが車線守ってるの見て感動した。素晴らしすぎやろ。だいたいみんなウィンカー出すし、横に無理につっこまないし、えらすぎ。
車が全部あおり運転をしてる感じ。みんながやればそれはあおり運転じゃなくなるってことかー。そういうわけだから、だいたいいつでもクラクションが鳴っている。しかも、一度に4、5回くらい鳴らすことが多いから、だいぶ賑やか。都市部に行くと、毎秒レベルでクラクションを聞くことになる。でも、みんな怒っているわけではなさそうで、どちらかといえば「ごめん通るで、気ぃつけてな!!」みたいなノリだと感じる。インド人ってのんびりしてるイメージあったから驚いた、何をそんなに生き急いでいるんだ…って思った。インド人は彫りが深いから真顔はちょっと怖いけど、怒っている人はあまりいないっぽい。ちなみにスズキの車がめっちゃいた。あと、TATAっていうブランドの車もよく見た。デリーとジャイプールの間に、日立の工場とかがあるような日本人エリアがあって、インドに暮らす日本人もそこそこいる様子。
ホテルに着くと客室に案内された。お風呂はシャワーだけで、浴槽なんてものはない。そもそも水が貴重だから。
やっぱり、水に関して日本と違いが大きい。シャワーからお湯はあまり出ないし、出たとしても、水に近いぬるま湯という感じ。新品のミネラルウォーター以外は飲まない方がいいらしい。お腹を壊したり、謎の薬が入れられてたりするから。
1日目はこれで終わり。綺麗な水とお湯のありがたさを実感した。水が貴重だから、紙も貴重。ホテルのトイレにはトイレットペーパーあったけど、インドのほとんどのトイレにはトイレットペーパーは用意されていない。日本すごすぎ。
2日目、ジャイプール
ホテルを後にし、2日目はジャイプールへ行った。デリーから車で4時間くらい。途中の休憩ポイントで、かなりぼったくられてしまった。お茶だけで済ませておくべきだった。併設されているお土産屋さんをちょっと見てみようと思うと店員が近づいてきて、英語で営業トークを始めた。私は日本円で2万円くらい現金を持っていってた(現地でルピーに両替した)が、その8割くらいをこのお土産屋さんで使ってしまった。ほぼ初めての海外旅行(最初行ったときは赤ちゃんだった)だし、インドの物価の相場はわからないし、性善説を採用している眠かった私は良いカモになったみたい。最初はクレジットカード支払いにしようとしていて、電波が悪くて支払えなかったから現金支払いに変えたのだが、その時点で支払額がおかしいと気づくべきだった。眠い時に買い物するのは本当にやめたほうがいい。ツアーを利用していたが、変に店員とガイドさんが絡むと喧嘩になるらしいから、ガイドさんに頼りすぎてはいけない。買うにしても買わないにしても、自分で意思表示することが大事。インド人は、油断すると手持ちが無くなるまで買わせようとしてくる。日本のインド料理屋さんにいるインド人が気前良いのは、たぶんお金あるからで、貧富の差が激しい現地では事情が違う。観光スポット近くの路上なんかで話しかけてくる子供や浮浪者は嘘をついて偽物の商品を買わせようとしてくることもある。赤信号で停車している時でさえ、窓を指でノックする、物乞いや物売りが現れる。観光客である私に話しかけてくる人はほとんど、最後にお金を要求してくる。呼吸レベルでNo, thank you.と言えるようになっておかないと本当に財布が終わる。ただ、全てのインド人が善意をもっていない訳では無い。観光スポットでは、一緒に写真を撮ろうと話しかけてくる人や、ニコニコ手を振ってくれる人もいる。お茶をサービスしてくれるお店があるし、お金が無くて物が買えなくても、がっかりしないし怒らない店員もいる。初日でぼったくられ、予想外のハイペースで素寒貧になった私にも優しくしてくれる。インドはカースト制が今も健在らしいから、持たざる者に優しい人が多いのかも。インドにはチップの習慣があり、チップにも相場があるらしいが、少ないチップでも怒ったりしない。生活がかかっているらしいから、少なくても渡した方がいいけど。
ちなみに最初の休憩ポイントではチップトイレがあったのだが、私はチップを渡すことができなかった。サービスが不満だったというわけではなく、シンプルに気づかなかった。手を洗った後に手を拭く紙を渡してくれる人がいたのだが、その人がスタッフとかではなく、ほかの親切な利用者なのかなー、ありがとう、と思って、ありがとう、とだけ言って私は出ていった。サリー着てるだけで、スタッフって書かれた札をつけてた訳でもないし、チップ文化ムズすぎ。後で気づいて、マジごめんってなった。
ピンクシティ、シティパレス
ピンクシティの中には、シティパレスという宮殿跡があって、そこを観光した。一部では今も王族が暮らしているそうで、警官が立っていることもあった。
ジャンタルマンタル
シティパレスの次は、天文台に行った。ジャンタルマンタル、って名前らしい。天文台とはいっても日時計もある、お昼でも楽しめる場所。この日は曇ったり晴れたりというお天気で、影もはっきりしないことが多かったけど。でも、なにげにここが1番楽しかった。インドの歴史の予備知識はあまりないけれど、時間とか星座のことだったら少しはわかるし身近だからだと思う。
日時計は大きいのと小さいのがあって、晴れて影がくっきりしてる時であれば秒単位で時間を見れるらしい。大きい日時計は2秒単位、小さい日時計は20秒単位だったような。
風の宮殿、水の宮殿
3日目、アグラ
タージマハール
アグラとは、かの有名なタージマハールがあるところだ。タージマハールは写真で見ると白くて綺麗だなあ、ぐらいしか思わないのだが、実際に見るともっと神聖さと迫力がある。大理石でできているから、光を反射して、輝いていた。インド産の大理石は、ほかのどの国の大理石よりも硬くて丈夫らしいので、大昔に作られて今でも保存状態がいい。タージマハールはインドの観光地の中でもトップレベルに入場に際してのルールが多く、食べ物や筆記用具など持ち込み禁止のものが多い。だから、入場時にボディチェックが行われる(空港かよ)。それに、靴にはカバーをかけなければならない。靴を脱げばいいんちゃうん、と思ったが、インドでは下半身の露出は足首であろうがよろしくないらしいから、その辺がかかわっているのかも。
この辺りは大理石の産地ではないが、王様が権力で遠いところから持ってこさせたらしい。王様が奥さんに、「あなたのためにデカい宮殿つくるわ」っていって結婚したものの奥さんが早死にしてしまい、奥さんと約束したしお墓も建てたい、ということでできたらしい。だから、建物の中は生活空間ではなく、棺が横たわっている。
あと、写真どこか分からんくなってもたけど、インドの警官は本物の銃持ってた。
アグラ城
タージマハールを見終えると、ほど近いアグラ城へ行った。ここはさっきの王様と親戚たちが暮らしていた場所。なんと、アグラ城のどの窓からでも、タージマハールが見えるようにしてあるらしい。奥さん大好きな王様がいつでもタージマハールを見たかったからだそう。設計もすごいし、愛もすごい。
4日目、デリー
最終日の4日目はフマユーン廟、インド門、クタブ・ミナー(大きい塔)をまわった。
フマユーン廟
フマユーン廟もお墓だが、タージマハールよりずっと小さい。
インド門
インド門は第一次世界大戦の戦死者の供養に建てられた門だ。門には戦死者の名前がびっしり書かれている。聖職者もたくさん亡くなったらしい。
クタブ・ミナー
クタブ・ミナーは大きい塔のことだが、この一帯は塔以外にもいろいろあった。
ツアー終了
早めの時間に帰りの飛行機をとっていたので、ツアーは予定より3時間くらい早めに終わらせた。治安がよろしくないからあえて早めの時間に帰るようにしていたが、デリー空港内へはそもそもパスポート持っている人しか入れないようにしてあったから心配しすぎだったかもしれない。空港内は空港の外よりは治安がいいように見えた。
インド旅行の発見
きれいな水と紙の貴重さ
インドに行くと、きれいな水というのはペットボトルの中くらいにしかなかった。きれいな水が貴重だから、作る時に水がたくさんいる紙も貴重だ。トイレにトイレットペーパーがあるし、蛇口をひねって飲んでもお腹を壊さないきれいな水があるという、自分が普段暮らす環境がかなり恵まれたものだと実感した。インドで育つとインドの環境が自分の普通としてインストールされていくんだろうけど、それでも、私がここまで生きて年を重ねてこれたのは、日本の衛生面はかかわっていると思う。
人間の動物的な面
インドには、経済的に貧しい人が、日本とは比べ物にならないほどいる。だから、高速道路だろうが赤信号の待ち時間の路上だろうが、都市部には、ほぼどこにでも人がいた。道路脇で地面に服を押し付けて洗濯する人もいたし、仕事していないのか、平日のお昼間から友達と路上でだべっている人もたくさんいた。そうやって生きることだったり、生活だったりをひとつづつやっていくところを見ていると、人間って動物だし、食べていく方法は労働以外にもあることを強く思いだした。公私の区別が曖昧なことも感じた。綺麗できっちりしていないように見えても、それは文化のレベルが低いとかいうわけではなくて、そこにはそこの普通があるだけ、ということだと思う。乞食なんてプライドを捨てていてダサい、だとか、なんてあつかましいやつだ、と言う人もいるかもしれないけれど、そういうやり方がそこではぴったりだったりするし、善悪は簡単にジャッジできるものでは無いことを再確認できた。本当にいい旅行だったと思う。
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海外旅行、本当にぼったくりには気をつけましょう!ではでは