ユープラ検証:配置・外構計画

試験元が公開している合格基準等の一つに空間構成があり、空間構成は①配置・外構計画②ゾーニング・動線計画③要求室等の計画④立体構成に分けられている。この項目は毎年の合格基準等として公開されており、R6年度試験でこれらの項目が具体的にはどういった内容なのか、ユープラ検証を通じて得た感覚や理解を元に、ここでは文字にして理解を深めていきたい。
今回は、配置・外構計画についてまとめてみた。

配置・外構計画

配置・外構計画で検討する要素


今回の配置計画は、アプローチ・駐車場・基礎免震層のEXPJカバーに大きく分けられそうなので、1つづつ見ていきたい。


A. アプローチ

周辺の状況を読み込んだ上で、主な利用者がどの方向から建物にアプローチするのか(緑)、その上で、車椅子利用者のアプローチを確保しつつ、管理者・運営者・業者といった裏方の人たちとのアプローチ(青)と混在しないように、明確に整理されているのか、が問われる。ちなみに、主な利用者とは歩行者を指す。

具体的な話の前に、まず前提として、利用者の出入口は火災時等の避難や通常でも大人数の出入りを捌くため、何より利用者にとって行きたい場所に行ける、わかりやすさのため、特別な理由がない限りは道路に面して設けることが、設計者としては常識となる。京都の奥まった町屋や敷地が建物に対して広大であったり、利用者が極端に限られているような特殊な状況がない限りは、隣地側に利用者の出入口を設けることは合理的な選択ではない。その前提の上で、今回の敷地に面するどの道路からアプローチをとるのか、ということが問われている。

今回は駅前の施設という環境から、電車通学・通勤の利用者がマジョリティ(多数派)となり、西側の駅前広場から大人数が来ること(+帰ること)が想定される。(特に講堂・教室を使う授業前など)そうなると、駅前広場に面して出入口を設けることが1番安全な選択となる。

ただし、北側は緑地帯のある道路としていたり(隣地境界線と書かれている)、駅前広場がそもそも道路と同じように扱っていいのか(こちらも道路境界線、道路と同じ扱いという記載がある)、など揺さぶりをかけられている。

これまで見てきた回答(70案程度)は、①駅前広場+東側道路の両方からアプローチをとって、通用口を隣地に設ける案が多数派ではあったが、駅前広場か東側道路のどちらかにアプローチがあった上で、隣地側にアプローチがある場合はランク1となっているケースもいくつか見受けられた。

反対に、隣地側にしかアプローチがない場合は、ランク3の足切りに一発でなっている可能性もある。駅前広場にアプローチがない場合は大減点、狭い道路にもアプローチがない場合はさらに大減点、といった可能性もあるが、いずれにせよ道路にアプローチを設けるという常識は守らないと、失格となる、ということがわかった。

このほかにも、他の局面(大きな部屋の配置、コア、採光、道路斜線等々)で色々と揺さぶってくるが、この点は絶対に守らないといけない、ということを忘れてはいけない。
この観点で過去問を見ていくと、隣地からアクセスできる美術館や他の諸施設と連携するスポーツセンターなど、主な利用者がどこから来るのか、試験元が揺さぶりをかけに来てることがよくわかった。

B. 駐車場

東側の道路からのみアプローチできないので、道路に面して車椅子利用者用駐車場を1台分確保するか、建物フットプリント内に一台分スペースを確保するかの2択になってくる。サービス用駐車場もないし、駐輪場もなく、歩道の切り下げもないので、難しい条件ではないが、基礎免震層のEXPJカバーに干渉しないように配置をする必要がある。
そうなると、建物の外に駐車場を設ける場合は、通常の5mセットバックでは足りず、建物の通り芯から道路境界線まで6m(できれば7m)確保しないと、車椅子利用者用駐車場幅の3.5mを確保できなくなる(カバーは建物通り芯から2mが端部なので、2+3.4=5.5m 以上、さらにはそこから700mmカバーは災害時に動くため、できれば7m)。

これも大減点項目の1つだと思われる。5m幅でもランク1の答案はあったが、ほぼランク3以下になっている。6mであれば、ランク1は少なからずいたので、大減点扱いではないのかな、と。

ちなみに、車椅子利用者用駐車場のすぐ近くにサブエントランスや車椅子利用者が使える通用口がなくとも、ランク1になっている回答は多々見受けられたので、出入口からのアクセスの良さというのは、減点項目かもしれないが、おそらく大きなものではないことがわかった。

C.基礎免震層

駐車場にも関わってくるが、EXPJカバーの動きも加味すると、隣地境界線・道路境界線から3mは通り芯でセットバックしないと、大減点になってるように見える。4面のうち、2面以上セットバックが足りてない案でランク1の案は見当たらない。(一面2mの答案でランク1はあり)


アプローチ・駐車場・基礎免震層の3つの項目を軸に振り返ってみたが、わかったことは以下である。
・この3つに関わるところで、建物と出入口の配置が大減点される項目である。
・この3つは大減点に関わるが、一つ大減点があっても失格ではない。(2もしくは3つの大減点でランク3に分類されている印象。)
・試験元は、周辺環境・法規・要求室等の諸条件で「主要な道路に面した出入口」と「駐車場」が配置しにくくなるように揺さぶりをかけている。

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