フィクション
フィクションをリアルにするには、リアルも伝統的慣習的誇張込みの完全なるフィクションで構成しないといけないのだと学ぶ日々。
リアルを求めるなんて言ったって、リアルさに最も無自覚なのは我々であって、フィクションとリアルを比較しないとそれが嘘だと気づけないことばかりだ。嘘だとも気付かず「リアルで素晴らしい」などと言うのだ。だからフィクションを作って聴く人を騙す立場にある自分は、自分が作っているのはリアルでもフィクションでもなく「人々がリアルだと知覚するようなフィクション」であるということに常に自覚的でないといけないと思う。それを忘れればきっと、私が作る音響世界は夢の中でしか行ったことのない遊園地になってしまうだろう。