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青春に捧ぐ

私には、大好きなアイドルがいます。
でんぱ組.incとSEVENTEENです。
この2組は全然似ていないけれど真逆とも言い難い。どちらもそれぞれ本当に誇らしいグループです。

SEVENTEENに出会うまで、でんぱ組は私にとって唯一絶対のアイドルでした。彼女達を知った16歳から今までの7年で大切なことをたくさん教えてもらったし、私の青春は病める時も健やかなる時も彼女達と共に在りました。

今まではあまりでんぱ組について語ることをしてきませんでした。語る必要がないと思っていたし、語るとしたらあまりにも長い話になってしまうので…
ただ、私の中ででんぱ組に対する気持ちに一つの区切りがついたので、とうとうnoteを書こうと思い至りました。

これは別れ話ではなく、私の“でヲタ”としての卒業論文です。

私とでんぱ組

でんぱ組は私が初めて好きになったアイドルです。
出会いは高校2年生の時。誰か特定の芸能人に対してのめり込むことのなかった私がヲタクになったきっかけは、あるクラスメイトの男の子でした。
(※恋には発展しません)

その男の子は、とにかくでんぱ組が大好きでした。
「彼といえばでんぱ組」とクラスの誰もが認知しているくらい大好きで、そしてそれを周りに発信していました。だーれも釣れないのに、事あるごとにみんなに布教するんです。全くめげないんです。

誰かをこんなにも一生懸命好きになれることってあるんだなと、ちょっと感動するくらいに。

そんなある日、YouTubeのおすすめ欄に「バリ3共和国」のMVが出てきました。
彼があれほど幸せそうに語るでんぱ組とはどんな人たちなんだろうか…と興味本位で見てみました。

…なんだこの早口な曲は!密な電子音!そして高音!アニメみたいな声とMV!なんじゃこりゃ!

初めての電波ソングはなかなか刺激が強く、一旦画面を閉じました。
なんだか明るすぎるし、私はハマらないかなあ…でも彼には報告しとこ…そんな気持ちで次の日学校に行きました。
MV見てみたよ!と言うと案の定ものっすごく嬉しそうしていました。この人はなんで自分が褒められてるわけでもないのに、こんなに嬉しそうにするんだろうかと思うほど。

ただ、あのハマらないと思っていた歌の、とある歌詞が頭から離れなかったのです

どんなにリアルがダメだって
この街はキミを待ってるから

どれだけ明るい曲調でも、この歌詞は何かに敗れた人にしか出せない哀しさを纏っていました。
むしろその哀しさを振り切るための速さ、明るさ、密度なのではないかと思います。
そして時差で襲いくる電波ソングの中毒性…

気づいたら「さくらあっぱれーしょん」という曲も聞いていました。

腕を振って涙キラリ
強がってもきゅんきゅんきゅん苦しいの

ここで私は落ちました。
メロディ、歌詞、そして彼女達の表情や仕草…全てが可愛くって可愛くってたまらなかったんです。
気づくと放課後の教室で1人で見て叫び出していました。

そこからはもう流れるようにオタクになっていました。

当時は最上もがちゃんが好きで、「こんなにモデルさんみたいに可愛い人が歌ったり踊ったりしてくれるところを見れるんだ…」と感動したのを憶えています。

「マイナスからのスタート舐めんな」

これが彼女達のテーマです。
いじめや引きこもり、夢に敗れた経験…それぞれに挫折や絶望を乗り越え
…いや、乗り越えていなかったかもしれないけれど、もうこれ(でんぱ組)しか道が無いとでも言わんばかりに彼女達は激しく炎を燃やしていました。

彼女達は傍目から見てわかりやすい「仲良し」ではありません。かつては「文字を打つ方が早いから」とその場に全員いてもLINEでコミュニケーションをとっていたというエピソードが有名だったくらい。彼女達は彼女達だけの「戦友」という関係を築いていて、「お互いに手をとる」というよりは「背中を預ける」ような関係性で、そこが私は大好きなんです。

でんぱ組のセンターであり、アイデンティティである古川未鈴さん。私は一度だけ推しである彼女のことをnoteに書いたことがあります。

彼女はライブでこんなことを言っていました。

学生の頃、いじめにあっていました。
いじられることでしかコミュニケーションを取れなかったから、きっといじめやすかったんだと思う。
その時に作った逃げ道、身の回りのもの全てに関心を失くすことで傷つかないようにしていた。
「なんでもいい」「わかんない」「別に」
これが私の口癖。
関心を失くす、興味を失くす、主体性を失くす…
なのでその頃の記憶はあまりありません。考えるのがめんどくさいんじゃなくて、本当になんでもよかったんです。

この感覚について、私も少し身に覚えがありました。私にも抜け落ちた記憶があります。
これはきっとそういう時間を過ごした人にしかわからないから、私は彼女が歩いた暗闇の記憶に心惹かれました。そして彼女の話はこう続きます。

有名になって仕返しをしようと思った。
「夢」とか「勇気」とかそういうのを与える…そんな理由じゃなくて、テレビにでて有名になった私を見せつけたかった。
これが私の「アイドル」の始まりでした。

でんぱ組のはじまりは、彼女の復讐心でした。
仕返しのためにと言って一つのアイドルグループを作ってここまで駆け抜けているのですから、並々ならぬ執念です。
そしてこの怨恨とも言えてしまうくらいの彼女の執念が、最高にカッコ良いと思いました。

自信がなくなった。マジで向いてないなと思った。
何度もやめようかなと思ったけどまだ仕返しが済んでないから、やっぱり私にはアイドルしかない。そう思い留まるの繰り返しでした。

彼女には引き下がれない理由があった。
ものすごく後ろ向きな理由だけれど、この後ろ向きな理由で彼女は「でんぱ組」が前に進むための道を切り拓いていったのです。

彼女たちが希望に真っ直ぐ進んでいくアイドルなら、私はこれほど好きになれなかったと思います。私自信が「希望」というものを真っ直ぐに信じられないから。
「復讐」をエンジンに「もうこれしか道は残されていない」とでも言わんばかりに突き進んでいく彼女達の姿が私には最も信頼できたし、自分が前に進むための力をもらえました。

変わり続けること

でんぱ組はデビュー以来5→6→5→7→6→10とその人数を大きく変え続けてきたグループです。

現在デビュー当初からいるメンバーは2人。大々的なオーディションで盛り上げるわけでもなく、節目節目で当たり前のようにメンバーが変わるのです。

忘れられないあの瞬間…
でんぱ組が約一年活動を休止し、もがちゃんが脱退して、5人になった彼女たちがようやく再始動する決意のライブで突如現れた新メンバー2人。
…え?
いえ、正直に言えば「…は?」と言っていました。
案の定オタクも大荒れでした。「この6人で」は叶わなかったけれど、だからこそ「この5人で」駆け抜けていくんじゃなかったのかと。

でもセンター・みりんちゃんから新メンバーへのコメントを見て反省しました。うろ覚えですが

正直断る方が楽な選択だったかもしれない。それでもでんぱ組に入るという決断をしてくれてありがとう。

このタイミングで加入するメンバーが、どれだけ叩かれるかなんて容易く想像できたはず。なんならでんぱ組に憧れてアイドルを目指した新メンバー2人が、1番よくわかっていたはず。
グループとしても、ファンをゴッソリ失う可能性すら十分あった。

それでも彼女たちは「変わる」道を選んだのです。
それが彼女たちの、そして「でんぱ組」に関わる全ての人の覚悟でした。


また、先ほどリンクを掲載した「推しの結婚」というnoteのタイトルの通り未鈴ちゃんは結婚し、現在は妊娠しています。そしてアイドル活動を続けています。

目から鱗でした。
結婚したらアイドルをしてはいけないなんて決まりはないのに、なんとなくタブー視されていたその両立を、彼女は実現して見せたのです。
でんぱ組は常に新しい道を切り拓いています。

ただ、もちろんその分だけ風当たりも強かった。

先日、未鈴ちゃんのインスタの質問機能に
「引退すればいいのに、、」
というコメントが入っていました。それに答える形で出した投稿はこう始められていました。

じつのところ
私は今でも毎日辞めようって考えています

冷や汗が出ました。
どうして…?
結婚したから?妊娠したから?年齢的なもの?
それとも今でも自信がないから…?
批判されるから?

私の予想のどれもがハズレでした。彼女はいつでも当たり前のように、予想の遥か上にいます。

じつのところ
私は今でも毎日辞めようって考えています
それと同時に毎日アイドルが好きで、でんぱでいたいと考えています。
毎日悩んでます。
でんぱ組は長く続いて、どんどん新しくなって行かなきゃいけない。
たぶん私の結婚とかのイメージが強いんだと思う。
だから私がいなくなるときっとイメージが一新されてまた新しくなれる!って本当に思います。
それってめっちゃでんぱにとってプラスじゃん!!
それとは反対に、それでも私はアイドルがしたくて
しがみつきたいという思いもも強くて
辞めるなんて決断出来ない、とも思います。
優柔不断と言ってしまえばそれまでだけど、応援してくれる声を聞くたびに私にはまだやれることがある!と前を向けます。
私だったら両立できる!と鼓舞させて、とにかく前に歩くしかない!という思いもあります。

未鈴ちゃん個人の気持ちとしては、でんぱ組を辞めることなんてこれっぽっちも考えていなかった。
よかった…「仕返しが済んでいないから」ではなく、「アイドルが好き」で「でんぱでいたい」から辞めたくないんだと言ってくれた…

ドキュメンタリー映画などは作られていないけれど、でんぱ組というグループだけでなく1人の女性がこれだけ変化したんです…

「アイドルができなくなったら死ぬ」
「私なんかと話してる時間がもったいない」
そう言っていた彼女が、人と共に歩む道を選んで結婚し、母になる決断をし、アイドルが好きだと言って進み続けている…

別に変化しなくても大好きだったと思います。
復讐を胸に、ステージでだけ刹那的な光芒を放つ彼女はとても魅力的でした。

ただ、1人の女性がこれだけ大きな精神的変化を遂げていく過程にリアルタイムで立ち会うことができたことが…私の青春における超特大のラッキーであり、幸福でした。

その上で、でんぱ組の原点でありアイデンティティでもある「古川未鈴」が引退することででんぱ組がまた大きく変わって新しくなれるということを、彼女は俯瞰的に考えているのです。
あくまで前向きな選択として引退を視野に入れて、そしてそれをわかっていながらも彼女はでんぱで在りたいと言ってくれたのです。

敵わないなと思いました。

そして他のメンバーも、これまで卒業してきたメンバーもみんな、きっと「でんぱ組」が大好きで、「でんぱ組が」どうしたら新しくあり続けられるのかを考えているんだと思います。

これが、私の推しているアイドル・でんぱ組.incなのです。

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私が今回この卒業noteを書こうと思ったのは、でヲタとしての自分の気持ちに一つの区切りをつけたかったからです。

2019年初めにねむきゅんが、今年の2月にえいたそでんぱ組を卒業しました。
2人とも、世間が(そろそろ…?)と思うタイミングではなく、自分自身の人生とでんぱ組のこれからを考えて自ら卒業という選択を選んでいて、寂しいけれど全力で背中を見送れる…そんな卒業を見せてくれました。

私が最後に参戦したライブはねむきゅんの卒業公演でした。
ねむきゅんはきっと、ヲタがこれからも安心してでんぱ組を推していけるようにという願いを込めて、2日にわたる盛大なお祭りの演出やセトリを考えてくれたんだと思います。
あの武道館のステージで。
だから私はその想いに応えたくて、これからもずっと推すんだ!と意気込んでいました。
…が、もしかしたら、私のでヲタとしての心はあの時に一つの完結を迎えていたのかもしれません。

気持ちが冷めた、とは違う…
今も変わらず大好きなんですが、なんというか…
あまりにも綺麗なフィナーレだったんです。

変わり続けるでんぱ組を見ていく上で、
「初めて好きになったアイドル・でんぱ組」の章があの時完結したんです。

なのにその完結から目を背けて「推すんだ!」という意気込みで推してしまっていたから、いつしか心にズレが生まれてしまって、苦しくなっていました。

でヲタを辞めるわけじゃない。
彼女たちの今後を、人生を、私はずっと応援するつもりです。

でも、一つの章の終わりを受け止めて、自分の気持ちの完結を受け止めて、区切りをつけたいのです。
今までと同じ推し方はもうできない自分を、きちんと受け止めたいのです。
私の心の、そのまんまでこれからも彼女たちを応援するために。

SEVENTEENさんが昨年の秋に「semicolon」というアルバムを出してくれました。
セミコロンはカンマとピリオドの中間の意味を持つ記号です。
まだ完全に終わらせたくないけれど、カンマよりは強く区切りをつけたいときに使われるらしい…

終止符・ピリオドじゃなく、セミコロン。
読点・カンマじゃなく、セミコロン。

このnoteの意味合いは、ちょうどそんな感じです。

まだまだでんぱ組について語りたいことはあるけれど、ピリオドじゃないのでこの辺にしておきます。

7年…
高校生だった私も社会人になりました。
気づけば人生の約3分の1を占めていました。
入れ替わりの激しいアイドルという世界の中で、こんなにも長い間一つのグループを応援することができた私は本当に幸せ者だと思います。

親愛なるでんぱ組.incの皆様、
7年間も好きでいさせてくれて、
ありがとうございました。
変わり続ける姿を見せてくれて、
ありがとうございました。

でんぱ組でいてくれて、ここまで繋いでくれて、
本当にありがとうございました。

あなた達の行く先に幸多からんことを、切に願っています。

終わらない幸せを限りある僕ら繋いでいこう
君と見たあの頃と今が違ってもかまわないから
どんなに忘れたふりしてても
どんなにカタチが見えなくても
巡り逢う奇跡を僕らは生きているんだ

キミがくれた今を これからも生きていくよ

【でんぱ組.inc/エバーグリーンより】

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