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Fear
독:Fear、という歌がある。
「독」は「毒」を意味する。
넌 내 기억을 지워야 돼
君は僕の記憶を消さなければいけない
I’m poison
僕は毒だ
SEVENTEENを好きになる過程でこの歌のMVを視聴したとき、「しまった」と思った。
撃ち抜かれたというよりは落ちたという方が正しい。そんなトドメだった。
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「I'm poison(僕は毒だ)」
そう言いながら毒杯を呷る。
MVでは影だけが映されるこの場面
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ホシくんは恍惚とした笑みを浮かべているのだ。
曲と歌詞と自分自身に対するこの解釈。
私のホシペンとしての明確な自我はここから始まったし、あの日からずっと私の中でホシくんは知性の人だ。
一方で、当時のFearの刺さり方はSEVENTEENを好きになる前の趣味趣向の核を的確に突いてきた…言うなれば私の皮膚を貫いたようなものだった。
それが今になって私の内側から喰い破って出てきた。まさに遅効性の毒。
이 선을 넘지 못한 나를 사랑해줘
この一線を越えられない僕を愛して
2024年の秋頃から、この歌詞が何度も頭の中をこだました。明確なきっかけがあったわけでも、具体的な「この一線を越えられない」エピソードがあるわけでもない。ただただ「この一線を越えられない僕を愛して」という感情が噴出するようになったのだ。
SEVENTEEN RIGHT HEREのステージで目の当たりにして、何かの巡り合わせだと思った。
Fearの歌詞を己の中に見出すことが増えた。
Tell me what you want
君の望むものを教えて
너에게 내어주고 싶던
君に捧げたかった
마음이 날 오히려 더 상처 내고 있어
想いがかえって僕を傷つけている
私のなかに善いものがあるならば全て捧げたかった。気を抜けば勝手に絶望してしまうような私がSEVENTEENとの出逢いによって握っていられるようになった希望を花束にして渡したかった。
けれど希望という花を抜けば絶望を絡めたその根が顔を出した。それは別にフラッシュバックとかそういう痛々しいことではなくて、絶望する私と希望を抱く私の間に断絶はないという喜ばしい気付きだ。
とはいえ、それを受け入れるまでに随分時間がかかってしまった。
絶望をアイデンティティにして、そこに安住していた私のなかには、幸せである自分と水槽のなかからそれを眺める自分がいた。
そうして自分の中の泥を掬い始めた。
自分の恥にきちんと向き合う必要があると思った。けれどその作業は未完に終わった。
まだ人生は続くのに「未完に終わった」と言うのには理由があって、未完のまま形を変えたのだ。
泥を掬う作業なんてどうせ完結しない。完結しなくていい。裁かなくていい。罰さなくていい。許さなくていい。悩み続けていい…
이 선을 넘지 못한 나를 사랑해줘
この一線を越えられない僕を愛して
自分の至らない部分を、それでも愛してほしいだなんて、客観的に見れば我儘だ。
けれど私個人の中で完結する分には、このフレーズが湧き出すことは自分のある側面への赦しだった。
「この一線を越えられない」つまり「Fear」、恐れだ。自分の中の恐れを見て、恐れる自分を見て、そのうえ克服できない自分を見る。二重三重に情けない。そんな自分、見たくない。だからこんなことは口に出したくない。愛してほしいのなら尚更だ。
それでもそこから目を逸らさず、隠さず、「愛して」と言う。
甘えだろうか。
甘えることは、甘えだろうか。
甘える方が難しくないか。
少なくとも私にとっては自分を罰する方が楽だ。自分以上に自分を責める人がいないように予防線を張る方が楽だ。
それでも「この一線を越えられない僕を愛して」と思えるようになったのは、きっと、何かの萌芽なのだ。
This is love 온몸에 퍼진
これが愛 全身に広がった
내 모든 Fear 내 속의 상처
僕の全ての Fear 僕の内にある傷
매일 내가 너로 아파도
毎日僕が君に苦しんでも
The way I love the way I love
これが僕の愛し方だ
そういえば、Eyes on youの「너의 첫 번째 상처를 내게 줘(君の最初の傷を僕にちょうだい)」という歌詞を何度も反芻するなかで、私の今までの傷の上に柔らかく膜を張ってくれているのは…全ての傷を知っているのはあなた達だけなのにね。と思った。
もちろん、これは筋違いなのだけれど。
私の1番の弱点で、1番の強み。
私の恐れすら愛してと甘えさせてくれる夜であり陽だまり。
人生は続いていく。続けていく。