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『さよなら、ララバイ』―Time to say goodbye.― 電子書籍配信中

2025年8月25日-105-129-9/8-179-9/21

表紙はイラストAC様内ILLUSTRATION STORE様 素材
ILLUSTRATION STORE様 ありがとうございます。
現在はイラストAC様より撤収されているようです。

表題などの文字入れは出版社の方で入れていただきました。
出版は、- いるかネットブックス様-より

発売日: 2024年08月 28日 すでに配信はじまっている書店もあります。COCORO BOOKS様、honto様、renta様 随時追加していきます。
一番下に各電子書店のリンク貼り付けあります。
サンプル文
を掲載

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『さよなら、ララバイ』―Time to say goodbye.― (改題)
旧)FAMILY MATTER --- タイトルを改題した作品になります。
書下ろしではありません。

立ち読み部分を掲載しています。

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 夫の浮気が発覚した。最悪だっ。
 
 しかも相手はご近所さんだなんて、呆れるしかないって
いうか……まったく。

 夫は浮気相手のご主人とも、相手側家に招かれて数回
お酒を酌み交わしたことのある仲で、友人とまでは言わなくとも
知らない間柄ではない。

 そんな知人の範疇に属する人の奥さんと浮気するなんて
ほんとにふたりとも正気の沙汰とは思えない。

 私達の住む町は小さな田舎町で、夫の義両親との同居に
8才の娘がひとり、すぐ近所には義姉が住んでいる。

 皆お互い知らぬ者はいないという田舎町のこと。

 これからも子供の学校のPTAの会合、町内会の会合、
消防団の活動、そして義両親が農業をしているのでその関係での
農協や直販所での付き合い等々、いろいろと夫婦で近所の人たちと
顔を合わせなければならないというのに。

 そんな状況下でのふたりの浮気。

 ― 周りの人達にこの事が知れたら、この先ここで暮らして
いくには大変な思いをすることになるだろう。――

 現在、夫は町内会の会長をやっている。

 この事実が明るみに出れば、大きなスキャンダルと
なることだろう。

 そのような事情を孕んでいるなか、私達夫婦だけが揉めて
破綻しかけているというのに相手の女だけがのうのうと普通に
仲睦まじい夫婦生活を過ごしているのかと思うと釈然としない。

 発狂しそうな自分の心をコントロールできなくなり、
気が付くと何をどうやり過ごして一日を終えたのか
記憶にすらない日も度々ある始末。

 振り返ってみれば、夫は仕事以外での町内会や消防団での
活動諸々の付き合いもあって日々忙しく、夜はお酒を飲んで
帰ることが度々あり、そのまま寝てしまう日も多かった。

 その為、私とのSEXを昼間に誘って来ることが度々あった。

 けれど義両親との同居で家の中に昼間人のいる状況で、とても
そんな気にはなれず断っていたので浮気を知った時は、とうとう
やられてしまった、という思いだけだった。

 相手が誰なのかを知るまでは。


 それを知ったきっかけは一枚の領収書だった。
 夫の背広のポケットに入っていた一枚の領収書。

 クリーニングに出す折に、ポケットの中にあったのを
見つけたのだ。

 我が家は夫から頼まれればクリーニングに出す、という
スタイルだったので、まだ捨てずに入れたままになって
いたのだろう。

 頼まれていないのに今回クリーニングに出そうとしたのは
ハプニングによるものだった。

 不注意で掃除中に背広の上着を汚してしまった為、タオルで
何度か擦った後、急いでクリーニングに出そうと思い
ポケットの中を確認した。
 そして……その時に、知りたくもなかったラブホテルの領収書を
見つけてしまったのだ。


 最近は夜、夫婦の時間を取ることができていなかった
ことと昼間に夫が何度か誘ってきていたのに断っていた為
……そりゃあ環境が整っていれば私だって快く応じたかった
わよ? ……そんなだからもしも、という気持ちはあった。

 だからぁ~、悲しいというより、残念だけどしようがなかった
と思うしかないのだろうか、と瞬間そんなふうにも受け止めて
みたり。

 ……とはいうものの、やはり何やら釈然としない私は
その夜帰宅した夫にはカマをかけ問い詰めた。

 『探偵事務所を雇って調べ上げた。
 浮気の証拠は揃ってる。
 今後、どうするつもり? 』と。

 『私と子供のことはどうするのか?
 この先の子供の養育費さえちゃんと保証してくれるのであれば
離婚大いに結構。
 
 けど逆切れしたり、うだうだ理屈をつけて自分の保身に走り
これ以上私を蔑ろにするようなら、相手の御主人にも証拠の写真
見てもらわないといけなくなるわね。

 田畑もあり、昔からこの地を守ってきたあなたのご両親やお義姉さんたち
家族も、あなたはもちろんのこと、ここに住んでいられなくなるくらい
スキャンダルにまみれて、きっと大変なことになるわね』


 口からツラツラとガンガン問い詰める言葉が
自分でも吃驚するくらい夫に対して出てきた。

 けれどこの時、よもや浮気相手の女が自分の身近な人物だとは
知る由もなかった。

 とにかく帰宅した夫に四の五の言わさず機関銃のように捲くし立てた
私に、突然のことでしばらく夫は口をパクパクさせているばかり。

 
 何か言い訳を探していたのかもしれないが、夫は
あきらめて自分が悪かったと謝まってきた。
 
 もう私が探偵事務所から聞いて何もかも発覚してしまって
いるという前提だったのだろう、何の疑いも持たず
相手の名前を口にした。

 『中谷真理子とは身体の関係が3回あっただけ。

 俺達夫婦がしばらくレス続きでストレスからそうなった
だけで、ただの浮気だからそんな真剣に怒るようなこと
じゃない、大きな問題にするようなことでもないだろう』
そう夫は言い訳をした。

 『すぐに中谷真理子と会うのは止める、信じてほしい』とも
言われた。

 私は相手の女がよく知っている、夫婦共に多少なりとも
交流のあった人間であったこと、そして謝ってはくれたけれど
私の心情など全く判っていない夫の物言いに、致し方ない部分も
少なからずあったのかもしれないなどと、チラっとでも考えて
しまった自分が滑稽でならなかった。

 自分の立ち位置の危機感のなさ、自分の欲を優先させた
エゴイスト、この時ほど夫に失望したことはない。


 夫の携帯電話から女にメールした。

 内容証明郵便を送りつけ弁護士を介して慰謝料請求する
つもりがあること。

 今後一切、夫に会わないこと、近づかないこと。
                
 約束を破ったり今後の謝罪の内容や態度の如何《いかん》によっては
女の旦那にも告発するつもりがあること。

 女はよほど自分の旦那に知られるのが怖かったのか
丁寧な詫びのメールが……
『今後夫には絶対会いません、公の場でも近づきません』
とすぐに返事が来た。

 その後に折り返しメールで、『今日私があなたにメールした内容と
あなたが私に約束した内容をこれからずっと努々《ゆめゆめ》
忘れることのないように』と、再度釘を刺すメールを送った。

 
 こんな形で表向き私達夫婦は再構築中で、元サヤと
いうのだろうか修復に向けて日々を過ごしている。-

 私の、夫を大切に想ってきた気持ちは大きく変わってしまった。
 私は神や仏ではない。

 自分を蔑にした相手に気持ちなど……大切な気持ちなど
向けられるはずもなく。

以前より仕事や町内会、PTAの会合等で忙しい夫なので
私からの積極的なアプローチがなければ夫婦間の会話は成り立たず、
又私はわたしでいろいろと忙しい為、夫とちゃんと話し合う時間も
取れず、夫も私から更に責められてはたまらないとばかりに、夜遅い帰宅を
続けここのところしばらく、私たちは会話らしい会話もなく、すれ違いの
日々を送っている。

  そんな折、義母ににちょっとした嫌味を言われ、私は抑えていた
感情の堰が決壊してしまった。
 義母が言ったその嫌味な言葉の中に、『自分の息子は仕事熱心で
妻や子供の為に一生懸命に頑張っているのに……』というのがあり、
それが私の切れるスイッチを押してしまった。

 あなたの自慢の息子のしたこと、知ってますか?
 知っても同じこと言えますか?


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 未読の方、よろしければお手にとってみていただけると
うれしいです。👻~ 

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電子版配信日 2024年08月23日 COCORO BOOKS様
文字が大きくて読みやすいです。





どこでも読書 様

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