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クリエイティブ思考ワークショップ

Neruの新井(@arai_toshiki)です。今回は大妻女子大学で「クリエイティブ思考法」という授業にて、外部講師として登壇してきたレポートです。

授業名の通り「クリエイティブ思考法」がテーマであり、自分がどのように「クリエイティブに思考しているか」を伝えなければならない。そんなクリエーターの奥義みたいなことを1回の講義で伝えるなんて!と思いながら、1時間程度のワークショップを行った。


「発想法と開発法」

今回作成したのが「発想法と開発法」のワークショップ。左半分を「発想する」、右半分を「開発する」に分けたシートに沿って作業を進めていくと、それぞれの「方法論」が体験できるようになっている。

今回の課題は「2025年の大阪万博のキャラクターデザイン」とした。

発想する

まずは「発想する」。
0から1を生み出すための流れを、3段階に分けて作業してもらった。

・リサーチ 3分
 テーマを調べ、関連ワードをできるだけ多くあげる

・1人ブレスト 3分
 テーマから連想するキーワードをできるだけ多くあげる

・チームブレスト 5分
 チームでキーワードをあげ、そこから連想する特徴をあげる

これは実際に自分が多くやっている流れで、テーブルにできるだけ多くのアイデアを並べることを重視している。なるべく多角的にアイデアをだすため、自分の頭で考えるだけでなく、リサーチやチームブレストを取り入れた。

実際は上記3つをもっと長い時間で数回繰り返し、アイデアをブラッシュアップしていくのだが、この短時間でもアイデアの種は見つけられる。

実際に学生が作業したシート。なかなかキーワードの数が出せずに苦労していた学生もいたが、ほとんどの学生は短い時間でキーワードを出せている印象を受けた。


開発する

続いて「開発する」。「発想する」で生み出したアイデアを形にしていく作業。短い時間でPDCAサイクルを回すことを意識してもらった。

・デザイン 1分
 枠内にキャラクターデザインを描く

・チェック 3分
 チームで良かった点、改善したほうが良い点を確認

・デザイン 3分
 枠内にキャラクターデザインを描く

・チェック 3分
 チームで良かった点、改善したほうが良い点を確認

・デザイン 5分
 枠内にキャラクターデザインを描く

デザイン3回、チェック2回と、短い時間で作って、さっと確認という作業を繰り返していく。

チーム内での確認で「改善したほうが良いところ」をうまく見つけだせると、デザインを重ねるごとにブラッシュアップしていくことができる。

1回にじっくり時間をかけるのではなく、制作とフィードバックをすばやく繰り返すことで、キャラクターが徐々にブラッシュアップされていく。時間を短く切ったことで、絵が得意でない学生も手を止めず作業することができ、全員がキャラクターを完成させることができた。

結果

そうして完成したキャラクターの中から、面白いものを何点か紹介。

「サン(SUN)」
太陽の塔をモチーフにしたロボットのキャラクター。「発想する」の部分でキーワードがうまく連想され、デザイン作業に繋がっている印象を受ける。「開発する」でも徐々にデザインが洗練されており、短い時間で完成度が高いものになっている。

「たこちゃん博士」
万博をテーマであるVRなどのミライのアイテムを詰め込んだ、大阪の女の子のキャラクター。大阪要素の追加など、「開発する」でうまくブラッシュアップがされていっている。絵も上手。

「ミライちゃん(仮)」
抽象的なイメージをモチーフにしたキャラクター。「開発する」際のブラッシュアップがうまくできており、きちんとフィードバックを受けて、描くごとに進化している。2回目で「敵意の無い手」だったのが、3回目に「握手しやすそうな手」に変わっているあたりの細かいブラッシュアップも好き。


参考作品

普段一緒に仕事をしているラナエクストラクティブのメンバーも一緒にワークショップに参加してもらったので、参考作品として紹介。

アカウントの岡崎さん作「タココス」
顔がたこ焼きになっているキャラクター。鼻もたこ焼きになっていて、人にあげることができることなど、設定やストーリーなどもよく練られている。全体的にアイデアの量が多く、開発部分でのフィードバックの受け方も上手。

デザイナーのメルちゃん作の「お好み焼き兄さんと青のりちゃん」
お好み焼き兄さんが笑顔になると、歯についている青のりちゃんがみえるデザイン。2つのキャラクターの距離感がポイント、とのこと。紙1枚でおさまらず2枚目までアイデアがはみ出している。プランニング得意なだけあって発想部分から開発部分まで、手数が多く、発想の跳躍も優れている。

この2人の作品を会場で出したときは「お〜」と会場が沸いてた。そもそもシートに書き込んでいる量が、かなり多いので、アイデアの量をどれだけだせるか、という部分が質にも影響するのだと再認識した。


「方法論」

「クリエイティブ思考法」という難しいテーマだったが、ワークショップをしながら解説することで、普段どのように思考しているかを、学生に伝えることができ良かったと思う。

時間の制約もあり、伝えきれない部分や、強引になってしまった部分もあるが、「自分がやってきたことを人もできるようにする」ことの意義を改めて感じた。そのためには普段の仕事を、どのような「方法」で行うのが良いか、を常に考えることが重要だと思った。

というわけで、Neruでは講義やワークショップの依頼も受け付けておりますので、是非よろしくお願いします。



おまけ

おまけでもうひとつ学生作品の紹介。「方法論」とか色々言ったけど、こんなふうに出題の意図を無視して自己流で考えちゃう人のほうが、クリエーター向きだったりして…。