五條での日々も折り返しを過ぎて。
確実に春の足音が聞こえていて、少し春の気配を感じるだけで心躍る日も。気がつけばもう2月。
奈良県五條市で過ごす毎日もあっという間に折り返しを迎えた。
(どうして五條に?という話はInstagramに。)
①仕事(チョコレート)のはなし
金〜日曜日はお店でチョコレートを届け、月〜木曜日はチョコレートを作る日々を送っている。
―「あの場所を訪れて良かったな」と、いつか思い出してもらえるように働く
1月末、徳島港からフェリーに揺られ、和歌山港から五條へ。到着した次の日から、早速店舗での接客。chocobanashi店長の松本さんをはじめ、この日から手取り足取り教えてもらっている。
振り返れば学生時代からずっと接客に携わっている。
仕事で出会うお客さんには「あの時の、あの場所を選んで、行ってよかったな」と、商材だけではなくて、その時の光景がいつか浮かんでくるような時間を作れたらいいなと思っていて、働いている時は意識的にも無意識にも、そうなるように動いていると思う。
誰かのある瞬間をできる限りいいものにしたいと思いながら働く時間は、自分が生き生きといられる時間でもあり、chocobanashiでもそれは変わらない。むしろ、chocobanashiが接客を大事にしているお店なので、ぴったりだな~と伸び伸び働かせてもらっている。
初日はチョコレートやお店のことをひたすら覚えながらも、訪ねてきてくれるお客さんとゆっくり話をして、場所が変わっても私らしくやれてるのかもと、少し自信を持てた。
チョコを買いに来てくれた人とはチョコのことも含め、ほとんどの方とお話をする。どんな人にどんなチョコレートが届いたのか、どんな話をしたか。一日を振り返るとその日出会ったお客さんの顔が浮かんできて、今日も良い一日だったな~と満たされる。
失敗をして落ち込むことがあっても、お客さんと話をすることで元気になる日もあり、私が誰かに与えるより、もらっていることの方が多いと思う。
ー一つ一つできることが増えていくチョコレート作り
当初は店舗とラッピングだけかもと聞いていたけれど、ありがたいことにチョコレートの製造にも関わらせてもらっている。
chocobanashiはカカオ豆から最後お客さんの手に渡るまで、全てを自分達で担っている。
製造といってもいくつか過程があって、私はテンパリングからチョコレートを型に入れるモールディングのところ、ラッピング等を担当させてもらっている。
チョコレートの具合は毎日違っていて、なめらかだったり、もったりしていたり、サラサラだったり。いつも一定の同じ状態だったらいいのにと思ったりするけど、そうはいかない。むしろ、その微妙な変化は大事なことのような気がしている。
出来上がるチョコ、ぱっと見た感じは同じだけど、一枚一枚違っていて、それが自然だよな~と、自分の手でできていくチョコレートに愛着が湧く。
毎回、チョコレートの機嫌を伺いつつ、松本さんや岡さんとペアで型に入れていく。無事に終わるといつもホッとする。
短期間だけど、少しずつステップアップさせてもらっていて、日々できることが増えていくのがとても楽しい。
ー自分達の手で作るチョコレートが、顔の見える誰かに直接手渡せることの幸せ
chocobanashiで働いている中で「私は何かを伝えるだけでなく、自分で作って、伝えて、届けることがしたかったのかも」とふと思う瞬間があった。
前から自分がいいなと思ったことを誰かに伝えたいと思っていたけど、いざそうすると中身は薄っぺらかったり、自己満足だったりする。
でも、ある一枚がどういうチョコレートで、この場所で、どんな背景と思いがあってできているのか。
作っているからこそ、自分の言葉で伝えられるし、その言葉とともにチョコレートが届くと、なんとも言えない幸福感がある。
顔が見えるものづくり、とか、手しごと、とか。今の社会のトレンドに無意識に染められている気もしないではないけど、
でも、作って届けるという経験が、そんな社会の空気感を抜きにして、とても大事なものになっていると思う。
それは妥協のないchocobanashiのチョコ作りがあってこそで、この環境にいさせてもらっていることにとても感謝だ。
②暮らしのはなし
五條では伊達さんの家兼製造場所の一部でもある町家の2階の部屋で住まわせてもらっている。
製造場所というのは、ここでカカオ豆を選別したり焼いたりしていて、家の中に入った時、ふんわりカカオの匂いがすると幸せな気持ちになる。
ー自分の生活を自分で面倒見ることは、自分らしくいるために必要なのかもしれない
町家暮らしはどうやら超ぴったりだったらしく、とても快適に過ごさせてもらっている。
大体7時ごろに起きて、朝の支度をして、冷食だけどお弁当を詰め、しっかり朝ごはんを食べて出勤。
帰宅後、晩ごはんはだいたいお鍋。
時に伊達さん杉川さんと晩ごはんをご一緒させてもらうことも。
誰かと囲む晩ごはんがどれほど満たされることか。
実は家族以外の誰かと、一つの建物で生活することに、ちょっと(いや大分)緊張していたけれど、ストレスなく、なんなら学生時代の一人暮らしの時よりのびのび暮らしているかもしれない。
社会人になりまた徳島へ帰ってきて、衣食住の全てを両親に甘えていた私。「甘えられるうちは甘えておこう」なんて思っていたけど、(なんて贅沢な。)
ずっと心のどこかで自立していないことを申し訳なく思っていたし、親だけど気を遣うし、甘えているから逆らえないし、それを自分が行動できない理由にすることもあった。
自分の生活を自分で成り立たせるということは私が私でいるためにとても大事なことなのかもしれないななんて思う。
とにかく、今年は必ず一人暮らしをすることを目標にしている。
アパート借りるかな、と思っていたけど、うだつの町並み周辺で古民家暮らしがいいなと、徳島に帰ってからの暮らしにあれやこれやと想像を膨らませる毎日である。
ー気の向くままに
休みの日はほぼどこかに出かけていて、会いたい人に会いに行ったり、思いがけない出会いがあったり。
相変わらず、この先どうするのか、みたいなところは晴れないままだけど、残りの五條での毎日と、まだこれから訪れる先々での出会いと経験とを大事に。
2歳のバレンタインに初めてチョコレートを食べた時の写真を添えて。