神様、おなかが空きました。


「好きな食べものは?」と聞かれたら、

「好きな人と食べる食べもの」と答える。


食べることが苦手な時期が長かった私にとって、

食べもの自体は、あまり重要でなかったりする。


もちろん、今となっては

おいしいものにも惹かれるけれど

そのおいしいものを「誰と食べるか?」が何より大切で。


「おいしいね」と言ったら、

「おいしいね」と返ってくる。

それがいちばんの幸せだと本気で思うし、

その顔が本当においしそうだったりしたら、

それだけでおなかいっぱいになりそうな勢いだ。


感動のあまり、

「おいしい」という余裕もなく、

「!!!!」と目だけでおいしさを伝え合う瞬間なんて、

幸せの極みだと思う。


だから私は、たとえ恋人になれない間柄でも

「好き」な人と食べるごはんがいちばん好きだし、

前の晩にひどいことを言われても

何事もなかったかのようにふたり並んで食べる朝ごはんに

最高の幸せを感じる。



きっと私は、食べものではなく、

好きな人とごはんを食べる時間を食べているのだ。



そのせいか、好きな人と一緒なら、

何を、どんなに食べても太らない。

実際、お昼から午前3時まで飲む人と

週1ペースで半年間会っていたときも

全く太らなかった。

むしろどんどん痩せていった。



そんな私はいま、ちょっと残念な体型をしている。

ビタミン不足ならぬ、

「好きな人とごはんを食べる時間」不足だ。


食べ物はお金で買えるけど、

「好きな人とごはんを食べる時間」は

お金では買えない。自分でも、つくれない。


神様、おなかが空きました。



#エッセイ #コラム #恋愛 #ごはんのはなし #ちゅうハヤ

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