新人ショーガール。自信をつける魔法
23歳の夏。
私は4年勤めた大手を退職し、
その後やりたいことをするも脱落してしまい
目標のない毎日を送っていた。
少しでも非日常的な仕事をしたいなと思って
ハンバーグ屋さんでお昼バイトをして
夜は地元でガールズ居酒屋というものをしていた。
人と話すのは大好きだけど、
全く知らない人は苦手だった。
ひょんなことから出会った男女仲間達に
バーベキューに誘われる。
ビジネス陽キャな私は、夏の思い出を
作ろう!とドキドキしながら参加をした。
高校時代の友人Aに再会する。
Aちゃんは、グループは違ったものの
いつも明るくて昔からダンスを習っていて
体育祭で振付をしたり太陽みたいな女の子だった。
太陽の下で今どんな仕事してるの?などと
みんなで話をした。
『ちょっと前にできた、映画のバーレスクみたいなショーがみれるお店でダンサーをしているんだ』
バーレスクという言葉はなんとなく聞いたことがあった。ショーがみれるお店とは?どんな曲で踊っているの?色々聞いていた自分がいた。
元々ハロー!プロジェクトさんが大好きで
可愛い子が踊ったりするのをみたり自分がするのも
好きだった。それを仕事にできている子が身近にいる。なんだか不思議な感覚だった。その時は、いつか観に行くね!と言って終わった。
実際にお店に足を運んだのは秋口になってからだった。少し時給が良い派遣のお仕事をしていたけど物足りなさを感じていた頃だった。
ちょうどハロウィンが近くて女の子達は仮装をしていた。夜のお店に免疫がない私は終始緊張している。
女の子達とお話しする時間が終わるとショータイムの時間になった。
私の覚えてる範囲でショー楽曲は
妖怪ウォッチの曲
Get Wild
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ルパン三世のテーマ
だったと思う。
後々から聞いたのだけどルパン三世の曲は
Aちゃんが振付をしたそう。
お喋りしていたときの無邪気な女の子達は
目の色を変えてショーガールとして舞台に立っていた。ミュージカルをみているようだった。
私は今まで決められた道を歩いてるだけで
芸を評価されることはなかった。
チアダンスや演舞の前のコール作成は
たしかに頑張っていたけど、
それを、私個人で評価されることはなくて。
不完全燃焼というか、頑張り方が不器用だったのかもしれない。
今まで欲が少なかった私が
『この感動を届ける側になりたい』と入店を決めた。
それが今も続くあゆめろの始まりです。
入店当時23歳。周りのダンサーさんに比べたら
わりかし年長な新人ダンサーだったと思う。
毎日出勤ではないのもあり、
派遣のお仕事や当時資格試験の勉強をしていたので
その合間に練習をしたりするも
他のダンサーさんとの差に一喜一憂することも。
未経験だから最初から自信ないのも当たり前だけども。
そのとき、私は直感を信じてひとつの行動に出た。
『私、このお店で1番可愛いんです!!!』
毎日挨拶のように唱える。お客様にご挨拶する。
1番可愛いと書いた100均で買ったタスキをかけて
アピールする。自分の自撮りを集めてうちわを作る。推しの先輩の好きな所を手のひらサイズのノートに書いて持ち歩く。
今となっては珍行動すぎるけど
当時の私にとってはかなり意味がある言動だった。
当時、モーニング娘。は道重さゆみさんがリーダーの時期。『黄金期は、一度だけとは限らない』という言葉を掲げてメディア露出をしていた。
正直、最初は道重さん推しではなかったものの推し出したきっかけが実はある。
いきなり!黄金伝説という番組で一カ月一万円生活をするというものがありその時の彼女の言葉に心を奪われてしまった。当時、毒舌でナルシストキャラなイメージ。
(自分の言動について以下文)
「モーニング娘。の存在をアピールしたかったのが一番。ファンの方だけじゃなく、世間の皆さんにも知ってほしかった。私がきっかけで知ってもらえたら一番いい。大変だったけど、私が頑張れたのはモーニング娘。だからこそ。支えてくれるファンの皆さんがいるから」
ちなみに、私はその番組をみる前の時代のプラチナ期は、きらレボで有名な久住小春ちゃん推しだった。
いつも可愛い可愛い言ってる子がこんなに考えてるなんて!!と純粋に応援したくなり推しになったのがきっかけ。
その時代に私はショーガールとしてお仕事を始めて、
なにもできない私を恐れ多くも彼女に重ねていた。
『とりあえず大好きなさゆに習って動いてみよう。毎日いないからこそ爪痕残したいよね!』の精神だった。
それから、可愛い にひたすら全振りをする。
時にはその全振りが後々自分を葛藤させる場面もありながらもどんなお客様がきてもポジティブマインドで返すことができた。
色々と悔しい思いや
叶えられていない目標も実はあったけど、
アイドルダンサーを全うして卒業。
数年後に私は今の舞台で転生する。
今はアイドル曲は滅多に踊らないし、
『私が1番可愛いです!』と唱えなくはなったし
もう自分が1番!と書いたタスキはしてないけれど
叶えられなかった夢を今は次々と更新しています。