コロナにつける薬vol.2 【Piano】
さて、なんとなくアリココデイリーの様式を踏襲して、シリーズ化するためにタイトルを「コロナにつける薬」にしてみました。コロナ禍をともに生きるみなさまにとって、非日常の日常を少しでも楽しめる言葉を紡いでいけたらいいな。
12月のアドベント的にやってみようと思うので、今年を振り返りながら自粛期間に、これがあってよかった、またはこんなことに気づけた、というものを挙げていこうかと思っています。
まず一つ目はこれ
『Welcome to our living room』という名前で毎晩21時からfacebookライブで行われていた、小曽根真さんのピアノライブ。
しばらくはyoutube上で公開されてましたが、今はもう見られません。マリンバ奏者の方がその動画とコラボしてあげていらっしゃる動画をお借りします。小曽根さんのリビングルームと、その背景のお庭(途中からきちんとライトアップもされるように)がとっても素敵なんですよね。
このマリンバ奏者の方も書いてますが、小曽根さんの音楽は人の人生を変える力がある。毎晩のようにこの人のピアノと、トークを聞いていて、なんど自分の人生を思わせてもらったことか。facebookライブの気軽さで、聴きたい曲をコメントすると、拾われて弾いてもらえることもあり、なんとも言えない一体感がそこにはあった。
空太郎と毎晩20時から本を読んで(その様子を私たちもライブ配信して)、それが終わるころ21時になると、今度は小曽根さんの聴衆になる。そんな生活を1か月半くらい。今思えば、人生でいちばん規則的に過ごせた時間だったかもしれない。
モシュコフスキーからルパン三世のテーマまで、そりゃ多岐にわたる曲を独自のアレンジで、この上なく楽しそうに演奏する。足元には猫たちが自由に戯れて。女優でパートナーの三鈴さんとの掛け合いもまた、ほほえましかった。隣で寝落ちしたわが子の顔を見ながらその音楽を聴いていると、永遠にこの時間が続いてもいい、と思える瞬間が幾度もあった。
わたしも誰かにとって、そんな時間を提供できる人間になりたくてずっと表現活動をしていたよね、ということを思い出させてもらった。
最後のライブは、リビングルームじゃなくて、オーチャードホールからだった。最後の曲は、小曽根さんのオリジナル曲「Reborn」。スローバラードのはずのこの曲の冒頭、小曽根さんの指がピアノを叩いた瞬間、まるで天の極から鐘が鳴り響いたかのように突き抜けた音が。
号泣。ただただ、号泣。
たったの一音で人を泣かせるなんて。(その音は、本当に宇宙から直接心臓に打ち込まれたように私の心の中で鳴って、すべてを震わせた)。
この音が開いてくれた新しい世界を生きていこうと思った。
そんな小曽根さんのオーチャードでのクリスマスコンサート、空太郎と発売日を楽しみにしていたのだけれど、瞬殺でした。そりゃそうだよね…。だって、最後の日の視聴者は15000人超えだったもの。オンラインチケットで、あの日々を少し懐かしく振り返ることにします。ちょうど、キジムナーの公演も終わり、家でゆっくり、ワインでも傾けながら聞くことにしよう。
こんなコンサートの楽しみ方ができるようになったことは、そんなに悪くはない、と思う私なのである。
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