見出し画像

傷ひとつない指輪にさようなら

 
仕事が忙しくて更新が滞りがちな喪女Aです。
 
書きたいことはたくさんあるのに時間が無いというなんとももどかしい状況。最低でも月3ペースで投稿したいなぁ……。
 
 
 


 
 
 
 
ひと月前から、次元違いのパートナー・松之とのペアリングを四六時中つけるようになりました。
 
 
周りから詮索されるのを恐れ、当初ペアリングは右手の薬指でオーダーしようとしていたが、松之からの希望もあり最終的には左手薬指で作っていただいた。左手につけるのを躊躇していた理由は実はそれだけではないのだけれど、明るい話ではないので割愛します。
 
作ったはいいものの、それらの理由から誰にも会わない休日にしかつけることができなかった。それの何が問題なの?と思うかもしれないが、彼が指輪を左手につけてほしい理由が“異性避けのため”なので問題大アリなんですよね。すまぬ。
 
 
私は嘘をつくのが苦手だ。嘘をつくのもつかれるのも嫌、だから極力嘘はつかない。状況的に真実を隠した方が良いと判断した時は嘘をつくけれど、挙動不審になるので相手にバレていることもあると思う。これは私の長所でもあり短所でもある。
 

例えば、指輪をつけたまま友人や職場の同僚に会ったとする。きっと周りから指輪についてつっこまれるだろう。「彼氏いるの?いくつ?職業は?結婚する予定はあるの?」は必ずと言っていいほど聞かれる定番トーク。パートナーがいる方が質問攻めにあっている場面を何度見たことか。実際私も友人に同じ質問をしたことがある。嘘が苦手な私がこれらの質問を嘘だとバレないようにかわすのは至難の業だと思った。
 
しかも友人に夢女子どころかオタクはほぼいないし、職場に至ってはゼロ。そして悲しきかな、LGBTQにもあまり理解が無い方々なのは普段の会話から察していた。
そんな中、正直に「私、FセクFロマなんです。キャラクターと結婚(事実婚)しています」なんて宣言をしようものなら、必死に猫を被り輪の中に入り込んだ努力が水の泡になるかもしれない。
特に仕事。チームで仕事をする上で普段のコミュニケーションがいかに大事かは身をもって学んできたのでそれだけは避けたかった。リスクがゼロではない以上、本当のことは言えない。作り話で切り抜けられる自信も無い。そう考えると他者に会う場面で指輪をつけるわけにはいかなかった。
「出会いがなくて彼氏いないんですよね」その一言の嘘で済むなら、それが一番楽。
 
 
でも、本当にそれで良いのかなって。
 

何度目かのプロポーズにOKをもらう前夜の話。
彼と話していてたまたま一夫多妻の話題になった時に「三次元の人と結婚するなら松之とは別れるよ。複数の方と恋愛関係になる気はないから。でもこれからもあなたにパートナーでいてほしいから、三次元の人とは結婚しないし付き合わない」と言ったことがあった。
 
籍を入れられないから正式には夫婦ではないけれど、私は生涯を共にするパートナーに次元違いの存在・松之を選んだ。しかも『パートナーはあなただけ』宣言をしているわけですよ。
そういう相手に松之を選んだのに表向きは“独身彼氏無しの完全フリー”の顔をするって、彼に物凄く失礼なことをしているのではと思った。同僚に合コン誘われる時もあるし。ちゃんと断ってるけど。「“結婚する”と言ったのだからケジメをつけろ」と松之にも度々言われていましたし。
 
 
『記事:誰にも言えない自分だけが知る“好い人”』で書いた祖父母の話もね。
自分たちの関係を否定される怖さ、それと高齢の祖父母に余計な心配をかけたくない思いもあって私は松之の存在を隠した。曽孫を望んでいる人に「私は次元違いのパートナーがいるので三次元の人間と結婚しません(=曽孫はできません)」なんて言えないじゃん。そう思うと同時に、いつまでも期待させたままにするより一層の事「曽孫は諦めて」とハッキリ言った方が良い気もしたりして。
 
 
嘘は嫌いだし極力つきたくない。
だけど、時には“嘘”が必要で。
 
嘘は誰かを安心させたり、救ってくれる時もある。じゃあ今私が周りについている嘘は誰を安心させているのかと言えば、両親と祖父母、そして私。
両親と祖父母に関しては安心はできていないだろうが、“得体の知れない存在と事実婚している”と伝えるよりは、婚活中と言う方が希望がある分まだマシな気がした。嘘は両親と祖父母の“希望”を守り、私を“不安”から守ってくれる。
 
でもそこには大切にしたいはずの松之は入っていない。私の嘘は彼を不安にさせる。
人生のパートナーがその優先順位ってどうなのよ。私は誰のために生きてるのよ。誰と生きていきたいのよ。本当にそれで良いのか喪女A。
 
 
 
グタグタと考えたもののやっぱり割り切れなくて。
 
 
だから“違う嘘”をつくことにした。
 
 
ひと月前から彼とのペアリングを四六時中つけるようになった。
予想通り、友人と同僚からは早速つっこまれた。パートナーは次元違いの方とは言えなかったので、事前に用意していた『もし松之が三次元の人間として存在していたら』という“設定”を答えた。しどろもどろだったから嘘だとバレるのは時間の問題かも……というか既にバレているかもしれないが、一先ず松之は年上のパートナーということになった。見た目的にも精神年齢的にも絶対私の方が上だと思うのに彼は「自分の方が上」と言うので年上設定です。解せぬ。
 
両親には「(三次元の人とは)結婚するつもりはない」と言った。父は納得していなかった。母も孫が見れないことを残念がってはいたけれど、「お前の人生だから好きにしなさい」と言ってくれた。親不孝でごめんね。
過去ストーカー被害に何度か遭っているので、指輪は魔除けですと伝えた。納得していたかは分からない。
 
祖父母にはまだ何も言えていない。
20代前半の頃に一度お見合い話を持って来られたことがあったが、母がキレてからは特にそういった話も無く。もしまたお見合いさせられそうになったら、その時は両親に言ったように(三次元の人とは)結婚するつもりがないことを伝えようかなと。祖父母には私の発達障害も伝えていないから最悪この辺りも理由として使いながら、なんとか曽孫は諦めていただこう。ごめんね。
 
 
 
 
お風呂に入る時以外は仕事中もずっとつけっぱなしだからか、早くも指輪に細かい傷がちらほら。ツルツルの綺麗な指輪はいなくなってしまったけれど、この傷は私が自分の望みを自覚して、自分らしく生きていくために一歩踏み出した証
 
私だけが知る好い人は、今も変わらず私しか知らない。それでも、“○○(喪女Aの本名)に好い人がいる”ことを知ってくれた人がいる。私が三次元の人と結婚するつもりがないことを知ってくれた人がいる。
 
それだけでも充分生きやすい。
 
 
理解してもらうことに重きを置き過ぎず。
これからも私たちは私たちなりに生きやすい道を選んで生きていこう。彼と、そう約束した。