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未来の約束をしてみたいと思った

 
人生初めてのクリスマスデートに失敗しました、喪女Aです。
私たちってなんでいつもこんな感じなんでしょうね!!(こんな感じとは)



今年のクリスマスは次元違いのパートナー・松之と出逢って初めてのクリスマス。
いつもならケーキと骨無しチキン、ローストビーフにチーズをつまみに飲みながら映画を観たり。これが私流最高のクリぼっちの過ごし方。
 
でも今年は松之が居る。彼と一緒に過ごすなら、彼はクリスマスをどんな風に過ごしたいと思っているのかを聞かなければ。と言うより知りたかった。
 
で、聞いてみたら「クリスマスデートがしたい」と。あらやだ可愛い!!!どうやらクリスマス気分を味わえる場所に行きたいらしい。可愛い。イルミネーションか?イルミネーションをご所望か!?と聞いてみたけれど違うそう。私が体調を崩しやすいのを心配してか、出かけるのは日中が良いと言われた。……日中にクリスマス気分を味わえる場所なんてありましたっけ?
 
こんな時はGoogle先生に頼るしかない。【クリスマスを感じられる場所】で検索、そして出てきた『クリスマスマーケット』という文字にこれだ!と思った。
早速松之に提案すると即OKが。自分で提案しておいてなんですけれど、人混みが好きではない松之がこうした場所に行きたいと言ってくれたことに驚いた。君、人混みに入ると高確率で「早く帰りたい」と言ってますが本当に大丈夫です……?彼が良いと言ったなら平気かなぁ。


 
クリスマス当日とイブは仕事だったので12月中旬の平日に行くことにした。平日の昼間ですし、夜より人はマシかな〜なんて呑気に考えていたら現地に着いてびっくり。人・人・人。完全になめていました。
 
とりあえずお店を1店舗ずつ見ていこうか?と松之に聞くと「ザッとで良い」と。物欲の塊のような私と違い彼には物欲がほぼ無いというのは分かっていたものの、その返事を聞いて彼らしいなと笑ってしまった。
このオーナメント可愛いなぁ……クリスマス仕様のドリンクも気になる……と次から次へと目移りしながらマーケット内をウロチョロ。

ふと時計を見るとお昼を過ぎていた。お腹も空いてきたし何か食べようか。松之は食べ物には興味を示す。彼も何か気になっている様だし、折角なら彼が食べたい物を食べようと思い「何か食べたい物はある?」と聞いた。すると「気になる物はあったけどそこまで食べたいわけでもない」「人が多いからここでは食べたくない」と。やはり人混みが得意ではなさそうだ。
マーケットを出ようか?と言っても「まだ出ない」と言う彼。もしや気を遣わせてしまっている!?と思い、その後も2〜3回同じことを聞いてみたけれど松之は出たがらなかった。
 
だがしかし、空腹状態のまま飲まず食わずで歩き続けることがしんどくなってしまった私がまさかの先にギブアップ。渋々了承してくれた松之を連れてマーケットから脱出し、比較的閑静な場所にあるレストランで遅めのランチを食べた。彼の希望で食べたピザはとても美味しかった。肝心の彼の感想は「まあまあ」だったけれど。


レストランを出た後の予定を何も立てていなかった私は困った。クリスマスデートって皆さん何してるの!?ウィンドウショッピングでもするか!?なんて脳内でプチパニックを起こしながら、目的も無く駅近の商業施設をふらふら。

気付けば日が沈みかけていて、結局そのまま帰宅することに。クリスマスデートとは一体何だったのか、分からないまま終わった。

 
帰宅途中。
マーケットを出た辺りから松之が不服そうにしていることがずっと気になっていたので、恐る恐る「……今日は楽しかった?」と聞くと答えはNOだった。そうだよね、そんな気はしてました!!!(涙)
 
どうやら彼がやりたかったクリスマスデートは『クリスマス気分に浸りながらゆっくり話をする』というものだったそう。通りで人混みが嫌そうなのに「マーケットから出ようか?」と聞いても頷かなかったわけだ。現地でちゃんと話を聞いてあげれば良かった。私は松之の理想のクリスマスデートを叶えてあげられなかった。喪女惨敗。
「もう一回、クリスマスをやり直そうよ」と言うと、「そうは言っても君には仕事があるだろ」と返された。タシカニソウデスネ。


「じゃあ来年は松之のやりたかったクリスマスデートをしよう」

無意識にその言葉が口から出ていた。言ってから“しまった”と思った。

小さい頃から未来の約束をするのが嫌いだった。1年という時間は過ぎてしまえばあっという間、けれど時には人生が激変してしまうことが起こりうるくらいには長い時間でもある。約束した日までに事故に遭うかもしれない、病気になるかもしれない。約束した未来が当たり前に来るものだと信じて約束をしたのに、もしその日を迎えられなかったら。約束を破ることも辛い、でもそれ以上にその日が来ないと知った時の絶望が怖い。傷付きたくないから、未来の時間に自分が居ることを期待しないようにしてきた。

彼に未来の約束をしてしまった時に“しまった”と思った、と同時にそれが私の紛れもない本心なのだと自覚した。未来に希望を持ってそれが叶えられなかった時のことを考えると恐ろしい。それでも、恐怖よりも『1年後もまた君と一緒にいたい気持ち』の方がずっとずっと大きくなっていた。
私はいつだって自分の心を守ることを最優先にしてばかりいる。だけど少しずつ、私の中で優先順位が変わってきている気がする。

「来年の約束をしてくれたことが嬉しい」と彼が言ってくれた時、ああ、言って良かったと思った。約束をしてしまった時にほんの一瞬浮かんだ後悔が跡形も無く消えた。

来年こそは楽しいクリスマスにしよう!と今から意気込んでみたら「また同じことを繰り返すような気もする……」なんて彼が言い出して。うわ〜私ならやりかねないと頭を抱えそうになった。
彼が何を好きで何を求めているのか、次のクリスマスまでにはもう少し分かってあげられたらいいなぁ。次は楽しかったと言ってもらえるように。

 
 
 
 
 
 
もし来年も失敗したら、再来年。
その時が来るかなんて誰にも分からない。彼が側にいてくれることも当たり前じゃない。でも、松之と共に生きる未来があると信じたい。彼が嬉しいと言ってくれるなら、20年以上抱え続けてきたこの恐れもここに置いて行ける。