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インクってどれくらい乾きやすいの?

おそらく、万年筆を使うにあたってこの「乾きやすさ」という点でボールペンとの違いに困惑する人が多いのではないかと思います。

そうでした。今回の乾きやすさという話は、ペン先のことだけにしておきましょう。つまり、ペンのキャップを開けて書いている状態、もしくはキャップをつけてしまっている状態でどうなるのか、について書いてみます。紙に書いたときのインクの乾きやすさはまたの機会に。

万年筆のインクは、基本的に乾きやすいです。油性ボールペンのようにキャップを外し(ノックしてペン先を出す)た状態でそのまま置いておけば、どんなに乾きづらいインクでも30分もたてばカサカサになってしまいます。要は書くことができなくなります。これはインクの種類によるのですが、粘度の低いインクほど乾きづらい傾向があるようです。インクにもよりますが、乾きやすいインクでは3分もしないうちにカサカサになります。書こうとすると乾いてしまっていて書けないのです。

以前の記事でも言及したのですが、カーボンインクは要注意です。カーボンインクを入れた万年筆は、使っていて少しの間でも考えるためにペンを止めたら、キャップを閉める癖をつけるべきです。

ペン先が乾いた場合、どうすればいいのか。その対処は簡単で、ペン先を水にちょっとだけつければいいんです。水につけて、布かティッシュにペン先をつけ、インクを少し流し出してやりましょう。そうすればインクの流れが復活します。テーブルの上にインクの空き瓶をひとつ置いておいて、その中に清潔な水を入れておくと便利です。水を替えるのが面倒な場合は、100円ショップなどで霧吹きを買ってきて、その中に水を入れておきます。ペン先が乾いたと思ったら、ペン先に霧吹きしてやり、その水を布かティッシュで拭き取ればインク復活です。

最後に、ペンのキャップの種類による乾きやすさにの違いについてです。万年筆は、ネジ式そして嵌合式(かんごうしき)と呼ばれる2種類のキャップの閉め方があります。

ネジ式は文字通りネジのように回してキャップを締めるタイプです。嵌合式は、押し込むとパチンとしまるタイプのことをいいます。

この両者では、嵌合式の方が密閉率が低いです。つまり嵌合式の方がキャップを閉めてあっても乾いていきやすいわけです。キャップを閉めて保管中でも乾いていくのが万年筆の特徴ですので、気を使ってあげてください。

一部メーカーの製品では1年使わなくとも大丈夫という物があります。これは本当です(わたしが言うのもおかしいですが)。しかし、そうではない万年筆は、基本的には最低でも週に1度は使ってあげましょう。毎日1回使うのがベストではありますが……。

というわけで、万年筆のペン先(インク)の乾きやすさについてでした。確かに、こう言われると「めんどくせぇ……」となるかもしれませんが、そう悪い道具でもないですよ。特性が分かっていれば扱いにくいわけでもありません。使って行ってみると、だんだん良さが分かってきます。焦らないのが肝心かもしれませんね。それから、これを言うと元も子もないかもしれませんが、あまり神経質になる必要は無いとわたしは思います。たとえば「キャップを外してから5分たった!」なんて計算しなくてもいいです。詰まってしまったら洗えばいいわけですし、そこら辺は個人の裁量で楽しんだらいいのです。

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