万年筆がつらくなってきた人への処方箋
万年筆が大好きだ!
いくらでも語ることができる。
あの書き心地がサイコーだ!
わたしもかつてはそういう熱い万年筆ファンでした。今はと言いますと、もちろん万年筆は使っていますし、好きな筆記具です。しかし、筆記の中心はえんぴつとボールペンに移っています。
もし、万年筆に関わるのになんだか違和感がある、なんだかさわりたくない。売ってしまおうか、そう思っている方に読んでいただいて、ベストな方法を再考いただければ幸いです。
まず、万年筆が何らかの理由でいやになったら、水で洗い、引き出しにしまいましょう。万年筆は、向こうから逃げることはありません。手放すのは持ち主しかいません。万年筆自身が使われなくなったからといって、自分から逃げ出しはしないのです。ですから、ちょっと疲れたら、距離を取るのが最善です。
ではいやになる具体例を挙げてみていきましょう。
SNSを見ていると自分よりも上手に万年筆を使っている人がいて落ち込む。ありがちかもしれません。こういう時代ですから、上には上がいるという状況をつぶさに見ることができます。そしてそれは確かに輝いて見えます。多くの人から反響があったり、ステキに見えるかもしれません。
そういうときは、万年筆関係のSNSアカウントから距離を取りましょう。結局のところ、万年筆趣味というのは自分と万年筆がどう付き合うかということです。他人がどうしていようと(ほとんど)関係ありませんし、あこがれの人と同じ物を手に入れても、いきなり自分が変わったりはしません。むしろ、万年筆はちょっとしたパワー(金銭・ステータス)がありますから、それに引きずられていると思ったら、いったんしまいましょう。また使いたくなるときが来るはずです。そうなったらまた使えばいいのです。
次々と出る新商品に疲れる、みんなどうしてそんなにお金があるのか。
はい、これはわたしも思っているところでして、今現在、万年筆は既に筆記具として必須ではありません。えんぴつとボールペンとマーカーがあればじゅうぶんです。つまり、万年筆は趣味の筆記具であり、それは仕事で使っていたとしてもその個人の趣向だと捉えていいでしょう。万年筆を何本も持っているというのは、ある種のステータスかもしれませんが、その数が筆記生活の充実を表すものではありません。1本をずっと愛用している人もいるのです。自分次第ですね。
万年筆がたくさんありすぎる。万年筆は、確かに本数が少ないほどそれぞれを酷使できます。ですが、長い時間を経て自分の元の集まったペンたちは、自分の歴史そのものかもしれません。しかしながら、どれも平等に使いたくとも、書くときはきき手に1本持つしかありません。どうしたものか。残りは、売るのか。
いえ、売らなくてもいいと思います。とっておいて、気が向いたら使えばいいのです。あるときはパッとしなかった万年筆が、輝くときがあるかもしれないからです。
ぬらぬらの書き味がサイコーだと思ってたけど、飽きる。手入れも面倒。
そういう方は、極太字のボールペンを使われるといいと思います。わたしはBIC社の1.6ミリボールペンを使っています。これは驚くほど「ヌラヌラ」しています。ジェットストリームのさらさら感とは少し違います。粘りけがありつつ、どんどんペン先がすべります。
万年筆でしか味わえない書き味もありますが、必ずしもすべてが万年筆でないと経験できないわけではありません。
このインクが気に入らねえ!
洗ってしまいましょう。いやなことがあった日のインクなど流してしまえばいいのです。気持ちのいいインクをつめておきましょう。
さて、これらはわたしの意見でしかありません。
総括しますと、万年筆をどうしたいか、それは最終的には自分を大切にするということにつながります。SNSなどから万年筆に手を染めた方は、つながりが切れてしまうのではないかと思うかもしれません。そう考えたとき、自分がつながりを大事にしたいのか、万年筆を大事にしたいのか、考えてみてください。自分の心に従いましょう。ただし、急いで結論を出すことはないでしょう。少し休む時間があったってまったく構いません。
とまあ、こういうふうに思ってしまうほど、万年筆には魔力があるのですね。考えすぎだよと思われてもおかしくないでしょう。それでも、読んだどこかの誰かの一助になればと思います。
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