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奈々の夢が叶わず涙する1

silent 第6話「音のない世界は悲しい世界じゃない。」から第7話「自分にだけ飛んでくるまっすぐな言葉」

脚本:生方美久 演出:髙野舞(第6話)、品田俊介(第7話) プロデュース:村瀬健

病気で難聴になった佐倉想に思いをよせる桃野奈々(演じるのは夏帆さん)はこのドラマにおいて非常に重要な人物です。生まれつき耳が聞こえない奈々は想が大学生の時に手話を教え、やがて想に思いを寄せるようになります。そして、想と電話で話し普通の恋人同士なることを夢みます。第6話と第7話冒頭では、奈々と想が喧嘩し思いがすれ違う様を丁寧に描いています。カットの中の奈々に涙したも多いと思います。なぜ、涙を誘ったのか、カット割や構図をよく見ると制作スタッフの細やかな仕掛けが見えてきます。
第6話、奈々が道路の反対側で本を読んでいる想を見つけるシーンから。このシーンが重要な伏線となります。


シーン1 二人の待ち合わせを見てしまう奈々 山手通り代々木八幡駅西側(夜)

カット01 奈々KSルーズ

奈々、通りを歩く。下手側の横断歩道へ向かう。


このシーンの舞台設定を明示するカット。主体である奈々を安定したセンターにおいています。

カット02 信号

歩行者用信号、青点滅


このカットでも映像の主体となる信号機は3分の1に配置されています。

カット03 奈々ルーズ

奈々、信号が赤になり安全地帯で信号待ち


このカットでも主体となる奈々は上手3分の1の位置。3分の1に配置することでこのシーンが二人が登場することを予感させます。ここで信号待ちになるのも演出のようです。

カット04 奈々BS

奈々、何気なく周りを見ると道路の向こう側にいる想を見つける


見つけた側の空間を開けた典型的な構図です。

カット05 想ルーズ

想、道路反対側の電柱にもたれかかって本を読んでいる。


想は道路を挟んだ向こう側にいるというのを強調するために、車道を入れ込み、フォーカスがぼかした奈々の後ろ姿もわざわざカットの中に配置しています。想の位置は下手側の3分の1です。しかも、カット割すると奈々と向かい合わせになる方向を向いています。

カット06 想WS


カット05と同じカメラ位置で想に寄ったカット。奈々の目線の構図です。この二つのカットで奈々が想がいることに気付く奈々の感覚を視聴者にも共有させています。

カット07 奈々BS

奈々、想に気付く。


カット06の構図と繋ぐためにも奈々の配置は上手側3分の1です。

カット08 奈々 手元アップ

奈々、背中のリュックのポケットからスマホを取り出す。


リュックからスマホを取り出すこのカットが第6話の重要な伏線となります。奈々は手話をするために両手が使えるよう普段からリュックを背負っています。

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