RICOH GXRというコンデジとしての一つの回答
RICOH GXRについて語ります。
RICOHといえばGR。
軽量コンパクトで高性能な単焦点レンズを搭載したそのコンパクトカメラは今でも人気のあるシリーズです。
供給量が足りてないようで新品はなかなか手に入らず、新古品は新品より高かったりしますね。(どういうこっちゃ)
前々回のnoteでiPhone15を買ったおかげでGRへの物欲がなくなったと言いましたが、RICOHのGが付くシリーズは何もGRだけではないのです。
今回紹介するのはRICOHのGXシリーズの最終型GXRです。
実際、このカメラ知ってます?
元々一部のカメラ好きしか知らないカメラです。
キャンディットフォトはポーズを取らない写真。スナップみたいなものを言うみたいです。
GRが日々をありのまま写す事を売りにしているのに対して、撮影領域を選ばないという謳い文句からわかるようにGXRはもう少しクリエイティブ寄りで幅広い層をターゲットにしています。
コンデジというジャンルにのみ絞ったRICOHという老舗カメラメーカーが最後に送り出した本格的なシステムカメラです。
さて、GXRの発売は2009年はバラクオバマ氏が米大統領になった年です。もう15年前になりますね。
Canon EOS5Dmark2という歴史の転換点となるカメラが生まれたのが2008年であり一眼レフはCanon一強。MINOLTAの姿はなく、かつての覇者Nikonも苦戦しているような時代です。
このカメラが最もユニークであったことは、一般的な一眼レフやミラーレスのようにレンズだけを交換するのではなく、センサーユニットごと交換するという唯一無二の方式を採用しました。
レンズユニットだけ変えれば常に最新のセンサーを使用することが可能であり、一つのボディで10年は戦えそうなシステムです。
しかもコンデジ同様にレンズとセンサーの関係性が最適にチューニングされているという利点もあり、カタログスペック上には現れない高性能を有していました。
まさにコンデジというジャンルにのみ特化したRICOH渾身の一台。。でした。
残念なことに2024年現在、このシリーズに新たなレンズユニットが発売される様子はありません。結局最初の数年間しかラインナップを更新することはありませんでした。
とはいえ、当時のRICOH GRdigitalⅢが1/1.7型インチセンサーの1000万画素であったのに対し、GXRのGR Lensと名付けられた高級ラインナップはAPS-Cサイズの1200万画素CMOSセンサーという最も高性能なカメラでした。
実際の描写はこんな感じ。
ボケも好みです。
GR3の描写にも負けていない気がします。
8群9枚の33mmF2.5"GR"マクロレンズの解像力は目を見張るものがあります。
そして、現代においても一部でこのカメラが人気な理由の一つがライカMマウントを装着できるA12 mountユニット
他のGRLensと同じapsc1200万画素のA12センサーを備えたユニットで、当時の店頭価格が6万5000円程度だったのに対して、何と15年経った現在においても、中古価格でほとんど値下がりしていません。
このカメラが今だに根強い人気がある証拠だと思います。
GR譲りの操作性で、マニュアルレンズを想定したフォーカスアシストもわかりやすく、SモードではISOオート状態になるため自動露出も扱いやすいです。
Mモード時はボタンひとつで適正露出に合わせる機能を割り当てることで、Mモード時でも咄嗟の露出変更が可能。フォーカシングスを除き、殆どが片手で操作できます。
1/60F5.6や1/30F2.8などといったお気に入りの露出で固定して撮ったり、1/60F11といったパンフォーカス撮影でも良いですが、F1.8で撮影した上の写真でもピーキングによるアシストにより液晶を見てピントもしっかり合わせられます。
等倍で見ても粒状感が好みです。
RAWにして20MBくらいの画質です。
どうしてもMマウントを付けっぱなしにしてしまうので、ただのミラーレス機と化すわけで、ユニットを変えられるGXRを使用する意義は消失してしまっている気もしますが、現状RICOHのレンズ交換式カメラはこれ以外存在しておらず、ここまでコンパクトなボディはマイクロフォーサーズのLUMIX GF10あたりとの比較になってしまいます。
LUMIX GF10 106.5x64.6x33.3 mm
GXRボディ 113.9x70.2x28.9 mm
canon kissM2 116.3x88.1x58.7 mm
SONY NEX-6 119.9x66.9x42.6 mm
Mマウントアダプターについては、かつて和製ズミクロンと呼ばれたXRリケノンを現代のデジタルカメラで使うなど様々なロマンがあります。
小さいのにゴツいため、大きなレンズでも崩れないボディバランスや、自由にカスタムできるボタンも多く、他社のフラッグシップ機に劣らない作り込みは、手に取った瞬間に伝わものがあります。
このカメラがキャンディットフォトをコンセプトに作られているのは冒頭のイメージ画像にも書いてありました。
ブレッソンの写真のように決定的な瞬間を撮るために必要なのは何か。そんな事を体現した一つの回答でした。
ユニットを変えるだけで性格が180度変わってしまう。
現在においてはセンサースペックも低く、AF性能は絶望的で、器用貧乏と言えばそれまでですが、使ってみると他のカメラには無い良さを感じられます。
唯一無二。
結局数字に現れないスペックに拘った結果、事業としては失敗に終わったこのシステムですが、今でも生きているカメラです。
フルセットで揃えたら最新のGRが余裕で買えてしまう値段ですが、歴史に名を残す名機なのは間違いないでしょう。
良いカメラなので手に入る内に手に入れておくことをオススメします。
最後は作例で終わります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
Akatsukiでした。