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林原美術館 開館60周年記念展「平家物語絵巻」に行ってきました


林原美術館が所蔵している全36巻揃いの『平家物語絵巻』と、2022年に放送されたアニメ『平家物語』がコラボした「林原美術館 開館60周年記念展「平家物語絵巻 ―絵巻とアニメ∞時代を超えて動きだす物語―」」に行ってきました。
今回の展示では、

◆PARTⅠ「平家の栄華」令和6年6月29日(土)~8月4日(日)
◆PARTⅡ「源氏の躍進」令和6年8月10日(土)~9月16日(月・祝)

と、2回の会期で展示内容が変更となっていたため、7月、8月の2回に分け岡山県を訪問しました。

幸い2回とも快晴!(暑かった………)

アニメ「平家物語」は最終回放映頃の2022年3月に配信サイトで一気見し、もともと源平時代が好きなこともありますが、映像の美しさとストーリーに大感動した作品でした。

訪問後に知ったんですが、今回、平家物語絵巻が勢揃いして展示されるのは約9年ぶりとのこと。
大盤振る舞いの展示の一部をご紹介しますので、まだご覧になっていない方はぜひ!!!
(会期は〜9月16日 月・祝まで!!!)


PARTⅠ「平家の栄華」

7月下旬、林原美術館初訪問。
展示室に入ってすぐ感じたのは、解説、アニメ場面のパネルなど、読みものの多さ!

↑の記事の写真のように、壁面にアニメのパネルと、それに対応する絵巻の場面のパネル、下部には絵巻と活字化された本文・解説のパネルという構成で、かなりのボリュームでした。
パネルの内容も、絵巻の解説だけではなくアニメの解説もバランスよく掲載されていて、両解説を一度に楽しめるコラボ展示ならではの構成になっていてすごく良かったです。

展示パネルでアニメの各話の解説を見ると、視聴した時の記憶が思い出されるのも良かったですね〜
アニメ1話、殿下乗合事件の頃の幼い資盛を見るだけで心がギュッッッとなりました……


展示内容は平家物語絵巻一巻〜六巻を中心に、同時代に作刀された日本刀や能面など、平家物語にまつわる所蔵品が何点かありました。

また、展示物のほか、ところどころにアニメの抜粋ムービーが流れていて、パネルに加えて映像も楽しめる造りになっていました!
「橋合戦」のムービーが5分ほどの長尺で流れてたんですが、特にお気に入りの回を来場した方が立ち止まって観賞してるのを見てすごい嬉しかったです。
合戦前の「えい、えい、おー!」の鬨の声が臨場感あってめちゃくちゃすき

前期展示リスト①
前期展示リスト②


展示室のパネル展示は、確か展示の平家物語絵巻に合わせて第7話までだったと思いますが、第8話〜第11話までのパネルも1枚ずつ展示されていて、前期だけ見に来てもアニメ全体の流れが分かる構成になっていました。
また、アニメーションガイド?に掲載されていたキャラクタ達の設定がパネルもあって、充実度がすごかった…!
(満面の笑みの盛子とかめちゃくちゃよかった)

前半は〆!後期の感想に続く。



PARTⅡ「源氏の躍進」

8月中旬に再訪。
7月は10分でも外を歩くと倒れそうなくらいの暑さでしたが、8月は日差しは強いものの秋の気配を感じる気候になっていました。
(が、日中の日差しは7月に負けず劣らず……さすが晴れの国岡山。)

必見!ギャラリートーク(土曜日14時〜)

来訪2回目、初日の土曜日。
林原美術館学芸員の植野さんの解説を聞きつつ展示室を周りました。
すごくお話上手な方で、とっても楽しい時間でした!(ありがとうございます…!)たっぷり1時間ほどお時間を使っていただき、終了後には参加者からの質問にもご対応いただけて本当に有り難かったです。

実は前期もギャラリートークに参加する予定だったのですが、朝寝坊して新幹線の便を変えたため聞けず……こんなに面白いお話が聞けるなら無理してでも早く来るべきでした、後悔……

〈解説の内容〉(うろ覚えですが確かこんな感じ)
・コラボのお話が決まったのは今年の4月頃で、6月末の開催まで急ピッチで準備を進められたそう
・都落ちの際の安徳天皇の乗り物など、絵巻では牛車に乗っていて形式的に描かれているなど、アニメの時代考証の方が正しい場合もある
 そういう違いをぜひ楽しんで欲しい
・林原美術館の平家物語絵巻は、国語の教科書に場面資料として画像を提供している
 よく見る「扇の的」とかこちらの所蔵だったんですね~

また、解説中、同じサイエンスSARUが手がけた作品である犬王の話にも触れていただいて嬉しかったです…!

後期展示リスト①
後期展示リスト②


建礼門院右京大夫集 池田綱政写

そして、後期の展示にあって驚いたのが
「建礼門院右京大夫集 池田綱政写」
林原美術館所蔵の平家物語絵巻は江戸時代に作成され、買い集められたのは戦後。
なぜ、平家にまつわる歌集が戦国時代に写されたのか植野さんにご質問させていただきました。

(右京大夫集は、勅撰集を作る際、右京大夫に藤原定家から声がかかりまとめられたもの。とされています。)
※すごいざっくり書いてるので詳細は調べてみてください汗
「時代が下る中で歌の見本として数多く写本が作られる中、戦国時代に公家から借りたものを池田綱政が見本の一つとして写したのでは。」
といったお話でした。

いや〜〜〜すごい偶然ですよね………
戦国時代、後年に平家物語絵巻全巻が納められるなんて想像のできないはるか昔に歌集の見本として写された右京大夫集が、アニメ平家物語とのコラボで一つの場所で展示される………
自分は右京大夫集がめちゃくちゃ好きなのですが、とても感慨深い気持ちになりました。

右京大夫集は展示室の一番最後、まるで平家物語を締めくくるように展示されています。近くでは最終話の最後、徳子が寂光院で亡くなるアニメのシーンがが5分ほど上映されているんですが、右京大夫集では大原に隠遁した徳子を右京大夫が訪ねるお話もあるので、ご興味がある方はぜひ読んでみてください。
上映シーンは、展示室で観てもうるっと来てしまった……

日曜日の琵琶演奏会

また、翌日の日曜日には、錦心流薩摩琵琶奏者の木庭巒水さんをお招きいただき、琵琶の生演奏を聞く機会がありました。
「敦盛」、「重衡」、「静」 と、限られた時間の中でたくさん演奏していただいて、1時間半くらいだったかな…?あっという間の時間でした。

曲目の紹介だけでなく琵琶にまつわるあれこれもお話いただいたんですが、後継者問題といいますか、楽器の修理を行うお店ももう一店舗しかないそうです。確か、演奏で使用している琵琶も大正時代くらいのものを大切につかっているそうで、貴重な琵琶と演奏者さん、そしてそれを生で聞ける機会という何重にも貴重な機会だったんだなと思います。

「敦盛」は公式チャンネルにて動画も公開されているので、ご紹介させていただきます。


終わりに

ここまでつらつらと書いてきましたが、本当に素晴らしい展示でした。
短い準備期間の中、最大限工夫いただき、素晴らしい展示を作りあげてくださった全ての関係者の方に御礼申し上げます。
ありがとうございます!!!!!

余談と宣伝

一度締めましたがここからは余談です。
実は、林原美術館さんの平家物語絵巻を観るのは二度目で、一度目は平成30年に愛知県で展示があった際に観に行きました。


当時の展示リスト(ちゃんと取っておいてました)


当時はまだ学生だったので、貯めたバイト代を握りしめて展示を見に行ったのが懐かしい……今回、平家物語を全巻、学芸員の方の解説や質問にも回答いただきながら鑑賞できて本当に嬉しかったです。


また、10月から「みんなで選ぶ、林原美術館名品総選挙」が始まります!
平家物語コラボの時も職員さんがたくさん宣伝されてました(10月1日は記念で展示室を無料で見られるそう)ので、お近くの方も、そうでない方も是非!
刀剣乱舞とのコラボも発表されたので、ますます盛り上がって欲しいな~と思います。


(後期)びわと大人びわのパネルが並んでお見送り

本当に〆!ここまでご覧いただきありがとうございました!


歴史関係のツイートまとめ  ↓
https://togetter.com/li/2420113


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