とりとめのない思い出話と思考整理。
恋愛感情の「好き」なのか、人として「好き」なのかが分からないまま、20年くらいが経とうとしている。
多分、そうなっている原因の一つが、幼なじみの存在だと思う。
最初にことわっておくと、これは思考整理のために私がただただ数年前に書き連ねていたものをたまたま記事のベースを作っている下書きから発掘し、当時のことはなるべくそのままに、そこから現在の思うところを付け足したので、書いていることは、過去(高校生・大学生の頃)と、現在(大学卒業後、働き出してから)の内容をミックスしている。
あと、最初から人に読ませる前提で書いていない。
読む人、捉え方によっては、ちょっとこれは……みたいなものも含まれているかもしれないので、ここから先は各自、自己責任で閲覧してください。
幼なじみは幼稚園の頃からかれこれ人生のほぼ全てを一緒に過ごしてきた存在だ。
彼のことは、好きなんだけど、どのすきか分からなくて、葛藤していた時期もあった。いまも、これで良いのかわかっていない。
大好きで、リスペクトできる存在。
わたしの良き理解者。大切にしたい。
はたしてこれは恋愛感情なのか。ずっと考えている。そして、この考え方で友達としてつきあっていくことが本当に正しいのかが分からなくて、距離を取った時期もあったけど、今も、よき友人として付き合いが続いている。
一緒に出かけて、買い物に付き合ったり、ご飯を食べたり、旅行したり。人混みでは当たり前に手は繋ぐし、泊まる時は決まって2人部屋シングルを抑える。果たしてこれが普通の友達なのか分からないけれど、いまでも変わらず、接している。
ここまできても、お互いに恋人同士がするような、性的な意味を持つ触れ合いは、一切発生しない。
そんなに仲が良いのなら、いっそのこと付き合ってしまえばいい。と言われる。たしかにそうかもしれない。だけど、お互い長所と短所はいやでもわかっているつもりだ。それよりも、何かのボタンの掛け違いが原因で、恋人関係を解消することになったら、わたしたちはどうなるんだろう?
それが(互いに口には出さないけれど)どこか、怖い。
友達でさえ、ちょっとした誤解・すれ違いで、距離を取ってしまい、そのまま疎遠になっていく。なんて経験はだれしも一度はあるだろう。その相手が彼だったら?
その、私の中では最悪な結末を見てしまうかもしれないという覚悟がない。
実際、この最悪な結末を見てしまうかもしれなかった出来事が中学生か、高校生の頃だったか、明確な時期は覚えていないのだけど、1度だけあった。
なんとなく、互いの見え方がわからなくて、これまで月に一度くらいの頻度で会っていたけど、それっぽい理由をつけて、なんとなく気まずくて、避けていた。
最初のうちは、まぁ、忙しいだろうし、仕方ない。また次。みたいな感じだった。
結局、向こうから「そろそろここ数ヶ月の行動の真意を知りたいんだけど?(意訳)」みたいな連絡が飛んできてしまった。
ここまできてしまうと、うまく隠し通して、誤魔化すなんてことはできないと、今までの経験上、しっているから、避け始めてから数ヶ月で、心の内を全て吐かされることになる。
いまおもえば、この時にここで会おうと決めた場所を考えるに、お互い、同じようなことを考えていて、どこか怖かったんだろうなと思う。全ての中心にいるはずの存在なのに、ある日突然、パタリとそれが無くなった。近くにいるはずなのに手の届かない存在になっていたら?
ほんの1ミリでも1センチでもいい、そう思える存在から、突然、なんの理由もなしに避けられたら、その意図を知りたくなるのも当然だろう。
ふだん、彼の前では一滴の涙も流さずに淡々と話してきていた。もちろん、泣きたい時もあったけど、私の前で彼は泣かないから、泣けなかった。
でも、あの時の私は断る度に、罪悪感と後悔が押し寄せてきて、人知れず泣いていた。そんなに気持ちに苛まれて泣くくらいなら会えばいいのに。
だけど、散々避けておいて、ある日突然、じゃあ会いましょう!なんて都合のいいことを私から提案出来るだろうか?
正直、この時に「会う場所として、ここを選ぶってことは、同じようなことを考えていたと思うんだけど…」とぽつりぽつりと話し始めたその先は覚えていない。何も言わずにただただまとまらない話を聞いてくれた。話しきった後、少し思考を整理した沈黙の後の開口一番はいまでもよくおぼえている。
「嫌われてなくてよかった。ごめん。」
全て私が悪いはずで、私が謝るべきなのに。
そんな、私の前で泣かない彼を泣かせたことが1度だけある。大学生の頃にお付き合いしていた方と別れた。
私の中ではパートナーとして付き合うときに、相手にはいわないけれど期間を切ってマイルールを作っている(聞かれたり、指摘されたりしたら話す程度の内容で、個人的なある種の見極め期間のようなものである)。
このマイルールの全容を知っているのは幼なじみだけだし、それを知ってもなお、付き合い続けてくれるんだから、海のような心の広さだと思う。
付き合い出したことも知ってるし、マイルールも知ってるから、その頃になると、それとなく聞いてくる。
うーん…今回は難しい気がする。なんて答えたのはたぶん、後にも先にもこの人だけだったと思う。
実際、難しいのは当たっていたし、結局3ヶ月もたたぬうちに別れることになった。
別れた時に言われた一言で傷ついて(ここに書くことすら憚られるほどに酷い内容なのでここでは伏せたい)、未だに前向きになれないところがある。
言われた時はなにかの聞き間違いであって欲しいと思ったけど、聞き間違いではなくて、そんな酷い言葉をかけられるくらいならこっちだって願い下げだ、というのが正直な感想だった。
だけどこれ、実は私がそう思うだけで、普通のことなのか?気が動転して正常な判断が出来てないだけなのでは?と不安になって、信頼出来る友達に相談した。
女友達はみんな「ありえない。そんなこと言うくらいなら別れた方が幸せだし、私がその場にいたらそいつのことぶん殴ってる。」と言われていても安心できなくて(だってそれは女から見た感想だから)、信用できる男友達として、候補にあがったうちの一人が、幼なじみだった。
はたしてこの話を幼なじみにしても良いのか?
わたしは引かれないだろうか。
一抹の不安を抱えながら、言われた言葉を口に出してしまったら、まともな思考でいられる自信がなくて、その時にあったことを書いたスマホのメモを見せた。
気まずい沈黙、スクロールする手が止まる、表情が険しくなる、わたしは目を合わせることすら出来なくなっていた。
「ねぇ、なんでこの時にさ、言ってくれなかったの。」
”この時”がどの時なのか、分かってしまったから、わたしは「それってどの時?」ともいえず「ごめん」としか返せなかった。文字通り、「ごめんなさいの一言で済んだら警察なんか要らない」というやつだと思う。本当に。
その後のことはあまりしっかりと覚えていない。普段から温厚で平和主義者で、私のことは名前で呼んでくれるはずの幼なじみが人が変わったように、怒っていた。あのときの怒った顔は、ずっと忘れられないだろう。
「そんな言葉、間違っても、彼女がいたとしても絶対言えないし、もちろんお前にだって言えない。どうかしてるよ、そいつ。」
幼なじみが私の目の前で泣き崩れていた。ただの幼なじみでしかない、パートナーでもなんでもない、ただの女の前でなぜこの人はこんなにも泣いているのか?
私には、理解が出来なかった。
わたしはこの人を正しく愛せているのか?
どこからともなくとめどなく溢れてくる源泉のように、心の中でこの言葉を反芻した。たぶん、一生かかっても、この人のことを友達として好きでいることは出来たとしても、本当の意味で愛することはできないだろうと思った。愛するには代償が大きすぎて、わたしには抱えきれないから。
この後のわたしはその後、1年くらい、ここに書けないほどに荒れていた。思えば、高校生の頃から集めていた、好きな声優さんの音声作品のラインナップがこの時期、1番荒れていたとおもう。現実世界で晴らせないこの行き場のない辛さと悲しみは、すべてここで集約して、消化していた。この頃に集めていた作品は冷静になったら自分の趣味では無いので、そのまま一部の趣味ではないといいつつも、意外と気に入った作品をいくつか残して全て断捨離と称して、中古品買取店に持って行ったほどだ。そんな中、笑顔の仮面を貼り付けて、何事も無かったかのように、生きていた。
いちばん迷惑をかけたし、やりたくない立ち回りをさせてしまったのも、幼なじみだったと思う。
それでもわたしを見捨てずにいてくれた。ここに来ても「好き」な気持ちは、異性としてではなく、友達として好きなんだと思った。ただの女にここまでしてくれる彼を、もはや、恋愛対象として見ることが出来なかった。たぶん、ほかの女にもこうするんだろうな、と嫉妬することが目に見えているから。
互いに違う学校に通っていて、やっている分野も全く違う。いまおもえば、この学校は違うけど、予定を合わせて気軽に会える人、という関係性で良かったなと思う。
たぶん、わたしたちの関係ははたから見たら、この絶妙に恋人として付き合っていそうで、付き合っていない、異質で、歪だから。わたしたちはこれで良いと思っているのに、周りから「間違っている」と言われたら?
好奇の目に晒されたり、心無い噂を流されたら?
友達だとしても、恋人だとしても、関係性に正解がないのは当たり前なのに、こうなったら、たぶん、お互いに耐えきれないだろう。だから、このくらいの距離感が、1番幸せだと私の中では結論を出した。
いまでも、恋愛感情なのか、単なる友達としてなのか、すきなきもちがわからないまま来てしまった。
だいたい、きになるな、と思う人に恋人がいると聞いて初めて自分の気持ちを悟る、くらいのノリである。
そのくせ、わたしは、相手から異性として好きだという目で見られているとわかった瞬間、嫌悪感で、消えたくなる。
何度となく、恋人関係になりたいなと思う意味での好きだったんだな、あの人のこと。ということがあっても学習しない。
結局、そうなるように努力をしなかった自己責任なので、仕方ないのだけど、そろそろ、どうにかしたい。