幸せの青い空
なんか、こうやって大滝さん関連の音源を巡っていると、お遍路でもしているような気分になる。
今回は6月の歌(間に合ったw)「青空のように」から。
この曲、1977年シリア・ポールのソロに収録した「夢で逢えたら」が軸になっている。この曲を男性(自分だが)が歌えるように作ったのが「青空のように」。そのため、両方の曲は同じコード進行で構成されている。
「夢で〜」はウォール・オブ・サウンドの王道、ロネッツの「Be My Baby」をサウンド的にイメージしているが、「青空〜」はスペクターのクリスマス・アルバム「A Christmast Gift For You From Phil Spector」の「Winter Wonderland」がイメージなんじゃないか? と言われている。
このアルバムはスペクター・サウンドの集大成とも言えるもので、エンジニアはラリー・レヴァン、アレンジはジャック・ニッチェ、さらに全曲バックコーラスでフィル・スペクターが歌ってる……らしい。「Winter〜」はダーレン・ラヴの曲だが、後期スペクターの破壊的な圧ではなく、実にバランスのいいモノラル録音。
https://youtu.be/k1oyZQtLZ6U
そこで「ナイアガラ・カレンダー」とは別アレンジ、ミックスのモノラル録音で「青空のように」はシングル・カットされた。
https://youtu.be/IeZb5GaTNZM
「<青空のように>を作ったんだよ、<夢で逢えたら>を自分でやったらどうなるかという考えで。モノ・ミックスってのがあるんだよねこれまた。それはよくできてるんだ。「できたなー」と思ったよ。<夢で逢えたら>のラインのポップスが自分の曲でできた」
大滝サウンド第1期の完成形といってもいいのが、このシングルなのだ。
でもって、この「王道パターン1」はロンバケ以降に大活躍。
「<青空のように>を基本にしてこの後、何曲作ったかナァ。<風立ちぬ>とか<冬のリヴィエラ>、<すこしだけやさしく><スピーチ・バルーン>みんな<青空〜>なんだよね、実は」
というわけでひとつづつ追ってみると、大滝ワールドの地平線を体験することができます。
音だけじゃない。
「世界中でデイヴ・クラーク・ファイヴと球児・好児を一緒にできるのはナイアガラだけだ(笑)。だから<いつも青空>のパチーンっていうのを入れないと三題噺として完結しないから」
という2008年のインタビュー(ナイアガラ・カレンダー)で、手拍子はクリフ・リチャードの「いつも青空(I Could Easily Fall)」から、「パチーン!」というSEは「(青空)球児好児から」(笑)と言っている。
加えてデイブクラークファイブなのだが、これがなんだかよくわからない。DC5の邦題にも「青空」のつくものが多いが、「ストーンズかビートルズかと訊かれたら、デイブ・クラーク・ファイブ(笑)。小林旭か石原裕次郎かって訊かれれば、宍戸錠」という発言があったように、DC5はかなり聴き込んでいるようで、ここにまたひとつ「大滝の沼」がありそうなのだ。