「私の天竺」は……
note作ったついでに、いままでFacebookに上げていた大滝関連のネタを整理してみようと思う。
「私の天竺(https://youtu.be/jXzr26QAvmk )」は、エノケンで知られる「私の青空」の改題で、『山下達郎のサンデー・ソングブック』でオンエアされた音源。2016年に発売された『DEBUT AGAIN』。CDの初回限定ボーナスディスク」に収録されていました。
このバージョンがファッツ・ドミノの歌い方をなぞっていることは、あまり指摘されていないようです。ドミノの青空はデビュー間もない1956年。アルバム「Fats Domino Rock And Rollin'(Imperial LP 9009)」に収録、シングルカットもされています。テンポこそ違うものの、大滝の歌い方はドミノのクセをうまくカバーしていて、しかもバックのビアノはニューオリンズ特有(右手がロールするような奏法)のフレーズを奏でる。まあこれだけなら想像と言われてしまってもしょうがないけれど、ここからが大滝ロジック。ヒントは十分に用意されていました。
1981年の「サウンド・レコパル」に大滝さんが選んだ「私の100枚」という記事があり(河出書房の「夢ムック(2005年/2012年)に再録されている)、その筆頭が「Fats Domino Rock And Rollin'」なのです。さらに、天竺の間奏の「峠のわが家」は、ドミノの「スワニー河 Swanee River Hop(https://youtu.be/khrxs03RPfg )の解釈とみました。違いますでしょうか?
大滝のニューオリンズモノは73年の花王「ドレッサー」のCMソングがたぶん初出で、その流れはムーンの「ハンドクラッピング・ルンバ(1975)」、「おさきにどうぞ(1975:かまやつひろし )」、カレンダーの「座・読書(1977)」と数える暇がありませんが、天竺はセカンドラインではなく、ドクター・ジョンの「Such A Night」のラインかと。ナイアガラの滝は、やっぱり深いのです。