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【32】自分の役割、それぞれのミッション。

ある日、ポーちゃんが
たくさんのお友達と遊びに出掛けた。
それを見たチェルちゃんは、
ずるいーずるいー!!とマイちゃんを誘い
しぶしぶマイちゃんは着替えてくれて
マイちゃんとチェルちゃんは
2人で公園へ出掛けた。


その後、ポーちゃんが女の子のお友達と
公園で話し込んでいたのを
マイちゃんが見掛けたそうだ。


ポーちゃんは、その日
普段より30分ぐらい遅く帰ってきた。
まだ暗くはなっていなかったので
怒りはしなかったが、
どうして遅かったの?と
家に帰ってきたポーちゃんに尋ねた。


ポーちゃんは
○○ちゃんが家まで送って!
って言ったから。と答えた。


もう、ポーちゃんも5年生。
恋愛のあれこれがあっても驚きはしない。
誰が好きとか、
誰に告白されたとか、
マイちゃんとも、そんなことを話し始めたのは
5年生ぐらいからだったなぁ。


ポーちゃんに
○○ちゃんのこと好きなん???
とニヤニヤしながら聞いてみた。


そんなんじゃないし!
もーなんなん?!あっち行ってや!



ポーちゃんは
あからさまに普段と違う温度で怒り始めた。





いつもヘラヘラしていて
ニコニコ顔がチャーミングなポーちゃんが
私にあまり見せない顔で


次の日、
まだ、なんとなく
その態度が
引っ掛かっていた私は



○○ちゃん、なんか悩みとかあるん?
困ったことあるなら、何か助けになるよ!
何話してたん?
恋バナとかじゃなくて深刻な話?



と、聞いてみた。


ポーちゃんは









言いたくないし言わない。
自分の人生は自分で決める。
いつもは
お母さんとか友達に
内緒だって言われたことでも言うし、
ダメだって言われたことでもするけど、

この事は友達にも
お母さんにも
いつもみたいにしないって
決めてるから。



あと、そーやって
無理に聞こうとするお母さん嫌だ。




そう、言われて
ハッとして
涙がポロポロこぼれてきた。


涙でボヤーっとにじんだ
目の前のポーちゃんが
なぜか赤ちゃんの頃のポーちゃんの顔に見えた。




*********************

赤ちゃんのポーちゃんは
歩くのが遅かった。
言葉を話すのも遅かった。

自分の力をバンバン見せてくれるタイプではなくて
なんだかいつも頼りなくて
なんだかいつもお世話したくなって

その度に
自分を
見守る愛にシフトチェンジしよう!
言い聞かせて

つい、前もって
あれこれ手を出したいところを
グッとこらえることに奮励努力した。


その当時のポーちゃんへの
見守る愛の難しさも知っている。


そして10年。
大きくなればなる程、
母親としてのレベルアップを
違うカタチで、何度も試される。


これでも見守れるのか?
これでも手を出さないでいられるの?
これでも先手の優しさを押し付けないでいられる?



何度も何度も
自分を試され
自分を確かめ
自分を戒めて
相手を見守る


育児はこのループで成長していっているんだと
思ってる。


母親レベルなんて、

親子の絆レベルなんて、

誰にも計れないし

誰にも見えない。


だから母になるって難しい。




私は
泣きながらポーちゃんに、こう言った。


言わないって決めたことなら、
言わなくてもいいよ。
ポーちゃんが困ったことがあれば言ってきてね。
それから…
無理に聞こうとしてごめんね。


これだけ伝えて
マイちゃんが勉強している部屋に駆け込んだ。
私の大切な駆け込み寺。


ぼろぼろ泣きながら
マイちゃんの部屋の扉を開けると
勉強していた中学生のマイちゃんは
イヤホンをはずして振り向いた。



お母さんって難しいよぉぉぉぉ!!


私の心からの叫び。


マイちゃんは
何があったんよ。とだけ聞いて
黙っていた。



私は出来事、全て話すと
マイちゃんは最後まで聞いて
『それで正解と思うよ。
ポーちゃんの気持ちを優先できたし
謝ったし、バッチリだよ。
良かったと思うよ。』
と、言ってくれた。


そして、こう続けた。
『母さんの愛情は、
手を掛けて向き合ってきた分、
絶対ポーちゃん解ってる。
何をこうしてくれたって
理屈じゃなく、心で解ってる。

だからポーちゃんは大丈夫だよ。
あんなにお母さんが大好きだし、
自分の悩みなら、
聞いてほしいことは、ちゃんと言える子だよ。

今きっと、
ポーちゃんには抱えられるか、
抱えきれないか、の
ギリギリの大きなミッション
ふってきてるんだと思う。
これを成功するんか、失敗になるんか、
誰かを頼るんか、誰も頼らないんかは
分からないけど、
この大切なミッション
解決しようと自分で頑張ってるんだよ。
見守る愛で正解と思うよ。



マイちゃんはいつも
こうして
私を認めて
私を安心させて
私をまだまだ頑張れるように
HPを回復させてくれる。




家族の役割は
この人がこれをしなくちゃいけない!
ではなくて


できる人が
できる役をやればいい、
得意な人が
得意なことをすればいいし、
苦手な人は
パスしてバトンタッチすればいいと、
そんな関係で
成り立つ我が家。




自分の想いを真っ直ぐ伝えられる人でいたい。
子供たちも
そんな人になってくれたら
嬉しいな。
いや、
そんな人になろうがなるまいが

自分がこれがいい!
思ってくれる世界に生きてくれたら
母は幸せ。



育てて育てられる無限ループ。






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