【MIL】新戦力Trevor Gottの大躍進
ブルワーズ担当のあなんです。
皆さんご存じのとおり、MILのリリーフといえばJosh HaderとDevin Wiliiamsです。Haderは開幕から15試合連続セーブの新記録を継続中。Devinもエアベンダーを武器に絶好調です。
しかし今、MILブルペンで最もアツいのはTrevor Gott。MILファンにとってHaderの次に安心してみられるリリーフです。
ふたりの印象が強くてあまり注目されていません。それもそのはず、そもそもGottは昨年メジャーでプレイしていません。今年も開幕直後はリードされた場面での登板が大半でした。
その彼が今、鉄壁コンビと共にブルペンでフル回転しており、Hader不在中はセットアッパーを任されているのです。
今回はそんなGottをご紹介します。
Trevor Gottの経歴
13年のアマチュアドラフトでSDに入団。15年にLAAでMLBデビューします。この年は48試合に登板。
その後WSHで3年間過ごすもパッとせず、19年にSFへ移籍しました。
ここでようやくブレイク。95mph近いフォーシームと落差の大きいカーブを武器に50試合に登板。7勝0敗、ERA4.44、FIP3.12の活躍をみせました。
しかし、翌年はクローザーとしてWill Smithの穴を埋める期待がかかっていましたが思うような成績を残せずオフにDFA。昨年は一度もメジャーに昇格していません。
ブルワーズとはロックアウト前にメジャー契約を結んでいます。昨年AAA暮らしだった投手とメジャー契約ですから、フロントはGottを高く評価していたのでしょう。実際、(まだ1ヶ月しか経ってませんが)今年はどれもキャリアハイの数字を残しています。BB/9は19年から1.2減少、SO/9は1.0増加。
ではここからは、具体的にどのような変化が起きたかお話しします。
Gottの変化
A. 投球割合の見直し
1つ目はGottの投球割合。
SF在籍時はフォーシームとカーブで組み立てる投球スタイルでしたが、MILで大きくモデルチェンジしています。
60%以上あったフォーシームの割合を25%近くまで落とし、カーブも10%に落としています。
その代わりに割合を増やした球種がカットボール。20年は7.8%だったのが今年40%近くまで上げています。また、シンカーもフォーシームと同じ割合にまで増やしています。
B. 制球力改善
ジャイアンツ在籍時と比較して、コントロールが良くなっています。
ブレイクした19年からChase率が10ポイント上昇しています。これだけ向上しているとBB/9が下がったのも頷けますよね。whiff率も24%から大きく伸ばしています。
ではここからは、投球割合の変更と制球力改善がなされた要因について考察していきます。
Gott変化の要因
A. 投球割合の見直しは必然
まず注目すべきは、20年にフォーシームのRunValueが著しく低下した点です。
ブレイクした19年のフォーシームのRVは-11。これはL.Hendriks(当時OAK)、E.Pagan(当時TB)らに次ぐリリーフ全体5位の数値です。
しかし翌年は+4にまで上昇。球速やスピン量などに大きな変化がないため、ここまでRVを下げた原因は不明です(怪我、あるいは単に制球難?)。
また、カーブも同様にRVが悪い。
19年と20年でRVはプラスをたたき出しています。なんでカーブそんな投げてたんだよってツッコミを入れたくなりますが、まぁ19年に限ってはフォーシームが通用していたからかもしれません。
いずれにせよ、このようなスタッツからMILコーチ陣はSF時代と同様のスタイルでは通用しないと判断したとみられます。
B. カットボールの質向上
こちらは、球種別のスピン量に関するデータ。
20年と今年を比較すると、カッターのActive Spinが43%から58%に上昇。それに伴いTotal Movementも7.0から10.5インチに増えています。この進化によってGottはフォーシームに代わるメインの球種として使えるようになったのです。
ちなみにこれは、他の球種にも良い影響を与えています。
フォーシームのwhiff率が19年と比較して10ポイント以上上昇。K%にいたっては、26.5%から50.0%と大幅アップしています。カーブにもプラスの効果を生んでいますね。
まとめ
Gottの飛躍はカットボールに磨きをかけたことにありました。
カットボールの質が向上したことで投球の軸として使えるようになった+フォーシームに頼らない投球が可能になった。そして持ち前の球威を活かしてストライクゾーンで勝負できるようになり、与四球減少・制球力改善につながったといえます。
ブルワーズのブルペンは現在CousinsやGustaveなど怪我人が続出し、Haderも家族の事情で戦列を離れています。そんな台所事情に追い打ちをかけるように、火曜日からはロード15連戦が始まりました。
接戦の試合が続き、ブルペンに負担がかかる非常に苦しい状況ですが、Devin・Boxbergerと共にセットアッパーとしてブルペンを支えてもらいたいところです。
今回は以上です。
さいごまでありがとうございました。
参考動画
追記(10/7)
シーズン終了後に改めて振り返っています。