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【MIL】Grant Anderson・Tyler Alexander獲得

ブルワーズ担当のあなんです。
今回はトレードとFAで獲得した2人の投手を取り上げます。

○ Grant Anderson

ブルワーズは1/3にレンジャーズとトレードを行い、27歳のリリーフ右腕Grant Andersonグラント・アンダーソンの獲得を発表しました。対価は24年ドラフト7巡目指名のMason Molina投手です。

Andersonは2018年にドラフト21巡目(全体628位)でマリナーズに入団。2019年4月にトレードでレンジャーズへ移籍し、2023年にMLBデビューしました。マイナーでは当時投手育成コーチを務めていた倉野信次(現ソフトバンク投手コーチ)との交流もあったそう。高校までは捕手がメインでポジションで、本格的に投手を務めたのは大学から。チームメイトに触発されて大学2年時にサイドスローに転向しました。

Andersonはメジャーで非常に苦しんでいます。3Aでは昨年26試合に登板し防御率2.93を収めたものの、MLBでは2シーズンで49試合に登板し防御率6.35 / FIP4.53 / fWAR-0.8。昨年は奪三振率こそ平均以上でしたがそれ以外の指標は軒並み平均未満でした。対左が大きな課題で、昨年は対左で被安打15本のうち10本がHRになっています。長打率は対右が.361に対し対左は.938。K-BB%も左右で10ポイント以上の開きがあります。


持ち球は80mph前半のスライダーと90mph前半のフォーシーム、シンカー、そしてチェンジアップ。右打者にはスライダーを外、シンカーを内に散らし、左打者にはフォーシームとバックドアのスライダーを投げます。

対右打者
対左打者

彼の特徴は非常に個性的な投球フォーム。MLB1年目はクローズドの構えからボールとグラブを頭上でタップしながら膝を大きく上げ、上体を大きく捻って投げていました。24年のキャンプで投球直後三塁側に身体がぶれるなどを理由に落ち着いたフォームに変更したものの、すぐに大きく捻るフォームに戻っています。絶賛迷走中といったところでしょう。マイナーオプションが1つ残っているため、じっくりマイナーでデリバリーの安定化を図ってもらいたいです。

ちなみに、Grant45秒前に生まれた双子の兄Aidan Andersonは現在レンジャーズの3Aに所属。10歳から同じチームで野球をしており、当時は交互にバッテリーを組んでいたそう。そのAidanはGrantの1年後にドラフト外でフィリーズと契約。23年春にレンジャーズへ移籍しました。偶然の再会を果たしていたAnderson兄弟ですが、今回のトレードで離ればなれになってしまいました。



○ Tyler Alexander

2/13ブルワーズはサウスポーのTyler Alexanderタイラー・アレクサンダー投手を獲得したと発表しました。
契約内容は1年$1.0M。25年オフでFAとなります。

Alexanderは2015年にドラフト2巡目(全体65位)でタイガースに入団し、2019年にデビュー。20年にはAL記録の9者連続奪三振を記録。23年オフにウェイバーでレイズに移籍。24年オフにノンテンダーとなりFAになっていました。

タイガースでは5年間で120試合登板し、うち先発では43試合に登板。この期間防御率4.38(ERA+98) / FIP4.59 / fWAR1.8を収めました。移籍後のレイズでは23試合(9先発)でキャリアワーストの防御率5.10 / FIP5.08 / fWAR-0.6。オフにノンテンダーを受けました。


Alexanderは5球種を操る器用な投手です。
ここ2, 3年はカッターとフォーシームをメインにチェンジアップ、シンカーを投げています。タイガースではスライダーも投げていましたが、レイズ移籍後はスイーパーに変更しています。球速はカッター85mph / フォーシーム89mphと遅い部類に入り、奪三振率はキャリアで19.1%。これは19-24年で計400イニング投げた投手139人中111位です。一方で、制球力に優れ与四球率は5.2%で9位に入ります。

レイズでの投球スタイルは一貫して強気。
ヒートマップを見ると、右打者に対しては速球をインハイへ、ブレーキングボールもゾーン内へ投げ込んでいます。左打者相手にも同様で、第一球種のスイーパー / シンカーはそれぞれ57% / 73%がゾーン内に入っています。

対右打者の投球マップ
対左打者の投球マップ

レイズに移籍してからの変化としては、全体的に横変化量が増加し、ホップ成分が落ちています。さらに球速が全体的に低下気味で、カッターとチェンジアップは1.5mphほどダウンしています。これらの原因はアームアングルを39°→36°に下げたことが影響していると考えられます。

直近2年の変化量

Alexanderに求められる役割はスイングマン。
現時点でブルワーズの先発ローテは
➀Peralta ➁Myers
➂Cortes ➃Civale
が確定。オフの想定ではこれにWoodruffとHallが加わるところでしたが、いずれも開幕に間に合わないため、AlexanderはAshby / Thomas(ルール5ドラフトでSTLから入団)らと先発5番手を争い、外れたらリリーフという形でしょう。Alexanderはキャリア通じてスイングマンでしたが、ブルワーズでもそれは変わらないと思われます。



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