【MIL】24年投手陣の不思議な傾向を探ろうとしたが挫折
年が明けてもあまりトランザクションの話題がないので、代わりにちょっと気になることについて記していきます。半ば24年の考察です。
○ はじめに
まず、今季先発/リリーフ登板した上位7人がこちら。
23年加入のReaが自身初の二桁勝利。マイナーを転々としていた元トッププロスペクトのMyersが133イニングを投げ大ブレイクし、Peraltaの後継者として名乗りをあげました。リリーフでは昨年支えたPayamps、Peguero、Milnerが軒並みダウンイヤーとなった一方、パドレスから獲得したKoenigとドジャースから獲得したHudsonがブレイク。昨年途中加入のMegillもDevinの穴を見事埋めました。
このように昨シーズンは多くの若手投手が成長した一年でした。
しかし、先発・リリーフ共通していえることは傑出した成績は収めていないという点。PeraltaとMyers以外に目立った数字はなく、リリーフもK/9やBB/9は平均前後に留まっています。
○ 本題
さて昨年の投手陣にはある特徴がありました。
それは速球を多投していたということ。
全投球に対する速球(フォーシーム、シンカー、カッター)の割合はMLBトップの63%でした。
また、2ストライク時に速球をど真ん中(heartゾーン)へ投げる割合はMLBトップタイ。
各選手の速球割合がこちら。
大半が速球を軸にしており、50%を大きく下回ったのは途中加入のCivaleとMontasのみ。全投球の3/4を速球が占めていたのは4人もいました。
これらの数字をみると、彼らはHookコーチの下で磨き上げた立派な速球を投げているのだろうと思いがちですが、実際は決して質の良いボールではありませんでした。
平均球速はMLB26位の92.8mph。追い込んでからど真ん中に投じる割合はトップのため、ハードヒットもそこそこ許し、打球がバレルになる割合はMLB平均を上回っています。にも拘らず、チームの速球被打率・長打率はそれぞれ5位と6位。得点価値はマリナーズに次ぐMLB2位につけています。
個人レベルでも速球は全く評価されていません。
各選手の速球のStuff+がこちら。
フォーシームのStuff+が100を大きく超えたのはPeraltaとMegillのみ。全投球の3/4以上を速球で占めていたKoenigとHudson、そして今季初の二桁勝利を記録したReaは極めて質の低い速球を投げていました。
先ほどのStuff+とRun Valueを並べてみます。
Stuff+とRun Valueがかみ合っていない組み合わせが多くみられます。最も乖離が激しいのはHudsonのフォーシームで、Stuff+が下位25%に対し、RVは上位5%を記録しています。
以上を踏まえると、ブルワーズ投手陣は「グレードの低い(≒質の悪い)速球を強気に投げていた。当然ハードヒットは許すがそれをカバーできるくらい抑えた」ということが伺えます。
この理由をオフシーズンをかけて探っていましたが、いまいち明らかにならなかったので一旦おしまい。ざっと調べてもアームアングルの調節、コースの棲み分けくらいしか導けなかったのと、最近になってMyersの分析記事が立て続けにリリースされていたので、それを読んでからまた考察していこうと思います。