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【MIL】NL最優秀監督賞受賞の裏で
ブルワーズ担当のあなんです。
ついに始まったストーブリーグですが、今のところはキャンプ招待付きのマイナー契約で何選手か獲得する程度で、動きはほぼなし。大きな出来事といってもAdamesのQO拒否くらい。これも既定路線でしたので、目を見張るイベントは本当にありません。
そんな静かな11月に話題になったのはダグアウト。
今回はコーチについて取り上げます。
現地11/19、NL最優秀監督賞にPat Murphy監督が選ばれました。ブルワーズの監督としては実は史上初。昨年までの9年間チームを指揮したCounsellでさえ手に入れられなかった賞を就任初年度で獲得しました。トレードや怪我で複数の主力を欠いたチームを、巧みな采配で地区優勝に導いた手腕が評価されたのでしょう。
The obvious choice ❕❕❕
— Milwaukee Brewers (@Brewers) November 19, 2024
Pat Murphy is your 2024 NL Manager of the Year! pic.twitter.com/C57d2p760i
しかし、地区優勝の要因はコーチ陣の貢献も大きかったはず。
何といってもChris Hook投手コーチの存在は外せません。Burnesのトレード、Woodruff、Devinの欠場をもろともせず、巧みなやりくりでチーム防御率はNL2位の3.65、リリーフ防御率はNL1位の3.11をマークしました。
そんなHookとブルワーズは10/30に新たに複数年契約を締結したと発表しました。
Today, we announced that pitching coach Chris Hook will return for the 2025 season
— Milwaukee Brewers (@Brewers) October 29, 2024
→ https://t.co/EJ3Uutvk2S pic.twitter.com/c2pY4G1Ins
Hookは2008年にMILの2Aコーチとして加入して以降17年間MIL一筋。投手コーチは2019年から務めており、今季までの6シーズンで奪三振数はMLB2位、被打率とK/9は同3位という素晴らしい成績をもたらしています。また、他球団でぱっとしなかった投手をひとり立ちさせる能力に長けており、実例を挙げたらキリがありません。ほんとに。
MIL魔改造の立役者にあたるHookは今季で契約が切れるため、他球団のオファーは必至でした。今回契約延長が決まりファンは非常にほっとしているでしょう。
その一方で、今季限りでMILを離れたコーチもいます。
現地11/1、一塁コーチのQuintin Berry(40)が三塁コーチとしてカブスに加入することが発表されました。
Quintin Berry and Craig Counsell will reunite after coaching together for 3 seasons in Milwaukee. pic.twitter.com/G4w0Q890AA
— Marquee Sports Network (@WatchMarquee) October 31, 2024
Berryコーチは現役を引退した2018年オフに外野守備走塁コーチとしてMILに加入し、一塁コーチは21年から務めていました。19年以降、チームのDefはMLBトップで、BsRはMLB6位(NL3位)。外野守備に限定するとDRSはMLB2位(NL1位)、OAAは同3位(1位)にランクインしています。
この成績はスピードに長けた若手が増えたことも要因ですが、Berryコーチは彼らの能力を最大限引き出したといえます。Berryコーチは選手に常に寄り添うコーチとして選手から信頼されており、今季50個(MLB3位)の盗塁を決めたTurangは取材に対し「彼は非常に助けてくれる。一球一球、私の耳元で話してくれる。何か思うことがあったり、彼が見ているものを自分が見ていなかったりしたら、彼に知らせる」と語っています。
Berryコーチの築き上げた守備・走塁のシステムは簡単に失われないでしょう。移籍先でも頑張っ、、え、カブスってCounsellのとこじゃん、おい待て、どういうことだ
さらに、もうひとり。
現地11/19、ホワイトソックスVenable監督はベンチコーチとしてブルワーズの失点阻止コーディネーターWalker McKinven(35)を招聘すると発表しました。
Will Venable announced on @FoulTerritoryTV that the White Sox are bringing on Brewers run prevention coordinator Walker McKinven as their bench coach
— James Fegan (@JRFegan) November 19, 2024
McKinvenコーチはカブスとレンジャーズのスコアラーを務めたのち、2016年にMILへ加入しました。プレーヤーとしては大学卒業後に1年間独立リーグで投手としてプレーしたのみで、キャリアのほとんどは裏方としてです。
MILではこれまで様々な職に就いており、昨年までは投手・捕手・戦略共同コーチとしてフロントと現場の橋渡し役やゲームプランニングを担っていました。また、スコアラーとしてHookコーチに投手のデータを提供し、試合中は投手補佐コーチのHendersonと3人でコミュニケーションをとっていました。
彼の功績として最も忘れてはいけないことは捕手の育成。彼のコーチングでOmar NarvaezとWilliam Contrerasは一流のレシーバーに生まれ変わりました。
20年にマリナーズから加入したNarvaezは、移籍直後からコーチ、Manny Pinaとの三人四脚で体格や癖に合わせた最適なポジショニングを研究。MLB最低レベルのフレーミング指標をトップにまで押し上げました。Contrerasも打撃型捕手としてブレーブスでデビューしましたが、MILに加入後スプリングトレーニングでトレーニングを積むと、攻守に優れた捕手へと成長しました。
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Brewers Blue looks good on you, @Wcontreras42. #ThisIsMyCrew pic.twitter.com/54vGurFarB
— Milwaukee Brewers (@Brewers) February 16, 2023
あまり大きなニュースとして取り上げられませんが、McKinvenコーチの退団は非常に痛いです。他球団に捕手育成のノウハウが流出してしまうこともそうですが、トッププロスペクトQueroのデビューを見届けてもらいたかったです。
12月になればもっと大きな動きがあると思うので、選手の動向はまた来月に取り上げます。