【MIL】2024年シーズン戦力分析
ブルワーズ担当のあなんです。
今回はシーズン戦力分析を行っていきます。
はじめにオフに獲得した選手を整理します。
【トレード】
【FA】
続いて、各ポジションの戦力分析に入ります。
○ 先発 (5)
Burnes放出&Woodruff全休、そしてHouserとLauerの移籍。代わりに獲得したのは再契約のReaとバウンスバック候補、そして2年間MLBで投げてない投手。弱体化は必至だ。1番手のPeraltaは良いとして、2番手が昨年怪我人の穴埋め役Rea。WAR1.0前後しか期待できない先発が大半を占めるコンテンダーも珍しい。とはいえ毎年そういう中堅をうまく起用するのがブルワーズなので、Murphy監督の采配に期待したい。
Peraltaは自身初の開幕投手を務める。昨年のPeraltaは前半戦と後半戦で成績が見違えるほど良くなった(ERA4.70→2.81)が、要因のひとつがスライダーの改良だ。前半戦、スイーパー気味だったスライダーは真ん中に集まっていた。しかし6月ごろから縦スラ気味に変えたことで、右打者の外角低めに集まるようになり痛打が減ったのだ。このように修正能力の高さが伺えるPeraltaは次期エースにふさわしい。本人は200イニング投球が目標と語っているが、ぜひとも達成してもらいたい。彼のキャリアハイは23年の162イニングで、fangraphsの成績予測でもそれくらいだが、1年間投げれれば消化するポテンシャルはある。
○ リリーフ (8)
今年もDevinがクローザーで既定路線だったが、3月上旬に背中の疲労骨折で前半戦の離脱が決定した。2025年オフにFAとなるDevinは今オフ1年7.5M+CO($10.5M)の2年契約に合意。昨年トレバーホフマン賞受賞のリリーフにしてはリーズナブルな契約にまとまったが、思わぬ形で来季の契約に黄色信号が灯った。
Devinは昨年の9月から背中に痛みを抱えながら登板していたそう。当時は筋肉痛程度の違和感だったが、スプリングトレーニングの初戦で肩に痛みを感じて検査したと明かした。
守護神の代役候補はUribeやMegillが挙げられている。いずれも100mph近い速球で空振りを奪える制圧型なので非常に守護神向きだ。去年ブレイクしたPegueroとPayampsも残留している。Devinの離脱は非常に痛いが、層の厚さは変わらず維持しており、他のメンバーで充分補えるだろう。
○ 捕手(2)
昨年チームトップのfWARを残したContrerasが今年も正捕手。ベンチにはFAでわずか$3Mで獲得したSanchezが控えている。第一報では年俸$6Mと報道されたが、2週間後の正式発表で$3Mとなった。この減額について前年の右手首の故障が関係していると噂されてたが、本人は数週間前に発生した手の怪我によるものだと説明している。DHで本来の打棒を発揮できれば何ら問題ない。
12月に獲得したHaaseはスプリングトレーニングでは絶好調だったがあえなくDFA。18試合で5本のHRを放ち打率.395/OPS1.3。あまりに勿体ない。マイナーオプションさえあれば貧弱な打線を助けられたはずだ。
○ 内野手(7)
レギュラーが確定しているのはファーストのHoskinsとショートのAdamesのみ。セカンドとサードは相手投手次第だ。Turangはセカンドのみだが、DunnとOrtiz、Monasterioは両方守れる。
3月で31歳になったHoskinsは昨年左ひざ前十字靭帯断裂で全休したが、22年までの6年で5度30HR / OPS.800 / 120wRC+をマークしている。彼の獲得で長年物足りなかった一塁の打力は大幅に改善されるだろう。スプリングトレーニングでも打率1割台ながら4HR/長打率.512をマークしている。
なお、Hoskinsのサラリーはやや複雑で、
・2024年(1年目):$12M
・2025年(2年目):$18M (選手オプション) - オプトアウト$4M
・2026年(3年目):$18M (相互オプション) - バイアウト$4M
となっている。
仮にHoskinsがオフにオプトアウトした場合、ブルワーズは$20M(推定)のQOを提示できる。普段のフロントであれば提示しないが、今オフから急に財布の紐が緩んでいるため断言はできない。成績次第で絶妙なラインになる。
三塁は開幕直前まではOrtizと外野が本職のFrelickがプラトーンを組む予定だったが、Mitchellの離脱でFrelickは外野に戻されたため、OrtizとDunnが併用されるだろう。
OrtizはBurnesのトレードで移籍した右の内野手。マイナーで打撃スタッツで優秀な数字を残したが、彼の本当のセールスポイントは守備だ。本職のショートではGG賞有力候補であり、セカンドとサードでもプラスを残すといわれている。本職のショートはAdamesが去る来年以降に座るとみられ、今季は三塁が主戦場になる。
そのショートAdamesは今季がFAイヤー。昨年はキャリアワーストの成績に終わった。ダウンイヤーとなった原因はハードヒットの大幅低下(上位30%→下位20%)とみられる。バウンスバックして遅くても夏には売ってもらいたい。
○ 外野手(4)
注目は何といってもChourioだ。3月で20歳になったばかりのChourioは既に開幕戦スタメン入りが確定しており、実現すれば史上5番目の若さでの開幕戦出場となる。ちなみに最年少記録は、ブルワーズ一筋でプレイしたRobint Yountの18歳201日だ。
デビュー前にエクステンションを結んだことからわかるように、彼にチームの未来がを託されているといっても過言ではない。スプリングトレーニングでは18試合で.323/.373/.403とさっそく期待に応えている。
たとえMLBで壁にぶつかっても焦る必要は全くない。去年75wRC+のルーキーWiemerに400打席与えたチームだ。守備さえしっかりしていれば打席は与えられる。幸い右の外野手も26人枠の中にはChourioだけ。守備はFrelick/Mitchellと同様ライトとセンターを守れるため外野の出場機会には困らないだろう。
○ 地区優勝予想する根拠
毎年「これで大丈夫か?」とファンを不安にさせ、順位予想でも悉く下位予想されるブルワーズだが、私は今年も地区優勝に期待する。
というのも、チーム編成が163試合目で地区優勝した2018年とよく似ているからである。
2018年の編成には以下の特徴がある。
①イニング消化を最優先事項とする30代が先発の軸
2018年の先発fWARはリーグ12位。しかしローテ上位で投げてたChacin(33)、Chase Anderson(30)、Junior Guerra(33)の合計投球回数は500イニングにのぼる。
②リーグトップクラスのブルペン
Knebelを筆頭にHader、Jeffressらが1年間フル回転で登板。リリーフの投球回数とfWARはパドレスに次ぐ2位だった。
③リーグ平均"よりは"高い得点力
2017年オフにCainとYelichを獲得し、CainはOPS.813、YelichはOPS1.000でMVPを受賞。ただしチームwRC+は100(4位)で特段傑出しているとはいえない。
④強固なディフェンス
DRS/OAA/UZRはいずれもダイヤモンドバックスに次ぐリーグ2位で、特に外野はリーグトップ。これはセンターのCainの貢献が凄まじく、DRSは驚異の+20。両翼を担ったYelichとBraunも平均以上だった。
これらの特徴はまさしく今年の編成(に期待しているもの)に当てはまるのではないだろうか。今オフは投手中心の編成にピリオドを打ち、打者の補強を積極的に敢行。打撃中心の編成に転換した結果、先発が心許ない一方、大半は30代のイニングイーターでもある。打線はHoskins、Sanchezらパワーヒッターの獲得で厚みが増し、リリーフはDevinこそ不在ですがハイレベル。ディフェンス面も昨年同様抜け目なし。これらはまさしく2018年とそっくりである。
NL中地区はここ数年で最も競争力が高くなっているが、ブルワーズは下馬評ほど弱くはありません。地区優勝を狙える位置にあると断言できる。