【MIL】2023トレードデッドライン加入組の1カ月
ブルワーズ担当のあなんです。
7月末のトレードデッドラインから1ヶ月が経過しました。今回はこのトレードで加入した3選手の現在についてお話しします。
○ Carlos Santana
現地7/27、パイレーツからトレードで獲得しました。対価は18歳のJhonny Severino内野手。国際FAで21年に入団し、今季はルーキーリーグでプレーしていました。
◇ 背景
Tellezが5月から極度の不振に陥り、今季は7月まで.213/.285/.388/OPS+84。右腕の怪我でIL入りした7月下旬には練習前のウォーミングアップで左薬指を骨折し、8月中旬までの離脱が見込まれていました。Tellezの離脱中一塁手を務めていた右打者UT、Millerも7月は打率1割台と低迷。各チームパワーバットを置くポジションでアップグレードは不可欠でした。
そんななか獲得したのは37歳のスイッチヒッター。Santanaは獲得時点で94試合に出場し.235/.321/.412、99wRC+/OPS+98とまずまずの成績でした。また、選球眼も衰えておらず、四球率は11.5%。さらにフィールディングも優れており、一塁でDRS+7 / OAA+2を記録。打撃・守備いずれもTellezを上回っているという点で意義のある補強といえました。
◇ 現在
加入直後は45打席でヒット7本/OPS5割台と苦しんでいたSantana。しかし現地8/13のホワイトソックス戦で3ランを放つと徐々に調子を上げ、翌々カードのレンジャーズ戦では2HRを含む5打点と大暴れ。スイープに大きく貢献しました。
現在は8試合連続安打を継続中。一塁の守備でもプラスを記録しており、期待通りTellezの穴を埋めています。既にTellezは復帰していますが、守備に不安が残るTellezがSantanaを押しのけるとは考えにくく、TellezはDH or 代打待機、Santanaはフルタイム一塁手として起用されるとみられます。
○ Mark Cahna
現地7/31、メッツからMark Cahna外野手をトレードで獲得しました。対価はプロスペクトランキングMIL傘下12位のJustin Jarvis投手。今季は2AとAAAで17試合に登板していました。
◇ 背景
本トレードの目的を一言で表すと外野のデプス強化です。外野の主力はYelichを除くとWiemer、Perkins、Frelickと全員ルーキー。ブリッジイヤーであればこの状態は健全ですが、地区優勝を狙う今期において精神的支柱にもなれるベテランは必須でした(Santanaもその意味で重要な役割を果たしています)。また長らくILに入っていたTaylorは7月に復帰するも7月のOPSは.500と不調でした。
Canhaは今シーズンメッツで89試合に出場し.245/.343/.381/106wRC+とまずまずのバッティング成績。守備の本職はレフトですが外野全ポジションに加え一塁も守れるユーティリティー性はTaylorの穴を埋める補強といえました。さらに34歳のベテランはOAK時代にポストシーズン争いを経験しており、ルーキーたちのメンターとしての役割も期待されていました。
◇ 現在
こちらも大きなインパクトこそないものの、高い出塁率・クラッチ力など、ベテランらしい働きはきっちり見せています。COL戦では守備のミスをすぐさま打撃で取り返しサヨナラ勝ちに貢献しました。
○ Andrew Chafin
デッドライン直前、ARIからPeter Strzeleckiを対価に獲得しました。
◇ 背景
なんといっても左リリーフの強化です。開幕当初から不足していたサウスポーですが、予定では夏にJustin WilsonがTJ手術のリハビリから復帰しMilnerを助ける方向でした。しかし復帰登板の直前も直前、ブルペンで突如怪我をし即日IL入り。テレビ中継でもブルペンでうずくまりながら左ひじを抱えるWilsonの映像が映し出されていました。
こうした不測の事態のなか獲得したのが大ベテランのChafin。今年33歳のChafinは1年契約でARIに復帰。43試合に登板し防御率4点台ながらFIPは3点台、0.7fWARとベテランらしい活躍をみせていました。昨年ブレイクのMilnerに加えて経験豊富なChafinでがっちりブルペンのデプスを固めようという意思があります。
一方で、やや疑問なのは対価。昨年中盤にデビューしブレイクした右サイドハンドは、今季は6月ごろまでセットアッパーを務めており、まだまだ伸び盛りの若手リリーフでした。そのため、半年レンタルのChafinの対価が残り6年の彼というのは少し不釣り合いとも感じました。
◇ 現在
ベテランとしてソリッドな働きを期待していましたが、8月は全くの期待外れ。デビュー登板こそ3人で抑えたものの、以降7試合で無失点に抑えた登板はわずか3試合。とてもハイレバレッジな場面では起用できず、大量リード・ビハインドでの登板に限定されています。
baseball savantによると、左打者への投球割合が加入前と後で変わっています。ARIではスライダー主体でしたが、移籍後はフォーシーム・シンカーを増やしています。投球の組み立て変更が悪い方向に作用しているのか、現段階では判断できませんがこれから見守っていきたいと思います。