毎週ショートショートお題 「無人島生活福袋」
「二泊くらいの無人島で、初心者でも本格的なサバイバル生活を楽しむ為に必要な物ありますか?」
剛はアウトドアショップの店員に声をかけた。
「それでしたら、この無人島生活福袋がお勧めですね。リュックになっており、本格的なサバイバルを楽しむ為に必要な物は全て入っております」
それはキャンプで使うリュックの三倍はある大きさで、剛が触れると分厚い生地に骨組みや底板まであり、中身が何なのかは分からなかった。
「初心者の方って、自分で考えて必要ない物をいっぱい持って来て失敗するんですよ。なのでもうこれ一つでいいと思いますね」
剛は念願の無人島に着くと、早速リュックのサイドポケットに装備されたナイフを取り出し、「保存の為に密閉してるんで使用時にここを切って下さい」と説明されたゴムの部分に切り込みを入れ中身を確認した。
大きなリュックの中には、「幸運を・・」と書かれたカードが一枚だけあった。
「ふざけるな!」剛がリュックを叩きつけると、リュックはその反動でテントへ変形した。
残ったのはテントにナイフ、これは本格的なサバイバル生活になりそうだ。