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「自由律俳句」
#37 半額の惣菜ばかり入ったカゴを見られた
なんだろう、今さらこんなことを言っても言い訳がましく聞こえるし、君がスーパーでたまたま僕に声をかけた後に、半額の惣菜ばかりが入った買い物カゴを見てギョッとしたのも分かっているけど。
本当に、ほんとーに、たまたま欲しかった惣菜が半額だっただけなんだよ。
とりあえず半額だから、なんでもいいからと手に取ったわけでもないし、あらかじめ半額になる時間帯を狙って来たわけでもない。まだ30%オフだったから店内を一周して半額になるまで待っていたわけでも断じてないんだ。
それだけは分かってほしいな。
もし共通の知り合いに会った時に、僕が半額の惣菜ばかりを買い物カゴに入れていたというエピソードは話さないでほしい。
「ウケるんだけど」とか言うのはやめてほしい。かと言って「悪いわけじゃないんだけど、なんかあんまり見たくは無かったよね」とかのトーンも傷つきます。
スーパーで惣菜を買っていた僕の値札が、君の中で半額になってしまわないことを祈っている。
#38 ドリンクだけのつもりが座敷の方へ
確かに一言「飲み物だけでもいいですか?」と確認した方が良かったのかもしれない。
だけどもう歩き疲れて休憩したかったし、ちゃんと外の看板にはドリンクだけのメニューが載っていたから。
二人組にはちょうどいいテーブル席を抜け、詰めれば六人は座れそうな座敷席へと案内された。
「こちらお食事のメニューです」と笑顔で渡され、ドリンクのメニューは何も言わずそっとテーブルに置かれただけだった。
「お腹減ってないよな?」と一応は連れに聞いてみる。
デザート的なメニューはあるだろうか、「食事せえへんなら座敷断れよ図々しいな」と女将に思われはしないだろうか。
ノーマルなアイスコーヒーではなく、ほうじ茶黒蜜〜みたいな少し高そうなドリンクを互いに選び、白玉パフェとチーズケーキも注文する。
「以上でよろしいですか?」と店員が確認する前に一間あった気がした。
「あっ、もう注文終わりか、わざわざ座敷座ってるからもうちょい頼むんかと思ってた」という感じの一間だったのではないだろうか。
ざる蕎麦くらいならまだ食べれるかもしれないと、僕はもう一度メニューをめくった。