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毎週ショートショートお題 「友情の総重量」
目を覚ますとそこは窓も扉もない真っ白な空間だった。
六畳ほどの四角い部屋の中には異物のように黒いモニターが置かれ、事態を把握できぬままに電源が付いた。
「やぁ、お目覚めかい。君たち二人には今からゲームをしてもらう。自身のスマートフォンを使い、私の指定する住所に友人を集めるだけの簡単なものだ。理由は何でもいいが、もちろん友人以外の者にコンタクトを取ったり、今の状況から助けを求めた場合に命の保証はない。
制限時間は二時間。より多くの友情を示せ、勝者だけが生還できる」
モニターには住所と店の名前が映し出され、タイマーが動き始めている。あれこれ考えてる暇はない。簡潔に状況を整理すると、自分と同じように閉じ込められた人間がもう一人いて、時間内に一人でも多くの友人を相手より集めなければいけない。
タイマーが0になるとモニターは二分割され、片方には友人が五十人ほど映し出されている。もう片方には知らぬ人間が二十人程しか映っていない。
「勝った…」
そう思った瞬間に後ろで扉の開く音が聞こえた。安堵と共に振り返ると変わらず白い壁があるだけで、すぐ近くでまた扉の閉まる音が響いた。
何故だと叫ぶ前に部屋は闇に包まれ、モニターの赤い光だけが浮かんでいた。