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毎週ショートショートお題 「スネーク満床」


 ここまでは計画通りに進んでいる。

 あとは事前に伝えられていた暗証番号を入力して、このドアロックを解除するだけだった。
 ドアの向こうに一体どんな敵国の機密情報が眠っているのか、ホワイトスネークはスパイとしての矜持を感じずには入れなかった。

 解除後も侵入トラップへの警戒を怠ることなく、ホワイトスネークはゆっくりとドアを開ける。そこにはSF映画で見る宇宙船のような、真っ白で無機質な空間が広がっていた。
 奇妙だったのは部屋を埋め尽くすほどの保育カプセルのベッドと、そこに眠る乳児の姿だった。

「素晴らしい..我々の予想以上だよ、ホワイトスネーク」

「博士..なぜここに?…我々を欺いていたのか!」

「まぁ半分は正解だな。私は君を欺いたが、国を裏切ってはいない。つまりこの施設への潜入は、君の能力を測る最終テストだったのさ。
 君は我々が遺伝子操作で生み出した最強の生物兵器の試作品で、見事にその期待に応えてくれたよ」

「俺はこの後どうなる…」

「君はもう用無しさ、言っただろう試作品だって。君のDNAに改良を加えた新たなホワイトスネーク達が、こうして目覚めを待っているのだから」
 

 

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