ayumi hamasaki 25th Anniversary Live Tour Chapter2

あの大きな十字架を見た時
「これはレクイエムだ」
頭で理解するより
感情を抱くより先に
それがただ鮮烈にグサッと突き刺さった

浜崎あゆみがいる世界は
どうしてこんなにも
絶望と希望が背中合わせで
誰にも触れることのできないほど深く
誰にも癒すことなどできないほど孤高で

知っているつもりでいた
その絶望と希望は
私なんかが想像しているよりも
遥かに残酷で悲痛で
簡単に語れるほど
生易しいものじゃなかった

それを見る私はただただ
この先彼女の目に映るものが
1秒でも多く
優しい光に包まれているよう
祈ることしか出来なかった



kiss o’ kill -生贄-

黒のマントを不穏になびかせながら
磔にされたRIKIを取り囲むダンサーズ
それはこの儀式を執り行う執行人
ただ静かに見下ろすayu

「悲しまないで 私はいつでも
 瞳閉じれば ほらあなたのそばに居る」

まるで遺言のような
その言葉を聴いた時
私は
ようやく思い知った
初めて理解した

浜崎あゆみは
この時代の生贄で

ayuは
浜崎あゆみの生贄だったんだと


「孤独はいつも理由を探した
 不安はいつも吐け口を探してた」

こんな時代の
黒く蔓延る
孤独や不安を
鎮めるべく
捧げられた生贄


ayuとRIKIが執行人に担がれ
儀式は進行していく

その背に掲げられた
赤く染まる十字架が
あまりに
大きくて
あまりに
鮮明で

私は一体今まで
彼女の何を見てきたんだろうと

悲しいとか
苦しいとか
そんな感情を通り越した
感じたことのない痛みが
全身を襲った


生きる証になると
歌ってくれた彼女の強さや
何度も私を救った
彼女の言葉達
先を歩いてくれる彼女がいるから
大丈夫と思えた安堵

その全てが
表現し難いほどの
彼女の絶望の上に
成り立っていたんだとしたなら

その十字架を
背負わせているのは
この時代
この社会

そして

すがるものがなく
彼女に希望を見出した私自身

なんじゃないかと

悲しみの受け止め方
苦しみの乗り越え方
不甲斐ない自分との向き合い方
暗闇から立ち上がる勇気
現実から目を背けずに歩く強さ

あれもこれも
ayuが教えてくれた
伝えてくれた

それは一見
美しく聞こえるのだけど

逆に言えば
彼女が身を削って
あらゆる痛みを背負って
私達が不用意に傷つかなくて済むように
先を歩いてくれていた

ということなんじゃないかと


そのことが
この心を刺して
一生抜けない
跡を残した

こんなに長く彼女を追いかけてきたのに
何も見えてなかった自分に
もう言葉が出なかった


ステージのayuは
ただ静かに佇んでいて
自分の宿命を受け入れたあの日から
もう生きていないんだなと

その残酷さが
会場の隅まで広がって
痛くて痛くて堪らなかった


NEVER EVER -死-

背景が墓場に変わる
儀式が終わったんだろう

Free&EasyのMVが一瞬脳裏をよぎる
あの時も
十字架に磔にされて
「私を信じていて いつの日もここに立ち続ける」
そう歌ってた

当時のインタビューでも
ドームに立った時
沢山の目がこちらを見ていて
死ねと言っているようだった
そんな記載があったのを覚えてる


奈落の果てへと堕ちていく
捧げられた命が叫ぶ

「もしもたった一つだけ願いが叶うなら
 君は何を祈る?」


燃えた後の黒煙が立ち上り
薄れゆく意識の中で
願ったたったひとつの祈り


「ほんの少しでも
 求めてくれるなら
 まだここに生きる事許されるかな」


求められれば求められるほど
この時代に身を捧げるしかないのに
求められるその絶望と背中合わせに
TAという希望がある
そんな終わりのないジレンマが
彼女が身を置く世界で

皮肉なことに
浜崎あゆみの
真髄なのかもしれない


「もしも君に差し出せるものがあるとすれば
 変わらぬ確かな想い」


絶望の中で
残っているのは
この想いだけだった


「ayuとしてしか生きられなかったんだと思う、この25年」
「この生き方しか知らないので」

そう語った
彼女の言葉が
何度も何度も駆け巡る

ねえ、ayu
その「生き方」はあなたにどれほどの痛みを与えたの?
その「生き方」はあなたにどれほどの幸福をもたらしてくれたの?
今更そんなことを聞いたって
きっとayuは何も言わずに
そっと微笑むんだろうな


どこまで行っても
ayuがayuで在り過ぎて
それがもう全身に訴えかけてきて
気を張っていなきゃ
その場で泣き崩れてしまいそうだった


Microphone -復活- 

舞台は変わり
教会を背景に
揺れるシャンデリアが
復活の鐘を鳴らす

23rd MonsterのMVのような
ステンドグラスを背に歌うayu
A Monsterが再び呼び起こされたかのよう


生贄として
捧げられた
浜崎あゆみ

時代と共に
堕ちていくだけじゃ終わらない
音楽に魂を売って
復活を遂げる

「何も逆らえない
 敬服するしかない
 分かってる
 あなたなしの私は
 私じゃない」

畏敬の念すら感じさせる
音楽への崇拝が
彼女を再び生かす


音楽に悪魔的に魅せられたayu
その歌声は強く鋭く
神々しく会場に響き渡る


「私である意味を
 存在する意義を
 与えて教えてくれるのはいつも
 あなただから」


復活を遂げたayuが
鬼気迫る表情で
叫ぶ

それは
私には音楽がある、と自分を鼓舞するというよりは
あんな大きな十字架を背負うには
音楽へ魂を売るしかなかった、という方が
正しいのかもしれない


Ladies Night -夜会-

淡いパープルのテディベアを
抱きしめながら
ふわふわと踊り歌うayu

その可愛いさが
逆に物悲しくて
鮮やかすぎる背景のネオンが
もはや孤独を隠すための
パフォーマンスにさえ見えてくる

今までの世界観とは打って変わって
一見華やかさを持ったこのパートは
音楽に生かされて存在する
浜崎あゆみというだけで

本当はもう心なんてないのに
まやかしの恋なんてしちゃってみたりして
おどけて笑うドール

ayuが笑えば笑うほど
その笑顔の裏にある
痛々しい傷が
透けるようだった

Shake It❤ -孤独-

吊り下がったパネルに
PartyQueenのアルバムアートが
次々と映し出される
このジャケット
とても好きだった

強くて鋭いayuの眼差しが
見せかけだけの優しさなど
寄せ付けないような
孤高のQueenそのもので

「私より
 あの子の方が愛されている
 なんて口にしてくれなくても
 わかってるわ」

本当は寂しくて仕方がないのに
自ら大衆を突き放す
Lonely Queen


VIBEES -警鐘-


Nonfictionと同じように
ビビッドピンクのイメージが強かったVIBEESで
白黒の背景が新鮮

映像には真っ白な無表情の
マネキンのような人が描かれ
目、口、耳と順番に塞がれていく

それはまるで
ドールとも気づかずに
褒めたり称賛したり
貶したり蔑んだり
身勝手極まりない
顔の見えない者達への
警鐘


目を塞ぐのは
何も見えてないのね、と

口を塞ぐのは
いい加減黙ってくれる?と

耳を塞ぐのは
何も聞こえてないのね、と



時折現れる
真っ赤なルージュの口が
立ち上がれVIBEESと叫ぶ
あれは
ayuの魂が
具現化した口だったかもね



ラキボ、ラキガの方達が
ステージに呼ばれ
ドール浜崎あゆみと
共に歌い踊り騒ぐ
それはまさに
一切の痛みを忘れさせる
悲しいほど美しい
一夜限りのShowだった



criminal -蔑み-

華やかな夜会が終わり
世界は再び暗闇の底へと沈む

漆黒の世界に血が滲んだような
ドス黒い赤い背景
いくつもの仮面が並ぶ

YUKI、みどりんぐ、サツキ、トモキが
歌詞とリンクしたパフォーマンスを
並んでしていたかと思えば

突き飛ばしたり
首を折り曲げたり
強引に連れ出したりと
他の3人に虐げられるYUKI

それを見ては
後ろに並ぶ
沢山の仮面が
見て見ぬフリをするように
一つずつ
落ちて消えていく

曲が進むにつれて
YUKIは
自分が受けた仕打ちと
同じことを3人へやり返し
復讐を遂げる

欺き、欺瞞、妬み、恨み、怒り、悲しみ
一言では言い表せない
黒く黒く澱んだ感情が
ステージを支配している


始まりはほんの些細な
面白半分の行動が
深い憎しみを植え付けて
憎しみの連鎖を生み
いずれは自らをも滅ぼす
そしてそれを見ている傍観者が消えては現れる
これが現代の縮図なら
こんなに悲しい時代はない

そんな光景を
ただ静かに見下ろしながら
歌うayuのドレスは
胸元と左手首に赤い飾りが施され
滴る血のようだった

最後は大きな仮面がひとつだけ映し出され
赤い涙を流す

本当は仮面の下
泣いているんじゃないのかと
問いかけているようでもあり

今更涙を流したとて
傍観していたあなたも共犯者なのだと
訴えているようでもあり

救いようの無い苦しみだけが
鈍くステージに残る



Pride -裏切り-

黒いダンサーズに取り囲まれる
YUKIとみどりんぐ
偽りの笑顔で仲間であるかのように
もてはやされた後に
弄ばれ、突き放される
それを信じたYUKIとみどりんぐは
束の間笑顔を見せるも
すぐに囚われていく


中央にいるayuは
不意に左手に何かを掴む
それは誰もが羨み望むモノで
欲しくて堪らない黒い群れが
ayuを取り囲む
ayuが左手を掲げれば
それに応じて群れはうごめく

怖くなったayuが
それを手放した瞬間
我が先にと群れが一気に集まり
奪い合いが始まる
周りを蹴落としてでもそれを手に入れようとする
奪い合い、憎しみ合い、傷つけ合う
残酷で暗く沈んだ世界
これ以上ないほどの痛烈な表現


「人がもし無いものばかりを
 ねだる生き物だとしたら
 ああ 僕たちが本当に欲しい
 ものは一体なんだろう」

ayuが手に入れたモノ
例えばそれがその名声や称賛なのだとしたら
その形のないものに魅せられて
自分さえよければいいと
周りを傷つけてでも奪い
手にした途端失っていくことに
絶望して壊れていく人たち

それは一体何なのか
そこまでして
人が欲しいものって
一体何なのか


曲中ずっと
モノクロの背景の中に
一つだけ
赤い蝶
赤い傘
赤いマントを被った人物が浮かび上がる

それは
欲望と裏切りで朽ち果てたこの世界を
魂となって浮遊しながら
静観しているayuの魂か

はたまた
“周りと違う”から
という理由だけで
爪弾きにされる
現代への風刺か


高層の建物背景に
赤い階段が浮かび上がる
その階段の続きが
ステージから客席へとつながっている

黒い群れは
さっき確かに掴んだはずのそれが
もう
その手にないことを知って
狂ったように転がり落ちていく
一人、また一人と消えていくたびに
背景には赤い羽が血のように舞う



最後
そんな中でもこれだけはと
黒い群れから守り抜いたモノを
みどりんぐから受け取ろうとするayu
手を伸ばした瞬間
みどリングが
その手を突き飛ばし
嘲笑い消え去る

ayuを残して
裏切り者の高笑いが
こだまする

ayuにとって
左手は愛を示すのなら

愛だと思っていたものが
偽りだったことへの絶望
もしくは汚れた世界で
愛はいつしか憎しみに変わり
裏切りを生んでしまうという絶望

「そこがもしこの世の果てでも
 人が無駄だと笑っても
 共に行こう 諦めるよりも怖いことなどないのだから」

歌詞に込められた願いとは裏腹に
突然やってくる冷たい裏切りが
またayuを絶望の底へと突き落とし
その胸と左手首からは
真っ赤な血が滴るように
赤の装飾が鈍く光っていた


Remember you -懐古-

一人取り残されたayu
背景にはASong forXXのアルバムジャケット
目を潰され
口を消され
その顔が汚されていく

「あいつは一体
 何に感染して
 人生を捨ててしまったの」



壮絶な裏切りと残酷な世界を前に
夢見てデビューした頃のayuが
どんどん汚されて、失われていく


「時代はこんなに巡り巡って
 慣れた環境や友達も変わって
 毎日通ったあの店もなくなり
 思い出が宙で迷子になっている」

異常な速さで移り変わっていく街の景色を背に
やり場のない寂しさとやりきれなさに
ayuの声が震えてる

汚されて
原型を留めていない
自分の顔を見つめながら
立ち尽くすayu
いつからこんな
一人になってしまったのだろうと
その背中が物語ってる


それは裏切られた悲しみだけじゃない
どうして救えなかったのかと
自責の念すら感じるほど
ひどく悲しい背中だった

前を向き直って
声が詰まる
歌えなくなるayuに
TAがその名を叫ぶ


「登録されてる連絡先
 使わなくなった名前消してく」

まるで過去を振り払うかのように
消し去る仕草

「あの頃はなんて昔話
 出来る貴方だけは消えないでいて」

貴方の存在が
汚れを消してくれるかのように
綺麗なあゆに戻っていく


Remember you
=あの頃のあなたを思い出して
そう貴方がささやく

そして

Remember you
=私はあの頃のあなたを覚えているよ、と

心を失ったドールが
貴方という存在に救われて
その魂を取り戻し
自分へと還っていくかのように思えた



メドレー
you were
together when
CAROLS
momentum
JEWEL

優しいオルゴールの音色と
幻想的な映像とが
ダンサーズを包んで
それぞれの曲の世界観を伝える
パフォーマンスと映像がリンクして
どこまでがリアルで
どこからが幻想なのか
わからなくなる


悲しみを癒すオルゴールは
深く傷ついた魂を
鎮めるレクイエム



MOON -願い-
夢か幻想かわからない
ぼやけた夜に
幸せを願っていた遠い日を思い出すような曲

大きな月を背に歌うayu

「だからどうか君は笑っていて
 幸せだよ聞かせて もう一度」

その言葉がやけに反芻される


太陽と月なら
私は月だとayuは言う

それなら
今向かい側で
ayuを見守るTAは
暗く沈んだ月を
再び優しく照らせているだろうか

あんなに
残酷な絶望を前にした後に
こんな揺らめく月の光は
優しすぎて耐えられない


想像を絶する
苦痛と孤独を経ても尚
私達TAの幸せを
願い続けるあなたが
真っ直ぐすぎて

ayuの頭上に時々流れる
星達のように
ほんの少しでも
柔らかくて温かい光で
ayuを照らせたらと
そう願った




No way to say -想い-

魂を取り戻したayuは
そして確信する
この想いだけが本物だと

NEVER EVERで
祈るように
差し出してくれた想い

あの頃と変わらない
真っ直ぐな心で

ayuが何度も何度も
TAへその想いを差し出す
これでもかってくらい
それが痛いほどに伝わる

今までだってそうだった
思えば25年ずっとそうだった
言葉にならない想いを
何度も何度も歌ってくれてた

ayuは
デビューしたての時から何も変わらない

色んなもので覆い隠され
五感を塞がれ
押しこめられて
たくさん誤解されながら
深い傷を負いながら

それでも
TAに対してただただ
真っ直ぐに歌う

ayuはずっとayuのままだ

ayu自身も
そう再認識したかのように
無邪気な笑顔が眩しくて
ここにあるものは
本物だと伝えてくれてる

音楽に生かされてるわけじゃない
心があるかのように不自然に笑うドールでもない
ayuはayuのまんまで
淡いピンクのドレスに身を包み
丁寧に丁寧に大切なものを
抱きしめるように
歌い上げて
振り向きざまの
無邪気な笑顔を残してくれた



ayuの映像

一幕の時から繋がっている映像
複雑に入り組んだ
あゆの心の扉を
開いてしまったかのようで

その行く末を
見守るしかなかった

一幕にはなかった
時が戻っていく表現
復活を遂げた魂が戻っていくのと
リンクして
分断され複雑に絡み合い
傷つけ合うことすらあった
浜崎あゆみとayuが
初めて統合されていくような
そんな感覚も覚えた

最後のガラスを打ち破って
リアルに再びayuが現れる
不敵な笑みと共に


もう
私は迷わない
これは私が望む使命だと


誰に期待されるでもなく
時代に捧げられるでもなく
ayu自身が
初めてそう腹を括ったんじゃないかと思えた

いや
そう私が思いたかっただけか

あの不敵な笑みは
それについてこれる?
その心を覗く覚悟はある?と
問いかけるようでもあった



(NOT) Remember you -決別-
静まり返った会場を
切り裂く痛快な音とともに
ayuが現れる


生贄でも
亡霊でも
ドールでもない

私は
浜崎あゆみとして
生きていく
ayuとして生きていく

過去との決別
そんな風に聞こえた

だって
ここには確かな
絆があることを
知ったから

堕ちていく人もいるけど
確かな絆も間違いなくある

MOONの海に沈んだのか
No way to sayの雪に濡れたのか
ウェットヘアで
鋭い瞳で歌うayuが
心揺さぶってくる


「信じること 期待すること
 二度とやめようってなる時も
 それを自然と運んで来る
 TAがいる」

「そんな君を見て僕が笑う
 そんな僕を見て君が笑う」


色々ありすぎたけど
もうそれだけで
いいんだなって
ayuが振り切ってくれたようで

ayuが笑って
TAが笑って
一座が笑って

たったそれだけのことが
私たちの今を照らしてくれる
それこそが
私たちがずっと追い求めてきたことなんだと

絶望はきっとこの先も消えはしないし
不意に私達を襲ってくる
それなら
私達は
出来る限りの
希望を見つけて集めて照らしていこう
私達なら出来る、と



Dreamed a Dream -希望-

「粉々に砕け散った後
 無様でも良いと這いつくばってた
 泣きながら拾い集めてた
 諦められなくてケンカして抱き合って
 そんなんだってそうやって
 今だって一緒の夢を夢に見てる」


再び見出した希望
今もまだ同じ夢を見てる
何も変わらないよ、と


これは
ここからの
本当の意味での生を得た
ayuが起こす嵐
鮮やかな稲妻が背景に走る

ayuと浜崎あゆみが
統合して
ありのままに叫ぶ歌は
こんなにも強くて優しい


「全部なくなったその後で
 何に救われた?何を欲しがった?
 未来がどんなんだったって
 腐ったもんだって
 僕の真っ直ぐと
 君の真っ直ぐが
 どこかで合わさって交わって光になれ」


ayuと浜崎あゆみ
浜崎あゆみとTA
そして一座
それぞれの真っ直ぐが
交わって成す光は
どんな絶望だって切り裂いていく
こんな混沌とした時代を
必ず未来へと導く

ずっと
歌ってきたように

最後は
人に
希望を見出して

それだけが救いで
それだけが願いで
ずっとずっと
夢見てきた夢そのもの


talkin’ 2 myself -覚悟-
胸の内に湧き上がる
希望を前にして
再び覚悟を決めるかのような曲

現実はこれからも
この頬を叩くだろう
冷たい風はこれからも
何度も吹き荒ぶだろう

まだまだこの世界に蔓延る
悲しみや怒りは
容赦無く私たちの心を
刺してくるんだろう

だけど知ってる
破壊の上に成り立つ創造を


こんな時代のこんな世界
満たされない想いは自らが作り出したもの
”私の答えは私が知っている”

燃え盛る炎は
ayuの新たな覚悟を
表すかのように
この目にはっきりと灼きついた



Startin’ -挑発-

覚悟を決めたayuが
問いかけてくる

私は行くよ
あなたはどうする?と

今度はあなたの番
“あなたの答えはあなたが知っている”
あとは貫くだけ、と

それは
私の心に
ダイレクトに
響いてきて

ここからがまた
私にとっての
始まりでもあるんだなと
強く自覚した

そしてその問いかけに応えるように
私の中で一つの誓いが芽生えた


ayuがもし
本当に
時代の生贄として捧げられ
音楽に魂を売って復活し
沈んだ世界の狭間で
人に希望を見出し
その魂を取り戻して
生きていくというのなら

“私もその傍観者にはならない”

私たちの
真っ直ぐな光が
少しずつ広がって

油断すると
すぐにでも
引き摺り下ろそうとする負の力さえも飲み込んで
この世界を照らしていくことを信じて

その光を繋いでいくことを
強く誓った




NOW & 4EVA -祈り-

冒頭からayuが泣く
絶望と希望の狭間で
取り戻したたった一つの祈りは
ayuですら思ってもみなかったほどに
真っ直ぐすぎるTAへの想いだった

"君に会いたかった 君じゃなきゃ嫌だった"
ただそれだけだった

Startin'が
TAへの問いかけだとしたら
NOW & 4EVAはayu自身の答えなんだと思う


「同じ夢だけを君と見続けたい」
「Let me love you forever」



その笑顔が嬉しくて嬉しくて
涙が止まらなかった


アンコール
メドレー
Step by step
Trauma
evolution
SURREAL
Boys & Girls

メドレーは
もう何もかもを超越して
絆を確かめ合う時間

ayuが歌えば
それにTAが応える
ただただそれだけでいい
それだけのことが
私たちの25年の答えだと思えた


Who..

何度も聴いてきたはずのWho..が
今までにないくらい
愛しくて尊くて
大切な大切な宝物として
また刻まれてくようだった


あなたの夢をあきらめないで

手話に込める想いは
一座みんなの表情からひしひしと伝わる
エンターテイメントの力を
本気で信じている人たちの
パフォーマンスが心揺さぶる

ここまでayuと共に
ステージを創り上げてきたダンサーズ
その表情、その仕草、その眼差し
その一つ一つどれを取っても
彼らにしか成し得ない唯一無二の
パフォーマンスだった

どれだけ時代が進化して
AIに取って代わられるようなものが
増えたとしても
あの残酷でリアルな世界は
人間にしか創り上げることが出来ない

このツアーのLEDパネルの映像も
目を見張る美しさで
素晴らしい技術だと思う
だけどそれは
それを背に一瞬一瞬に全てを賭けて
パフォーマンスをする彼らがいてこそ
成り立つ美しさ

そんな人間の持つ力を信じているからこそ
ayuがずっとこだわっているShowの形が
夢となり希望となり
私たちの心を震わせる

この二幕を見ていて
感じていた絶望や希望が
あたかも目の前で起きているかのように
ダイレクトに響いてくるのは
それが造り物で出来た世界ではなくて
ayuやダンサーズ、コーラスの一人一人が
極限まで身を削って体現する
“人間らしさ”と
“人間の持つ力”が
集結したステージだからなんだと気付く


Wアンコール
Replace

「さよならの代わりに
 この歌をココへ置いて行くよ
 また逢える時まで諦めないで步いていてね」


私たちは
それぞれの日々を
諦めずに步いていく

そのために
十分すぎるほどの希望を
このツアーでもらった

十分すぎるほどの愛を
この25年間でもらったから


ayuとの約束

「僕は君へと
 君は誰かに
 伝えて欲しい
 一人じゃないと」

こんな時代の
こんな世の中で
混沌と渦巻く
負の力に
どうかどうか負けないように

自分だけが良ければ良いなんてことはない

もし誰かが
その孤独に泣いているのなら
そっと手を差し伸べて

もし誰かが
その悲しみに打ちひしがれているのなら
そっと優しく抱きしめて

出来る範囲でいい
ほんの少しだけでも
誰かを包むことが出来ると信じて

私たちが
そう強く願って
信じて
伝える言葉を
触れるその手を
見つめるその目を
触れ合うその胸の温かさを
諦めずに
守って繋いでいけたら
きっときっと・・・




一幕が夏の熱く眩しい思い出なら
心の隙間に吹き荒ぶ秋風のように
その熱を一瞬で奪ってリアルを突きつけられるのが二幕
でもそこと向き合わない限り
真の穏やかな春は訪れない
そんな風に言われてる気がした


この25年にあった絶望を
その手で葬り
残った大切なものだけを
抱きしめるための
レクイエムは

ayuと一座とTAの
本物の笑顔で
幕を閉じた


一座の皆様
私の愛する故郷へ
生きる希望を、ありがとう

この二幕で誓ったこと
絶対に忘れないよ


















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