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人間と空間

 もしこれが「人文地理学概論」という講座名だったら、受講しなかったかもしれない。中身が同じなら同じでしょ、という人もあるだろうが、私はそうは思わない。例えば、1LDK、新築5階建てのマンションの3階、急行停車駅から徒歩12分、という不動産の情報であったとしても、「人間と空間」の視点で考察する、と宣言されたら、それはもはや部屋探しという枠組みには収まらない。その懐の深い構えが、私はとても気に入ったのだ。

 「四次元年表 in Cosmos」というアプリをつくって、app storeからリリースしたのだけれど、全く同じアプリがplay storeでは拒否され続けていて、それがどうやら「誇大広告だ」ということらしいのだ。BIGBANGから宇宙探査まで、時間的・空間的距離を正しく表示することを目指すデータベース。もちろんこれは「完成したデータベース」ではなく、「みんなでつくっていくデータベース」なので、今はまだそんなにたくさんのデータが入っているわけでも、美しい画像を伴っているわけでもない。そういうものを目指しているアプリ、ということなのだけれど、なかなかわかってはもらえない。仕方ないから、記載を大幅に絞ることにした。

 「人間と空間」において地理学は「地球表面(地表)における諸現象を解明する総合科学」と定義されているた。「地」だからね。けれども、「空間」なら、宇宙空間でもいいし、地表に限らず、海底でもいいだろう。

 昔の天文学は、地表から仰ぎ見た天の学問だったかもしれないが、今や人間、は、まだほんのわずかだが、少なくともたくさんの人工物が、宇宙という空間の「どこ」にいる(ある)のかという地図が、絶対に必要な時代である。でも、専門家はともかく、一般人が宇宙の地図を想像するのは、なかなかに難しい。なにせ全てがたえず動いているのだ。「いつ」を伴わない「どこ」は意味をなさない。見栄えのよいイラストはたくさんあるけれども、それらが現実を映していないことは、大昔の、地を取り囲む海が水平線から虚空へ流れ落ちている地図と大差がない。むしろ、「このぐらいが分かりやすくていいんじゃないの」という、事実を知っていながらデフォルメする表現者たちを、私は少し、苦々しく思っている。
 それで「四次元年表 in Cosmos」をつくって、宇宙空間の地図化に挑戦したのだけれど、それが、志というよりは、大言壮語、たった100円のアプリを誇大広告で売りつけようとする「規約違反のアプリ」という認定になってしまったらしいのだ。
(タイトル画像は、x-y平面を太陽系の軌道平面、z軸を時間軸として、土星探査衛星カッシーニの軌道を表現した三次元地図。アプリ上では360度回転したり、伸縮表示することができる)

 それでもまだ懲りていない私は、つぎに「四次元年表 in Maritime」というアプリを作り始めている。これも大言壮語すれば、「カヌーで大洋を渡った人びとから深海探査まで」である。そこにはもちろん、貿易や海戦、海賊船や沈没船、海底考古学などが含まれる。いずれは「海底資源」の項目も増えていくだろう。それらもやっぱり「人間と空間」として捉えることができるはずだ。

 Play Storeからのreject通知にじゃっかん気をそがれていた私だが、若い人たちに混ざって大学の講義を受けるのは、よい刺激になる。明日はまた心機一転、Googleの「規約」の範囲でできる自己表現を考えよう。

四次元年表 in Cosmos(Appleでは承認されています)

四次元年表

三次元・四次元表示

四次元年表の使い方

四次元年表for Mobile


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