"君"への絶望と優しさに溢れた「”Ninth Peel” next」
UNISON SQUARE GARDEN「”Ninth Peel” next」ツアーに参加しました。初日の川崎、横浜1日目、セミファイナルの羽田。3か所参加してのごちゃ混ぜ感想です。
🍎nextツアー全体の雑感
「Ninth Peel」本編ツアーの方がセットリストが好みでした。何故なら組み方が型破りで、ここ数年で一番好きだったので、ハードルがだいぶ上がってしまったせいもあります。
あとは単純に、本編ツアーの方が聞きたい曲が多かった。アルバム「Ninth Peel」の中でも、「City peel」と「Numbness like a ginger」が特に好きなのです。両方とも入っていないなんて。
でも、nextで初披露となったバラード「もう君に会えない」を入れるとなると、バランス的にこの2曲がセトリ落ちするのは仕方ないだろう。ただ、「Numbness like a ginger」はイベントでも披露されているけれど、「City peel」は今後聞く機会が少なさそうなので、ちょっとだけ寂しい気持ち。
どうしてもアッパーな曲の割合が大半となるので、バラード枠は難しいですね。個人的には静かな曲が半分ぐらいあっても面白いと思っているけれど、ユニゾンみたいなバンドはそういうわけにもいかないだろう。
でも、その「もう君に会えない」から「夏影テールライト」の流れがめちゃくちゃインパクトがあって心に残りました。このツアーで最も好きなポイントです。
キャリアを重ね、貴雄のヘッドフォン装着曲が増えています。「次、ヘッドフォン曲?大変ね」など、貴雄が奮闘(スタッフが装着してくれた後に片手で微調整)している姿を見て思ってしまいます。ギターのカポ装着もそうだけど、楽器のセッティングも関わってくるので、セトリを作るってかなり奥深い作業なのだろうな。
あとマスク無しOKになって、ようやく元のライブハウスに戻って来たなーと懐かしく思いました。
10/31 CLUB CITTA'川崎(初日)
ツアーの初日に久しぶりに参加した(チケット取れた)のですが、色々と新鮮で面白かったです。初日ならではの空気をひしひしと感じました。
まず宏介の顔にあからさまに緊張感が濃い。孤高の戦士のように見えました。当然だろうと思います。
貴推は笑っているように見えて、どこか苦しさもあるような、見慣れない表情でした。奮い立たせて、作り上げていこうとしているのか。セッションの時だったか、雄たけびを上げて自分を鼓舞しているように見えました。その他でもちょいちょい発声していた気がします、曲の間奏で「ギター!」って紹介したり。田淵が一番ポーカーフェイスに見えたし、楽しそうだったかも。
ここ最近ツアー初日に縁がなかったのですが、FC先行が1人1枚に制限されると取れるものだなと、周囲を見ていても感じました。これからもそうであって欲しいです。
メモ:キャパ 1300人
11/06 KT Zepp Yokohama 1日目
明らかに初日に比べると和んだ空気。貴雄は苦しそうな表情はしていなかったし、宏介もだいぶ余裕が出てきていて、田淵もキレキレ。
メモ:キャパ 2000人
12/11 Zepp羽田(セミファイナル)
横浜から約1か月空いたこともあって、ツアーを重ねてきたんだなぁとその変化がよくわかりました。3か所で一番良いライブだったので感動です。特にアルバム曲が育っている感じがしたし、流れの良さを一層感じるようになりました。
宏介が序盤のギターソロから笑顔だったので、ツアー初期に比べるとだいぶ余裕しゃくしゃく。この日はカメラが入っていたので、最後にカメラにポーズ取ったりも。
田淵からはものすごく研ぎ澄まされたような張り詰めた空気や緊張感を感じました。貴雄はいつも通り、自分の内面を大事にするプレイ。
メモ:キャパ 3000人
曲についての感想
01. スカースデイル
1曲目としては全く予想がつかなかったです。ギター弾き語りで、「君の心 迷わないように ほんの少しの 傷をつ〜けたのならぁ~~~↑」というドラマチックなライブアレンジ。スカースデイルの空に鳴り響くような爽やかさでした。どんな空か知らないけど(妄想)。
「“Ninth Peel” museum」で上映されたライブ映像の中でも「スカースデイル(弾き語り)」は大好評だったし、ツアーの1曲目にもぴったりだったのではと感じました。
02. 天国と地獄
イントロで田淵が上手に駆け抜けてベースを振り下ろすイメージが定着しているのですが(安全面において微妙にハラハラする)、それがなかったのが印象的。年齢とともに変わっていくのは自然の流れ。田淵がライブ中にハンドスプリングしていたことも、遠い昔のように思えます。
お客が1曲目は静かに聞いて、2曲目で急にはじけるのが個人的に違和感があります。私は2曲とも同じテンションで聞いているので。「天国と地獄」が盛り上がる曲なのはわかるけど、あまりにもわかりやすい役割を担う曲の宿命とは…と考えてしまう(面倒くさい)。
03. 恋する惑星
「天国と地獄」の終盤で貴雄がヘッドホンを装着したため、なんとなく「恋する惑星」なのではと期待を込めた予想が当たって喜びました。
川崎ではバランス良く聞こえたのですが、横浜と羽田は全体的にベースの音が大きかったので、宏介の間奏ピック弾きが聞こえづらかったです。そこ聞きたいのに。まだまだ聞き足りないからたくさん聞きたいなーと思えるお気に入り曲。
04. BUSTER DICE MISERY
イントロで「微妙になんか違うなんか…」と思いつつも期待を込めて「ピストルギャラクシーであってくれ」と願ってしまう。「BUSTER」も好きですが、より昔のレア曲を本能的に求めている自分がいるのかもしれません。
05. 23:25
「七色のステージ」で必ず照明がカラフルになるから、いつもつい照明を見上げてしまう。何かと宏介と田淵が間奏で絡みがち。羽田では、間奏ソロを弾く宏介が、客席を見て幸せそうな顔をしていたのが心に残りました。
06. kaleido proud fiesta
最近「刹那した プレリュードだけが」の「だけが」をサラッと歌うのではなく「だ-け-が-」と、少し後ろめの譜割で歌っているのが好き。いつ聞いても何度聞いても高揚が止まらない名曲です。
ドラムソロからのセッション
なんとなく和風テイストのセッションで、何に繋がるのか全然予測がつかず。宏介が「♪けもの道 けもけもの道」とささやき気味に歌った時は、おおおおー!と思いました。客席からもどよめき。
以降セトリを知ってからセッション聞くと、「けもの道」風のセッションに聞こえる不思議現象。
07. ここで会ったがけもの道
好きな曲なのでとても嬉しい。次の「アンチ・トレンディ・クラブ」と並べると大変相性が良いので抜擢されたのだろうか。軽快なギターソロにときめき、ラストの小気味よいコーラスに心弾む。
歌詞が好きです。「音のない暗号文」や「魂ののろし」って何だろうね。妄想が広がる。
08. アンチ・トレンディ・クラブ
音源で聞いていても好きなのですが、ライブで聞くと威力がすごい、わんぱくで荒くれもの。ライブ映えする曲だなと感じます。トリッキーで複雑な分、ライブを重ねるごとに嚙み合ってかっこよくなっている。本編ツアーを経て、さらに興奮が増しました。特に間奏は引き込まれて聞き入ってしまう。ボケっとしてると横面を殴られるような、目の覚めるような華麗な技を見せつけられるような。
昔から慣れ親しんだ曲と、新しいアルバムの曲(しかも難易度が高い)をごちゃ混ぜに並べてやるのって大変だろうな。面白そうでもあるけれど。
背景で「Ninth Peel」ロゴがカラフルに煌めいているのを見て、アルバム曲が演奏されていることを思い出す。
9. きみのもとへ
イントロのドラムが始まってすぐ「きみのもとへ」だとわかった途端に幸せな時間が確定してしまう。アンコールの「ライドオンタイム」もそうですが、「きみのもとへ」も安心感が半端ない。いつなんどき、どんなセトリに入っていても嬉しい。長めの間奏セッションもお気に入り。
10. いけないfool logic
「新曲ッ!」と前置きがあったので、「えっ新曲作ってたの?」というお門違いな考えが頭をよぎりましたが、リリース済みの新曲のことか。ライブ初披露。イントロで田淵がとても楽しそうに弾けている。「オトノバ中間試験」の時みたいに。
風変わりな展開の曲なので、最初に川崎で聞いた時は、長くて中だるみかなぁ?という印象もあったのですが、だんだんしっくり馴染んで来ました。
特に、サビ前の全員コーラスが強い。最後に合流する宏介の高音がスペシャルで美しい。ずっと聞いていたいなと思います。アニメOPでもテレビで演奏を披露した時も、ここのパートが使われないのがもったいない。
11. カオスが極まる
今ツアーのイントロに最大級に快感を覚えて大興奮しました。クラブ系の爆音が大好物なので、地響きのような低音と、後ろで鳴っているツクツク…のバランスがたまりません。一気にボルテージがぐわん!と上がります。本編ツアーも同じだったけど、ホールよりライブハウスで聞く方が段違いにど迫力だよ。ここのパートだけ音源欲しいくらい。元気がない時にひたすらリピートしたい。
アウトロは長々と引っ張るライブアレンジに歓声が上がっていました。「ブルーロック」の人気も借りて、ユニゾンの代表曲として大きく羽ばたいて行ったなぁと思う1曲。今ライブで聞いて、最も血が沸騰する曲です。
12. もう君に会えない
本編ツアーで披露されなかったので、今回が初披露だと予想されていました。どう配置されるのかなと思っていましたが、「カオスが極まる」でいったん燃え滾った後に、クールダウン。長めの休憩を取ってから。
出だしがアカペラでした。「クローバー」の時にもよく適用される、薄暗いオレンジのシンプルな照明。
今までになかったタイプの曲なので、どう聞いていいのか正解がわからず戸惑う部分があるのですが、単純に良いメロディーと良い演奏に集中して聞いたらとても沁みました。いったん、架空の物語だと思って聞く。
「救いの手を差し伸べて欲しかったのは きっと僕じゃない」と、否定する"僕"の心もとない様子にグッと来ます。"僕"にとって"彼女"がどういう存在だったのか垣間見えるから。
残された方は「何かできなかったのか」と思ってしまうけれど、"彼女"はきっと何気なく"僕"に救われていたこともたくさんあったはずで、救いの手を差し伸べて欲しかったわけではないと思うので(最終的に"彼女"の問題だから)、"僕"がいつか泣ける日が来るといいなと願ってしまう(もう泣けているかもしれない)。
あと「あの犬のキャラクター」っていう表現が好きです。犬のことを知っていても知らなくても、それぞれ自由にあの犬を思い浮かべて彼に思いを馳せることができるから。
なお、彼女と彼が実在するのか、誰なのか、濃いめのファンならすぐに思い当たったはずです。私は心の中でのみ思いを巡らせたいです。
13. 夏影テールライト
「もう君に会えない」の後に続けて披露されてびっくりしました。この2曲はバラード枠なのだろうけれど、相反するように思える2曲(悲しい曲と爽やかな曲)が続くのがとてもユニークで意外性があります。
物理的にもう会えない君と、心理的に距離のある君。どちらも遠い君を想った歌であり、程度の差はあれど絶望を感じるので、そういう意味では共通点があると言えるかもしれません。
「夏影テールライト」は、君を想う爽やかで可愛らしい曲の一面もあるけれど、軽い絶望も漂っています。君の存在が、遥か彼方に感じる。「諦めはつかない」のに。
この曲は難しいのだと思いますが、ライブを重ねる度に3人のハーモニーがすごく調和してきているなと感じて、聞く度にうっとりする。特にサビのメロディーとコーラスのバランスが綺麗で聞き入ります。
初日、貴雄が一瞬コーラスを忘れて、慌ててコーラスに戻ったような気がしました(気のせいかもしれません)。叩きながらあのコーラスはなかなかハードル高そうです。ベースも同じく。
あと、「もう君に会えない」で薄暗かった照明から、段階を踏んで明るくなった照明の感じも良かったな。ちょっとだけ希望が差してくるような優しく温かな光。
この2曲が続いたのがベストインパクトでした。君への絶望と優しさに溢れた想像を絶する流れで、今も余韻が残っています。
アグレッシブなセッション
一瞬「等身大の地球?」って勝手に期待してしまう。ただの願望です。
都会の夜の高速を駆け抜けるようなアッパーなセッションでかっこ良い。激しいギターソロにベーススラップ、川崎では貴雄の雄叫びにテンションが上がりました。
14. ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
イントロで「ミレニアムハッピーチェンソーエッヂ!(抑揚付けた早口)」とタイトルコール。耳が悪いので、川崎では何て言ったのか聞き取れず、横浜で「ああ、タイトルコールしたのか」と理解。タイトルが長いので音に乗せて言いにくそうです。羽田では一番スムーズに聞こえました。宏介の言い方が慣れたのと、私の耳が慣れたのと。
音源とはアレンジの違うギターフレーズが聞けると新鮮味があるな。
15. 世界はファンシー
「ミレニアム」から一気に加速した流れが気持ち良かったです。川崎では、2番でドラムがブラストビートっぽくなるアレンジで印象に残ったのだけど、その後はしてなかった気がします。やっぱり川崎は初日ならではの力がこもっていたのかな。
16. フレーズボトル・バイバイ
軽やかなセッションから、「フレーズ!ボトル!バイバイ!」のコールへ繋がります。本編ツアーでやらなかったので初披露。若々しい曲なので、言い方も若々しい。会場によって「めっちゃBPM速い」と思いました。
曲によって宏介の歌い方が微妙にキャラクターが変わっているのを感じ取った時、この人は本当に役者でありエンターテイナーであり職人なのだなぁと感心してしまう。
17. スペースシャトル・ララバイ
アルバムの最後の曲から1曲目に繋がり、会場からは拍手や歓声が起こっていました。私も初日は思わず拍手しちゃった。アルバムを通してリピートしていたファンには聞きなじみのある流れなので快感です。個人的にはイントロでoioiしたくなる懐かしい感じがあるのも好き。
本編ツアーでは普通に演奏していたけれど、今回は「小さくなってくスペースシャトル」のパートは、テンポを落として小さく歌ってためてから加速していくのが、スペースシャトルが打ちあがっていくイメージで楽しかった。
18. Invisible Sensation
久しぶりに聞きました。調べたらパトべジツアー以来っぽい。川崎で聞いた時、イントロに何か違和感を覚える。家で音源聞いて、その後に横浜と羽田参加して気づきましたが、イントロがめっちゃ力強い。音源だとギターだけでアカペラっぽいシンプルさなんだけど、今回は頭からバンドの音がバーン!と。だからか。このアレンジも良いなぁ。
そして、いつ聞いても宏介の目の覚めるような「生きてほしい!」という芯の通ったボーカルにハッとします。
「10% roll, 10% romance」(2017年8月/「ボールルームへようこそ」1期OP)、「Invisible Sensation」(2017年11月/「ボールルームへようこそ」2期OP)、「Catch up, latency」(2018年11月/「風が強く吹いている」OP)、この辺りのシングル曲は、自分がユニゾンファンになりたての頃だったので熱量も高く、アニメも見ていたので、いつ聞いてもその頃のフレッシュな気持ちを一緒に思い出して、余計にテンションが上がります。
それにしてもシングルのアニメタイアップすごいな。今さらだけど「リニアブルーを聴きながら」以降のシングル(配信除く)って、全部アニメタイアップかしら?
アンコール
アンコールという概念を無くしても良いのでは、と思えるほどにアンコール出て来るの早くて笑う。羽田が一番早くて(本数重ねるうちにどんどん出るの早くなったのでは)、インターバルが20秒ぐらいだった気が。
01. ライドオンタイム
「おまけっ!」と言う台詞の後にギターがジャーン!って鳴ったら「ライドオンタイム」決定です。優勝です。ミラーボール回りまくりです。フロアの熱気に合わせて、心持ちBPM速めのような。
随所に入るチョーキングの音が大好物なのですが、横浜と羽田ではピックスクラッチしていて、綺麗な金属音が鳴り響いていたのが新鮮。羽田では、その横で田淵が宏介に絡みついていました(お約束の光景)。
02. mix juiceのいうとおり
好きな曲なのに、縁がなくて聞いたの4年ぶりぐらいだったから嬉しかったです。間奏のソラさんの透き通るような素敵な声(同期)が懐かし過ぎてときめきました。良かった、もう君(mix juiceくん)に会えないかと思った。
FCツアーではソラさんのピアノとコーラスを生で聞けることが確定しているので楽しみにしています。
横浜では、イントロで「恋する惑星」の間奏ピックスクラッチみたいなのをやっていたのが好きでした。あの可愛らしく綺麗な音、お気に入り。
言葉の発声は、相変わらず「ようこそ!」「最後までよろしく!」「新曲ッ!」「UNISON SQUARE GARDENでした、バイバイッ!」「おまけっ!」ぐらい。
セットリスト
本編ツアーで好きだった大きなポイントは、1曲目が「夢が覚めたら」で、「City peel」「静謐甘美秋暮抒情」「WINDOW開ける」のユニークな流れと、「放課後マリアージュ」が入っていたことです。
今ツアーは1曲目が「スカースデイル」だったのと、「もう君に会えない」「夏影テールライト」の流れが心に残りました。こうして見ると、今回のキモは「もう君に会えない」なのかなとすら思えます。(個人の感想)
「いけないfool logic」のカップリング「あまりに写実的な」は披露されなかったな。FCツアーでしれっとぶちこまれそうな予感。
自分も年齢を重ねるにつれて体調管理が難しくなっていますが、ツアーを続ける身となると、それはそれは気を遣うのだろうなと思います。特にボーカルは。
昨今ミュージシャンの訃報を耳にすることが多くて気が滅入ります。少しでも私に幸せな気持ちをくれた音楽家の人達には、ずっと元気で音楽を続けていて欲しいなと、勝手ながら願ってしまいます。だからこそ、何ごともなくツアー完走できて良かったな。
来年は20周年で一つの節目であるとは思いますが、派手なことを期待する気持ちはないかも。もちろんお祝いの気持ちはあるけれど、いつも通り元気に楽しくバンドが続いてくれたら特に何もいらないので。それはユニゾンだけでなく、どのバンドに対しても思っています。