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岡山・倉敷 1泊ひとり旅~倉敷美観地区編~
不思議な街並み
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初めて訪れた倉敷美観地区。一通り下調べはしましたが、想像以上に魅力的な街だと感じました。
重要文化財、いかにも観光地らしい店舗、現代的なおしゃれ古民家カフェ、時代劇にも使われる古き良き街並み、昔ながらの商店街、市民会館などの公共施設、民家、犬の散歩する地元民、修学旅行生、神社や川などの自然。新しいものと古いもの、非日常(観光)と日常(生活)が絶妙にマッチしている不思議な感じ。あの角を曲がったらどんな風景が?ってワクワクしながら迷い込むような楽しさがありました。1日で周りきれるサイズ感なのも良いですね。
私は東京の谷根千エリアが大好きなのですが、谷根千も観光客向けのお店、おしゃれカフェ、商店街などが雑多に混じり合っています。美観地区のようにコンパクトではないし、街同士が似ているとは言いませんが、雰囲気に通じるものを感じました。
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あとなんか空気が好き。呼吸がしやすい。パワースポット的な気持ち良さを感じました。
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意外とコンパクトなのかなと想像して、当初は倉敷は早々に引き上げて島に行こうかな、などと甘いことを考えていたのですが、さすがに半日で全部は回り切れず。
まずは朝ごはん代わりに「くらしき桃子」でパフェのハシゴをしました。詳しくはこちら。
阿知神社
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腹ごなしに「阿知神社」へ。少し外れた場所にあるせいか空いていて、のんびりお参りできました。高い場所から街を眺められるのも良いですね。
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4月下旬から5月上旬にかけては藤が見事なようです。タイミング合わず残念。
令和4年4月21日の藤棚。
— 【公式】阿智神社 (@Achizinzya) April 21, 2022
あれ、満開近いですね。
藤見の会まで持ってほしいいいいい!!!! pic.twitter.com/xano61fx8V
大原美術館
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倉敷のことを調べていると、とにかく大原さんの功績を思い知らされます。「大原美術館」もそのひとつ。倉敷の事業家・大原孫三郎が、前年死去した同じく岡山県出身の画家・児島虎次郎を記念して昭和5年に設立。日本最初の西洋美術中心の私立美術館です。「西洋美術を日本でも広めたい」という虎次郎の強い思いを、大原氏が後援。大原氏はいわばパトロン。とは言え2人は年齢も近く、強い友情もあったようです。
いいなーパトロン。だって、推しに惜しみなく出資できるってことですよね?(歪んだ解釈)。
そして大原孫三郎は、倉敷紡績および倉敷毛織(現・クラボウ)、倉敷絹織(現在のクラレ)、中国合同銀行(中国銀行の前身)、中国水力電気会社(中国電力の前身)の社長を務め、大原財閥を築き上げたすごい人(Wikiより)。
館内には児島虎次郎の作品がたくさん。そして、モネやピカソ、ゴーギャン、藤田嗣治など名だたる画家の名画も。
(しかし残念ながら私はあまり美術に明るくありません。でも美術館の雰囲気は好きなので、訪問するのは嫌いじゃない。)(以前、藤田嗣治の半生を描いた映画「FOUJITA」を見た時は劇場で爆睡…)
そんな私でもエル・グレコの「受胎告知」は印象的でした。聖母マリアが天使ガブリエルからキリストの懐妊を告げられるシーン。キリスト教徒ではないのですが、幼稚園がカトリックだったので、小さい頃からイエスやマリアの世界に馴染みがあり、ちょっと懐かしく感じたり。
本館の他に、工芸・東洋館もありました。分館は休館中。離れたところに新児島館もありますが、時間がなくて訪れず。
倉敷アイビースクエア
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「倉敷アイビースクエア」は、ホテルやレストラン、庭園などの複合施設。川船に乗った時に、船頭さんが「もともとは倉敷紡績所(現:クラボウ)の本社工場だった」と教えてくれました。うまいこと観光地にリニューアルしたんですね。
そう言えば、ツアーパックの選べるホテルの中に「倉敷アイビースクエア」もありました。今回は無難にドーミーインにしましたが、実際にアイビースクエアを見て、ここに泊まるのも面白かったかなと思いました。美観地区内のホテルっていうだけでテンション上がりますね。
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アイビースクエアの入口にある「ふなおワイナリー直営ショップ」で、3種のワインの飲み比べを。
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スパークリング、辛口、中辛、甘口、極甘、ブラッシュ(ロゼ)などのラインナップからチョイス。一番好みだったのはブラッシュでした。
「ブラッシュってなんぞ?(全然ワイン詳しくない勢)」と調べたら、「黒ブドウ、もしくはピノ・グリなどのピンクがかった白ブドウ品種を使って、白ワインの製法で造られた、色の薄いロゼワイン。」とのこと。なるほどだからピンクなのか。ほんのり甘くて果実の味わいがして美味しかったです。
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入店した時に貸し切り状態でしたが、ほどなくして数組来店。ピオーネのジュースも販売していて美味しそうだったなー。
くらしき川舟流し
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「川、短いし。わざわざ乗らなくてもいいかな」なんて最初は思っていたのですが、気まぐれに乗ってみて良かったです。約20分500円、じゅうぶん楽しめます。30分に1本出ていて、チケット売り場で希望の時間帯を購入。私は13時の回を買ったのですが、希望者が多かったのか、同時に2艘出ていました。あらかじめ予約を入れるのが良いと思います(変更はできません)。朝は空いていましたが、昼は比較的埋まっていました。
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お客6人、船頭さん1人でスタート。どこから来たのか聞かれたのですが、東京(私)、静岡(老夫婦)、京都(若者男子トリオ)と見事にばらけました。だいぶ落ち着いて来たから、全国からお客さんが戻ってきた、と船頭さんが話していました。そうだよなぁ、ガラガラだった時期もあるんだろうなぁ。
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船頭さんが建物や歴史の説明をしてくれます。倉敷には特徴的な「なまこ壁」(平瓦を壁に貼り付け、目地を漆喰で「なまこ」のように盛り上げるスタイル)の建物がたくさん。何がなまこなの?ってずっと不思議に思ってたんですけど、目地の盛り上がった形がなまこに似ているからだそうですね。えっ似てるか?船頭さんは、「かまぼこ」って言ってました。その方がわかりやすい。
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舟の切符売り場にもなっている「倉敷館観光案内所」、大正に倉敷町役場として建てられたそうで、国登録有形文化財に指定されているとのこと。リニューアルはしているものの、一部のガラスは大正時代のものが残っていて、覗き込むとガラスが歪んでいるのを確認できました。
歴史のあるものを見る度に思いますが、長い年月を経て現代に残っていると思うと本当に不思議な気持ちになりますね。
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船頭さんが、「あのお饅頭屋さんの看板の下、なんて書いてあるか読める人?」と。「餡子と珈琲」と書いてあります。食いしん坊なので、余裕でアンコは読めます。すると船頭さんが、「なんだ読めるのかー、ギョウザって読んで欲しかったな!オレ最初、ギョウザって読んじゃったよ」なんていうネタトークも(笑)
有名パフェ店「くらしき桃子」の説明もしてくれました。張り切って「行きましたー!」と返事をしましたが、さすがにハシゴしたとは恥ずかしくて言えず。静岡のマダムがパフェに興味を持ったので、「総本店は整理券制、船着き場の入口にあった倉敷本店は空いていて穴場だと思います!」と食い気味におせっかいをしてみたり。
「大原美術館、行った人~」と聞かれたので、ここでも元気よく返事。「まだ行ってない人は、案内所に割引券もあるからね」と船頭さんが言うので、「なんだぁ、割引券もらってから行けば良かったな!(てへっ)」と発言して笑いを取ることも忘れません(なんの義務感)。
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電線がないから、映画などの撮影にもよく使われるそうです。確かに景観最高。あと結婚式の前撮りの方も何組かいらっしゃいました。
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船着き場に着いて、マダムに「くらしき桃子」を案内してお別れ。美味しいパフェ食べられていますようにー。
川から見上げる建物のアングルが素敵だし、舟は静かに進んで行くので酔うこともありません。梅雨時期にも関わらず雨は降らなくて良かったのですが、だいぶ蒸し暑かったので、風が吹くと本当に気持ち良かったな。
ぼっち旅が大好きですけど(というかほぼぼっち旅ですけど)、たまに人と喋りたくなるから、お店の人や他のお客さんと交流できる機会があったのが嬉しく、とても楽しいひとときでした。
語らい座 大原本邸
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大原家抜きでは倉敷は語れない、ということで「語らい座 大原本邸(国指定重要文化財/旧大原家住宅)」も訪れました。入館料は500円。
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江戸時代後期から、つい最近まで実際に住んでいたそうです。入ってすぐが土間。5代目~8代目の名言が吊り下げられていました。なかなかのインパクト。「どうだ、俺を乗り越えられるか」なんて台詞、「漫画かよ」って思ってしまいます。
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8代目の書斎をイメージしたブックカフェがありました。8代目は多趣味だったそうで、バードウォッチングや民芸関連、クラシック音楽関連の書籍、そして巨大なスピーカーとレコードプレーヤーも。
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素敵なブックカフェでオリジナルのコーヒーをいただきました。丁寧にドリップしているので美味しかったです。なんか頭良くなったような気がするよね!(完全に気のせいです)
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素敵なお庭もあり、ここでお抹茶をいただけるようでした。
歴代の大原家当主は、尋常じゃないぐらい多忙でストレスもあっただろうから、素敵な書斎やお庭が癒しだったんだろうなぁ。
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地域貢献への影響力ははかりしれませんね。大原家がなかったら今の倉敷もないでしょうから。
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お隣の「有隣荘」は、7代目が病弱な妻のために建てたそう。年に何回か公開するようですが、通常は非公開。瓦が緑と橙で、風変わりでオシャレ。
その他
B級グルメ「もっコロ」
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桃のコロッケと聞いたら1度は食べてみたいじゃないですか。お店のおじちゃんにどんな風味なのか聞いてみると、「中を割ると、ふわぁ~っと桃の甘い香りがするよ」と一生懸命説明してくれました。
私の鼻が悪いのか(鼻炎持ち)、そこまで強烈に香りは感じなかったけど、ほっくほくのマッシュポテトに混ざって、甘い桃の存在を感じます。揚げたてアツアツだったせいもあって、芋と桃がナチュラルに溶け合っていたように思います。お芋の甘さの中に、ほんのり桃の甘さがあるような。初めての味でした。1度は食べてみる価値はあるかと。
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林源十郎商店
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美観地区は、エリアによって微妙にカラーが違うのが楽しい。倉敷川の周辺は、観光客向けの土産物屋、老舗の食べ物屋が多い。林源十郎商店がある辺りは、新しめのおしゃれカフェやパン屋、雑貨屋、昔ながらの純喫茶などが立ち並んでいて、日常を感じます。このお店は旧林薬品を改装した雑貨屋で、カフェとセレクトショップが集まっていました。
3階は展望台になっていて、このように美観地区を見下ろせます。椅子とテーブルが設置していて休憩もできます。
地元の男子高生が8人、ワイワイと記念撮影をしたのち、手遊びゲームをしていてめちゃめちゃ和みました。観光客と地元民が混ざり合っている風景。
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気になって入店したパン屋さん。ヴィーガンクッキーとスコーンを購入。
倉敷の美観地区のパン屋さんmugiで買ったスコーン、身体が喜ぶような味だった。素材が良さそう。市販のパンに慣れていると物足りないと思う、でも絶対身体に良いっていう味。若い頃なら敬遠したかもだけど、今はこういうパン屋さんに魅了される。 pic.twitter.com/dOBJ3N5TwF
— ミ~ア (@a_meerkat) June 25, 2022
後から調べたら、けっこう有名なお店だと知りました。クッキーも甘さ控えめで身体に優しかったです。パンも何種類か買ってくれば良かったな。
若者に好かれる映え系のお店
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なぜ倉敷でミッフィーなのか。京都や軽井沢にも店舗があるようで、完全に観光客向け事業なんでしょうね。ミッフィーの顔の形のあんぱんが大人気のようで、焼き時間に合わせて若者が行列していました。ミッフィーの形のパン、映えるもんね。でも倉敷とミッフィー、別に関係ないよね。倉敷である意味がないものに興味なし。
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ミッフィーのお店のお隣に。なぜ倉敷でスヌーピーなのか。こちらも京都に店舗があるようで、完全に観光客向けですね。こちらは混雑しておらず。
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朝は空いていましたが、昼過ぎに行列していたおしゃれ古民家カフェ「有隣庵」。「しあわせプリン」が大人気のお店。SNSで「食べてから2週間後にしあわせなことが起こる」と人気だそうです。みんな、しあわせになれよ~。私はじゅうぶんしあわせなので大丈夫です。
食事も提供しており、美味しそうな香りが漂っていました。メニューに「黄ニラの卵かけご飯」があり、ちょっと気になりました。次回、機会があれば。
行列しているお店もあれば、そうではないお店もたくさんありました。私は行列が苦手なので、観光本に載っていない、SNSで話題になってないようなお店を見つけるのも楽しいかなぁと思いました。時間がなくて、気になる商店街の辺りを掘れなかったのが無念。
岡山デニム
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倉敷と言えばやはりデニム。今季はもう洋服買わない(ミニマリスト目指してる)と思ったのに、旅先マジックで買ってしまったTシャツ2枚。
気になるシャツのお店もあったのだけど、主にメンズ柄が可愛くてレディースは種類なくて断念(ぴったりで着るのが好き)。Tシャツもそうだけど、メンズデザインの方がイケてると思うこと多々。
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マスキングテープ
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岡山はやたらとマステ推しだなと感じていたのですが、それもそのはず倉敷が発祥の地だったとは。コレクターにはたまらないでしょうね(使いこなせないから興味がない人間)。
***
倉敷美観地区には、9時半から15時ぐらいまで滞在して、全て回り切れずでした。絶対に再訪したいです。とっても楽しかった、倉敷大好きになりました。私に親切にしてくれた人たち、街、みんなありがとう!
その他の旅行記はこちら。
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